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- イカルチドリ(Charadrius placidus)について

イカルチドリ(Charadrius placidus)
【IUCN】現時点での絶滅危険度の低い種
- 【 学名 】
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Charadrius placidus J. E. Gray & G. R. Gray, 1863
基本情報
- 大きさ・重さ
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・嘴峰:19~23 mm
・翼長:130~152 mm
・跗蹠:30~34 mm
・尾長:70~78 mm
・体重:41~95 g
・卵:長径 34~38.5 mm×短径 25.5~27 mm 平均長径 35.8 mm×短径 25.9 mm
参考文献
最終更新日:2020-06-17 キノボリトカゲ
- 分布
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旧北区。ユーラシア大陸極東部の中国中北部から日本列島に限られて繁殖分布し、中国南部からミャンマーにかけて越冬する。
日本では本州、四国、九州などで繁殖し、標識の結果から明らかなように一部は留鳥である。
残りの渡りの規模はわかっていない。
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形態
- 卵の形質
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卵は赤錆色を帯びたクリーム色の地に暗褐色の小斑点と灰色の小斑点とが散在し、斑点は鈍端の方に密生するのが常である。
新鮮卵は全体にやや青緑色を帯びる。
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最終更新日:2020-06-17 キノボリトカゲ
生態
- 生息環境
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河原が発達した河川にすみ、とくに大きい川の中流域の氾濫原や扇状地などの砂礫地に多い。
しばしばコチドリと共存するが、コチドリのほうが砂地や砂泥地を選ぶのに対して、イカルチドリは砂礫地から礫地のほうを選ぶ。
採食も礫の多い水辺のほうで行うことが多く、営巣地にはとくに礫地を好み、それも氾濫直後の植生のほとんどないような礫地を好む。
かなり大きい礫地にも入り、例えば、上高地のような亜高山帯の上流部でも河原があれば繁殖する。
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最終更新日:2020-06-17 キノボリトカゲ
- 食性
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湖沼や河川の水辺の地上や浅い水域で採食する。
主として、砂礫地の水辺やその周辺を走ったり歩いたりしながら、地上や水面、あるいは水底の泥の表面からついばむ。
また、休息に走って急停止し、思いがけない方向にくちいばしを突き出して虫を捕らえるという、虫に不意打ちをくらわせて急襲するタイプの鳥である。
地上をジグザグに走ることもできる。甲虫など昆虫の成虫・幼虫を食べる。
雪面で動けなくなっているユスリカの成虫を盛んについばむ。
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最終更新日:2020-06-17 キノボリトカゲ
- ライフサイクル
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繁殖期は3~7月、一夫一妻で繁殖する。
巣は、礫の間の地上に雌雄で窪みをつくり、植物の破片を敷く。1巣卵数は3~4個で、ほとんどは4個である。
抱卵は雌雄交代で行い、雛は27日ぐらいで孵化する(金子, 1975)。
雛は早成性の離巣性である。自分で採食できるが、初めは両親の抱擁を受ける。両親ともに激しい擬傷行動をとる。
両親の警戒はきわめて厳重で、また危険に対して、雛は徹底的に砂上や礫間にうずくまったまま動かない。
およそ3~4週間ぐらいで独立する。
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最終更新日:2020-06-17 キノボリトカゲ
- 特徴的な行動
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冬は小郡になることがある。とくに日中の休息時や夜間の塒では小郡に集まる。
採食のときは1~2羽ぐらいのことが多い。繁殖期にはなわばり分散をする。
雄どうしの間には、対立の戦い行動や脅しのディスプレイが見られる。
体を水平位にして、平行して走ったり、相互にジグザグに走ったり、相手に向かって走ったりする。
背面の羽毛を伏せて撫でつけた状態にし、くちばしを前方に突き出し、脇の羽毛を両側に拡張している。
面と向かうと立ちはだかるように体を起こし、顎を引いて冠羽を起こし、爪先立ちになって睨み合う。
2~3羽が、ときには4羽が向き合ってこのポーズをとり合う。
番の形成や求愛、あるいは巣づくりに先立って、雄は地上に窪みをつくる仕ぐさを使ったスクレイピングディスプレイをする。
地上の一点にうずくまり、胸を地上に押しつけ、脚で砂を後方にかき出す行動をしながらピッピッピッ……と雌をよぶ。
首を垂直に起こし、翼を斜めに高め、尾羽を少し開く。
雌がそばに近づくと、窪みのふちに立って水平位をとり、尾羽を扇形に開いて窪みを覆う。雌はその傘の下に入って窪みに座る。
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最終更新日:2020-06-17 キノボリトカゲ