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タンチョウ(Grus japonensis)の分類 ツル科(Gruidae)
タンチョウ(Grus japonensis)の概要 ツル属(Grus)

タンチョウ(Grus japonensis)

準危急種 (EN)

【IUCN】近い将来における野生での絶滅の危険性が高いもの

絶滅危惧II類 (VU)

【環境省】絶滅の危険が増大している種

【 学名 】
Grus japonensis (Statius Muller, 1776)

基本情報

大きさ・重さ

・全長:160 ㎝
・翼長:64~67 ㎝
・翼開長:240 ㎝
・体重:6000~12000 g

参考文献

  • 正富宏之 1996 タンチョウ, 日高敏隆(監修) 樋口広芳、森岡弘之、山岸哲(編) 日本動物大百科 3:鳥類Ⅰ. 平凡社. 132-133.

最終更新日:2020-06-26 キノボリトカゲ

分布

旧北区。北海道とユーラシア大陸に分かれた2つの個体群がある。

ユーラシア大陸の個体群は、アムール川中流および沿海州南部、中国東北部で繁殖し、朝鮮半島、中国東部(揚子江河口北部など)で越冬渡り鳥。

北海道の個体群は、留鳥ないしは漂鳥。

冬は阿寒や鶴居村などの人里近くで越冬し、春から夏は道東の十勝から根室にかけての湿原で繁殖する。

最近は千島列島の国後島や歯舞諸島にも出かけていき、そこで繁殖して秋に北海道へもどってくるものもいるらしい。

今世紀の初めには絶滅したともいわれていたが、1924年にわずか20~30羽の生存が確認され、1953年以降、冬の餌づけが盛んになるとともに個体数が徐々に増加した。

現在、北海道には約450羽ほどが生息し、少しずつ増加傾向にある。

特別天然記念物と絶滅危惧種に指定されている。

参考文献

  • 中村雅彦 1995 タンチョウ, 中村雅彦、中村登流(著) 原色日本野鳥生態図鑑:水鳥編. 保育社. 203.

最終更新日:2020-06-26 キノボリトカゲ

別名・方言名

丹頂は頭頂が赤いことに由来し、タンチョウヅルともいう。アイヌ語ではサロルンカムイ(湿原の神)という。

参考文献

  • 吉井正 2005 タンチョウ, 吉井正(監修) 三省堂編修所 (編) 三省堂世界鳥名事典. 三省堂. 317.

最終更新日:2020-06-26 キノボリトカゲ

分類学的位置付け

ツル目 ツル科

参考文献

  • 吉井正 2005 タンチョウ, 吉井正(監修) 三省堂編修所 (編) 三省堂世界鳥名事典. 三省堂. 317.

最終更新日:2020-06-26 キノボリトカゲ

人間との関係

北海道の道鳥。

参考文献

  • 吉井正 2005 タンチョウ, 吉井正(監修) 三省堂編修所 (編) 三省堂世界鳥名事典. 三省堂. 317.

最終更新日:2020-06-26 キノボリトカゲ

形態

成鳥の形質

雌雌同色。額、頭上、眼先は皮膚が裸出し、眼先、額、頭上の前端などには黒色の剛毛が密生しているが、頭上の後端は赤色の皮膚が裸出し、同色の小疣様の小突起があり、黒色の剛毛が散在している。

眼の後方、耳羽、後頭、後頸は白色で、後頸の白色の部分は細く背の方に線をなして走っている。

腮、喉、頬、前頭の下部および頸側は石盤灰色であるが、前頸の下部および頸側の下部は純白色である。

背、腰、胸、腹、脇、上尾筒、下尾筒は純白色である、下雨覆、腋羽も純白色。

初列風切は純白色、次列風切、三列風切は黒色で、三列風切は細長い形で初列風切より 90~100 mm位も長く、先端は尖り雨羽縁は細く多数に分かれている。

雨覆羽は純白色、尾も純白色である。嘴色はオリーブ緑色、先端淡色、虹彩は暗褐色、脚色は石盤黒色。

参考文献

  • 清棲幸保 1954 タンチョウ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅲ. 講談社. 860-861.

最終更新日:2020-06-26 キノボリトカゲ

幼鳥の形質

【幼鳥】
額、頭上には羽毛があり赤味がかった黄褐色である。

額、頸、腮、喉は同色、腮と頬には石盤灰色が混じり、耳羽の付近には白色の斑がある。

全身白色で、各羽端は黄褐色である。

初列風切は白色で先端は黒色を呈し、次列風切、三列風切は黒褐色で、褐色が混じり、三列風切は成鳥ほど長くない。

【雛】
孵化直後の雛は全身に赤褐色の幼綿羽が密生し、背と肩羽とは褐色で、体の下面は淡色である。嘴と脚は灰肉色である。

参考文献

  • 清棲幸保 1954 タンチョウ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅲ. 講談社. 860-861.

