- 解説一覧
- ヒクイナ(Porzana fusca)について

基本情報
- 大きさ・重さ
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・嘴峰:20~23 mm
・翼長:108~118 mm
・跗蹠:34~39 mm
・尾長:47~54 mm
・体重:60~127 g
・卵:長径 29.1~36 mm × 短径 22.3~26 mm 平均長径 33.5 mm × 短径 24.3 mm
参考文献
- 清棲幸保 1954 ヒクイナ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅲ. 講談社. 872-874.
最終更新日:2020-06-01 キノボリトカゲ
- 分布
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旧北区、東洋区。アジア東部からインド、ボルネオ島に分布し、北方のものは南方に渡って越冬する。
東南アジアでは留鳥。日本には夏鳥として渡来し、ほぼ全国的に繁殖する。
冬は中国南部、インドシナ半島などに渡るが、東海地方以西の暖地では割合多く越冬していると思われる。
個体数はほかのクイナ類に比べて多く、以前は水田のあぜ道やイネの株の間を歩く姿をよく見かけた。
または「クイナの門をたたく音」、あるいは「クイナのたたく音」で知られる独特の鳴き声もかつてはよく耳にしたが、近年はその機会もめっきり減った。
参考文献
- 中村雅彦 1995 ヒクイナ, 中村雅彦、中村登流(著) 原色日本野鳥生態図鑑:水鳥編. 保育社. 58.
最終更新日:2020-06-01 キノボリトカゲ
- 学名の解説
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種小名はラテン語でヒゲのあるという意味。
参考文献
- 吉井正 2005 ヒクイナ, 吉井正(監修) 三省堂編修所 (編) 三省堂世界鳥名事典. 三省堂. 411.
最終更新日:2020-06-01 キノボリトカゲ
- 亜種・品種
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リュウキュウヒクイナ
参考文献
- 吉井正 2005 ヒクイナ, 吉井正(監修) 三省堂編修所 (編) 三省堂世界鳥名事典. 三省堂. 411.
最終更新日:2020-06-01 キノボリトカゲ
- 分類学的位置付け
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ツル目 クイナ科
参考文献
- 吉井正 2005 ヒクイナ, 吉井正(監修) 三省堂編修所 (編) 三省堂世界鳥名事典. 三省堂. 411.
最終更新日:2020-06-01 キノボリトカゲ
形態
- 成鳥の形質
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【雄】
額、頭上は赤褐色、頭側、耳羽、眼先、頬は赤葡萄酒色を帯びた赤褐色で、後頭、後頸は暗オリーヴ褐色、腮・喉は白色で、多少淡赤褐色を帯びている。
肩羽、背、腰、上尾筒は暗オリーヴ褐色であるが、換羽したときには赤錆色が勝っている。
後頸も同様である。胸、上腹は赤葡萄酒色を帯びた赤褐色である。
下腹は灰色を帯びたオリーヴ褐色で、白色の横縞が多数あり、上脇は暗オリーヴ褐色、下脇は濃い暗オリーヴ褐色で、白色の横縞がある。
下尾筒は黒褐色で、白色の横縞がある。
下雨覆、腋羽はオリーヴ褐色で、白色の斑があり、その先端は白色であるがときには腋羽全部オリーヴ褐色のものもある。
初列風切はセピア褐色、次列風切もセピア褐色であるが、内側のものの外弁にはオリーヴ褐色の縁がある。
三列風切、大・中・小雨覆は暗オリーヴ褐色、初列雨覆、小翼羽はセピア褐色である。
尾は暗セピア褐色である。嘴色は緑褐色、虹彩は赤色、脚色は赤色。
【雌】
雄に類似するが、上胸は色が淡い、形は小さい。
参考文献
- 清棲幸保 1954 ヒクイナ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅲ. 講談社. 872-874.
