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マナヅル(Grus vipio)の分類 ツル科(Gruidae)
マナヅル(Grus vipio)の概要 ツル属(Grus)

マナヅル(Grus vipio)

絶滅危惧II類 (VU)

【環境省】絶滅の危険が増大している種

【 学名 】
Grus vipio Pallas, 1811

基本情報

大きさ・重さ

・嘴峰:115~160 mm
・翼長:530~610 mm
・跗蹠:230~305 mm
・尾長:164~230 mm
・体重:5.1~6 kg
・卵:長径 102~103 mm×短径 60~62.8 mm 重量 165~187.5 g

参考文献

  • 清棲幸保 1954 マナヅル, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅲ. 講談社. 863-864.

最終更新日:2020-06-24 キノボリトカゲ

分布

旧北区。シベリア東南部、中国東北部、モンゴル北部のロシア・中国国境周辺で繁殖し、朝鮮半島の非武装地帯、日本、中国揚子江下流域で越冬する。

日本には冬鳥として、10~12月ごろ渡来する。

本種はナベヅルに比べて明らかに渡去期は早く、3月中旬までに大部分が渡去し、続いて4月上旬までにはナベヅルも渡ってしまう。

日本の主要な定期的渡来地は鹿児島県出水市で、近年の越冬個体数は約4.000~5.000羽(安部, 1991)。

そのほかの地方では、まれに記録されるにすぎない。出水地方ではナベヅルとともに渡来数が年々増加している。

1991年と92年に実施された発信器と人工衛星による追跡により、出水地方を渡去した個体はまず韓国に入り、その後、非武装地帯を経由して北朝鮮の東海岸のヨンフン湾、ロシア・中国国境のハンカ湖周辺から中国東北部三江湿原に到達することがわかった(Higuchi et al. 1992)。

特別天然記念物と危急種に指定されている。

参考文献

  • 中村雅彦 1995 マナヅル, 中村登流、中村雅彦(著) 原色日本野鳥生態図鑑:陸鳥編. 保育社. 205.

最終更新日:2020-06-24 キノボリトカゲ

分類学的位置付け

ツル目 ツル科

参考文献

  • 吉井正 2005 マナヅル, 吉井正(監修) 三省堂編修所 (編) 三省堂世界鳥名事典. 三省堂. 467-468.

最終更新日:2020-06-24 キノボリトカゲ

形態

成鳥の形質

体は暗青灰色で、胸・腹はより濃く、体の後半部は淡色。

後頭・喉・頸は白色で、胸から続く青灰色部が頸側に楔状に入る。

前頭は裸出して赤色で、額から頬に細い黒色の羽毛は密生。

風切は黒色であるが、内側次列風切は白色で長くのび、翼をたたむと尾羽をおおいかくす。

嘴は黄緑色。足は淡紅色。若鳥は全身に褐色みが強い。

参考文献

  • 吉井正 2005 マナヅル, 吉井正(監修) 三省堂編修所 (編) 三省堂世界鳥名事典. 三省堂. 467-468.

最終更新日:2020-06-24 キノボリトカゲ

幼鳥の形質

頭部には総べて羽毛があり、淡赤褐色である。

喉は黄白色、後頭は淡赤褐色、前頭は灰黄色である。

体の上面は暗赤褐色、体の下面は灰色で角羽縁は黄色を帯びている。

参考文献

  • 清棲幸保 1954 マナヅル, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅲ. 講談社. 863-864.

最終更新日:2020-06-24 キノボリトカゲ

生態

生息環境

海岸や山間部の開けた水田、乾田、湿地、河川の河原や海岸の埋立て地、干潟などで越冬する。

ナベヅルに比べると、耕された後のまだ作物の植えられていない耕作地に多い(大迫ほか, 1989)。

繁殖期には河川流域の広大な湿性草原に生息する。

参考文献

  • 中村雅彦 1995 マナヅル, 中村登流、中村雅彦(著) 原色日本野鳥生態図鑑:陸鳥編. 保育社. 205.

最終更新日:2020-06-24 キノボリトカゲ

食性

繁殖期の食性はよくわかっていないが、越冬期には植物の種子・根茎、昆虫、魚類などさまざまなものを餌とする。

耕された後のまだ作物の植えられていない耕作地では、土が掘り返されて現れたカエルや貝など動物性の食物を食べる。

ゆっくり歩きながら、首を下げて地上の餌をついばむ。

参考文献

  • 中村雅彦 1995 マナヅル, 中村登流、中村雅彦(著) 原色日本野鳥生態図鑑:陸鳥編. 保育社. 205.

最終更新日:2020-06-24 キノボリトカゲ

ライフサイクル

中国・ロシア国境地帯で繁殖地が知られているが、わずかな営巣例が記録されているにすぎず、繁殖生態の詳細はわかっていない。

巣は、草を積み重ねて外直径 90 ㎝、高さ 20 ㎝の大きなものをつくる。

巣の周辺部は盛り上がり、産座は直径 50 ㎝で 2 ㎝ほど窪んで低くなっている。

一夫一妻で繁殖するらしい。産卵期は4~6月、1巣卵数は2個(Johnsgard, 1983)。

人口増殖での抱卵期間は30~33日、平均31日(Walkinshaw, 1973)。

おそらく約70日は両親に養われるが、その後1年目の冬をすごして再び繁殖地に渡るまでは家族単位で行動する。

参考文献

  • 中村雅彦 1995 マナヅル, 中村登流、中村雅彦(著) 原色日本野鳥生態図鑑:陸鳥編. 保育社. 205.

最終更新日:2020-06-24 キノボリトカゲ

鳴き声

誇示(ディスプレー)するときには雄はキュッ、キュルルルル―、コロロ―、コロロー、コロローまたはクククククルル―、クク、クルルー、ククッなどと啼き立て、一斉に啼くときにはガーウ、ガーウ、ガーウと喧しく啼く。

雌はピッ、ピッ、ピッ、ピッと啼き、警戒時にはクルルッ、クルルッと低い声で啼く。

参考文献

  • 清棲幸保 1954 マナヅル, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅲ. 講談社. 863-864.

最終更新日:2020-06-24 キノボリトカゲ

特徴的な行動

越冬地では番間の求愛ディスプレイが見られ、2羽が向き合い、くちばしを上に向けて翼を上下させながら鳴き合ったりする。

参考文献

  • 中村雅彦 1995 マナヅル, 中村登流、中村雅彦(著) 原色日本野鳥生態図鑑:陸鳥編. 保育社. 205.

最終更新日:2020-06-24 キノボリトカゲ

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