最終更新日:2020-06-26 キノボリトカゲ

卵の形質

卵は淡黄褐色の地に褐色の斑紋と灰鼠色の斑点とが散在する。

参考文献

  • 清棲幸保 1954 タンチョウ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅲ. 講談社. 860-861.

最終更新日:2020-06-26 キノボリトカゲ

生態

生息環境

繁殖期は広い低層湿原、河川、湖沼、海岸などに接する湿原に生息し、越冬地では、湿地、耕地、不凍の河川、湖沼、干潟に生息する。

積雪期には、トウモロコシなどを給餌している餌場に多くの個体が現れる。

参考文献

  • 中村雅彦 1995 タンチョウ, 中村雅彦、中村登流(著) 原色日本野鳥生態図鑑:水鳥編. 保育社. 203.

最終更新日:2020-06-26 キノボリトカゲ

食性

食性は雑食性で、植物の新芽・葉・種子・果実、穀類のほか、昆虫、ミミズ、タニシ、甲殻類、カエル、魚類、小鳥の雛、ネズミなども食べる。

ゆっくり歩きながら、首を下げて地上の餌をついばむ。

河川や湖沼では水の中を歩き、小魚をくちばしで突きさして捕える。

参考文献

  • 中村雅彦 1995 タンチョウ, 中村雅彦、中村登流(著) 原色日本野鳥生態図鑑:水鳥編. 保育社. 203.

最終更新日:2020-06-26 キノボリトカゲ

天敵

カラス類やワシタカ類、キツネ、イタチなどの捕食者が想定される。しかし実際はキツネとカラスによるわずかな例が観察されているにすぎない。

参考文献

  • 正富宏之 1996 タンチョウ, 日高敏隆(監修) 樋口広芳、森岡弘之、山岸哲(編) 日本動物大百科 3:鳥類Ⅰ. 平凡社. 132-133.

最終更新日:2020-06-26 キノボリトカゲ

ライフサイクル

繁殖期は3~10月、年に1回、一夫一妻で繁殖する。

湿原の中の地上に枯れたヨシをくちばしで切り集めて、雌雄共同で大きな皿形の巣をつくる。

1巣卵数は2個。3~4月に1~2日の間隔で1卵ずつ産卵し、初卵から雌雄交替で約1カ月抱卵する(正富. 1991)。

孵化した雛は早成性で、孵化後3日で巣を離れるが、巣にとどまっている間、2羽でくちばしを使って激しい喧嘩をする。

巣を離れた雛は自分でも餌を捕えるが、親の後ろをついて歩き、両親にくちばし移しで餌をもらう。

雛は孵化後約100日で親と同じくらいの大きさになって飛べるようになるが、翌年の子別れの時期までピーピーと鳴いて親に餌をねだる。

1番で2羽の雛がうまく育つのは、繁殖に成功する番の1割ほどにすぎない。

参考文献

  • 中村雅彦 1995 タンチョウ, 中村雅彦、中村登流(著) 原色日本野鳥生態図鑑:水鳥編. 保育社. 203.

最終更新日:2020-06-26 キノボリトカゲ

鳴き声

暁近くから啼き立て、特に朝日がさす頃にはコロローン、コロローン、またはキョロ―、キョロ―と冴えた声で盛んに啼き立てるのが常である。

警戒時にはコロロ、コロロと低い声で啼き、威嚇するときにはキョロロ、キョロロと啼き、雛はヒッ、ヒッ、ヒッと啼く。

参考文献

  • 清棲幸保 1954 タンチョウ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅲ. 講談社. 860-861.

最終更新日:2020-06-26 キノボリトカゲ

特徴的な行動

オスが「クォーン」と長く1回鳴いたあとに、メスが短く「カッカッ」と繰り返し鳴き交わして縄張りを主張し、つがいを維持する。

厳冬期には雌雄が向かい合って飛び跳ねる、求愛ダンスも頻繁にみられる。

参考文献

最終更新日:2020-06-26 キノボリトカゲ

関連情報

味や食感

江戸時代の料理本である『料理物語』1643年(寛永20)によると、鶴の「肉」は汁物,せんば(鍋物)、さかびて(酒浸)に、「ももげわた(内臓)」は吸物に、「骨」は黒塩(鶴の骨から作った薬)に用いたとされている。

参考文献

最終更新日:2020-06-26 キノボリトカゲ

種・分類一覧