最終更新日:2020-06-01 キノボリトカゲ
- 幼鳥の形質
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【雛】
孵化直後の雛は全身に黒色の長い幼綿羽が密生し、全体に緑色の油様の光沢がある。嘴は淡赤色で、中央に黒色の横縞がある。
【幼鳥】
体の上面は暗褐色で、額は赤錆色を帯びている。体の下面は汚白色で、オリーヴ灰褐色の横斑がある。
上嘴は白色、脇はオリーヴ褐色である。
参考文献
- 清棲幸保 1954 ヒクイナ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅲ. 講談社. 872-874.
最終更新日:2020-06-01 キノボリトカゲ
- 卵の形質
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卵はクリーム褐色または淡黄褐色あるいは赤味を帯びたクリーム色の地に赤褐色の斑点と灰鼠色の斑点とが散在し、斑点は鈍端の方に密在するのが常で、ときには毛の様な曲線斑が混在するものもある。
参考文献
- 清棲幸保 1954 ヒクイナ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅲ. 講談社. 872-874.
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生態
- 生息環境
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平地から低山の湖沼、河川、水田などの水辺の湿地の草むらや、ヨシやマコモが密生する場所に生息する。
水辺近くの畑や草原にまで出てくることがある。比較的狭い範囲の湿地でも繁殖する。
ほかのクイナ類と同様、ちょっとした物音や人影ですぐ草むらに潜行するので、なかなか姿を見ることができない。
草むらから出てくるときも、あたりを見回しながらそろそろと出てくる。
首を前に伸ばし、体を低くして歩き、尾羽をたえずピクピクとはね上げる。半夜行性だが、雨の日などは日中でも姿を見ることがある。
驚いて飛ぶときは、両脚をダラリと下げ、首を伸ばして低空を直線的に飛翔するが、その速度は遅い。
参考文献
- 中村雅彦 1995 ヒクイナ, 中村雅彦、中村登流(著) 原色日本野鳥生態図鑑:水鳥編. 保育社. 58.
最終更新日:2020-06-01 キノボリトカゲ
- 食性
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湿地を歩いたり泳いだりしながら、昆虫、クモ、カエル、エビ、小魚などをついばむ。
植物質ではタデ科、イネ科、キク科などの草の種子も食べる。
水面を泳ぐときは、バンのように頭部を前後に振り動かしながら泳ぎ、水中に潜ることもある。朝夕に採食する姿をよく見かける。
参考文献
- 中村雅彦 1995 ヒクイナ, 中村雅彦、中村登流(著) 原色日本野鳥生態図鑑:水鳥編. 保育社. 58.
最終更新日:2020-06-01 キノボリトカゲ
- ライフサイクル
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繁殖期は5~8月、年に1~2回、一夫一妻で繁殖すると考えられるが詳細は不明である。
9月に北海道で卵が観察された例もある。湖沼、河川、水田の水辺やヨシ原などの湿地に巣をつくるが、低木の低い枝に巣をつくることもある。
イネ科植物、ヨシ、スゲ類の葉や茎を利用したり、そのまま葉や茎を折り曲げて皿形の巣をつくる。
ときには草を曲げて巣の上にひさしをつくることもある。1巣卵数は5~9個で、通常は8個の例が最も多い(清棲, 1978)。
雌雄交替で約20日抱卵する。雛は早成性で、孵化後まもなく巣をはなれ、親に連れられて歩く。
孵化した雛は光沢のある黒い幼綿羽に包まれ、くちばしは淡赤色で、中央に黒色の横縞がある。
雛は孵化後数日で自分で餌をついばむことができるが、親に口移しで給餌され、その後は自力で餌をとる
ほかのクイナ類と同様、雌雄共同で雛に給餌すると考えられるが、連れ立ち期間などは不明である。
参考文献
- 中村雅彦 1995 ヒクイナ, 中村雅彦、中村登流(著) 原色日本野鳥生態図鑑:水鳥編. 保育社. 58.
最終更新日:2020-06-01 キノボリトカゲ
- 特徴的な行動
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単独あるいは番で生活し、家族期以外群れをつくることはない。
繁殖地では一定の範囲をなわばりとして構える。番の形成の詳細はわかっていない。
参考文献
- 中村雅彦 1995 ヒクイナ, 中村雅彦、中村登流(著) 原色日本野鳥生態図鑑:水鳥編. 保育社. 58.
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