- 解説一覧
- チュウシャクシギ(Numenius phaeopus)について
チュウシャクシギ(Numenius phaeopus)
【IUCN】現時点での絶滅危険度の低い種
- 【 学名 】
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Numenius phaeopus (Linnaeus, 1758)
基本情報
- 大きさ・重さ
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・嘴峰:65~493 mm
・翼長:211~260 mm
・跗蹠:52~66 mm
・尾長:88~110 mm
・体重:273~517 g
・卵:長径 52~65.1 mm × 短径 36~41.2 mm 平均長径 58.9 mm × 短径 41.2 mm
参考文献
- 清棲幸保 1955 チュウシャクシギ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅱ. 講談社. 682-684.
最終更新日:2020-05-29 キノボリトカゲ
- 分布
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旧北区。ユーラシア大陸の高緯度地方に点々と繁殖分布し、アフリカ大陸からインド、ニューギニア島、オーストラリア大陸に渡って越冬する。
日本には旅鳥として9~10月と4~5月に、各地に少なからず現れる。
参考文献
- 中村登流 1995 チュウシャクシギ, 中村雅彦、中村登流(著) 原色日本野鳥生態図鑑:水鳥編. 保育社. 107.
最終更新日:2020-05-29 キノボリトカゲ
- 学名の解説
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灰色の足の意味
参考文献
- 吉井正 2005 チュウシャクシギ, 吉井正(監修) 三省堂編修所 (編) 三省堂世界鳥名事典. 三省堂. 185.
最終更新日:2020-05-29 キノボリトカゲ
- 別名・方言名
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一名 Seven whistler の異名がある。
参考文献
- 清棲幸保 1955 チュウシャクシギ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅱ. 講談社. 682-684.
最終更新日:2020-05-29 キノボリトカゲ
- 分類学的位置付け
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チドリ目 シギ科
参考文献
- 吉井正 2005 チュウシャクシギ, 吉井正(監修) 三省堂編修所 (編) 三省堂世界鳥名事典. 三省堂. 185.
最終更新日:2020-05-29 キノボリトカゲ
形態
- 成鳥の形質
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【雄雌同色】
額・頭上・後頭は黒褐色で、中央には白色の小斑からなる細い頭央線が走っている。
眼の上には白色の地に黒褐色の小斑のある眉斑がある。
眼先から黒褐色の過眼線が走り、眼の後方では暗褐色を呈している。
後頸・耳羽・頬・喉は褐色を帯びた白色で、各羽には褐色の小軸斑がある。
腮はクリーム白色。前頸・頸側は白色で、各羽には褐色の小軸斑がある。
肩羽・背は暗褐色で、淡褐色の縁があり、羽縁近くには淡褐色の斑がある。
胸はやや褐色を帯びた白色で各羽には暗褐色の軸斑があり、腹はクリーム白色で、各羽には淡褐色の軸斑があり、腹の中央と下腹には軸斑がない。
脇・下尾筒は白色で、褐色の横縞と軸斑とがあり、下背・腰は白色で、褐色の軸斑があり、上尾筒は白色で、褐色の横縞がある。
下雨覆は白色で、褐色の斑があり、腋羽は白色で、褐色の幅の広い横縞がある。
初列風切は暗褐色で、外側のものでは内弁の基部の羽縁に、内側のものでは内、外弁の基部の羽縁に白色の鋸の歯形の斑紋がある。
内側の各羽の羽縁には白色の縁がある。第2羽の羽軸は白色、他は褐白色である。
次列風切は暗褐色で、内外弁の羽縁には白色の鋸の歯形の斑紋があり、羽端には白色の細い縁がある。
三列風切は細長くて、暗褐色を呈し、淡褐色の縁があり、羽縁には淡褐色の斑がある。大、中、小雨覆も同色である。
初列雨覆、小翼羽は黒褐色で、内側のものは羽端に白色の縁がある。
尾は淡灰褐色で、暗褐色の横縞があり、外側の尾羽の羽端には白色の縁がある。
嘴色は黒色で基部に近いほど褐色を帯び、下嘴の基部は褐色を帯びた肉色である。虹彩は暗褐色、脚色は鉛灰色または灰青色。
参考文献
- 清棲幸保 1955 チュウシャクシギ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅱ. 講談社. 682-684.
最終更新日:2020-05-29 キノボリトカゲ
- 幼鳥の形質
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【雛】
孵化直後の雛は全身に綿羽が生えダイシャクシギの雛に類似するが、全体に淡色で、上には額から後頭までセピア色の太い縦線が2条あり、その線の間には淡黄褐色の細い頭央線がある。
体の上面と下面はダイシャクシギに酷似しているが、体の上面の淡黄褐色はそれより淡く、体の下面はクリーム淡黄褐色を帯びた灰白色で、それより淡色である。
【幼鳥】
体の上面は暗褐色で、各羽端には黄味がかった赤錆色の長円形の斑紋がある。
肩羽は成鳥より淡色、腋羽には褐色の横縞が少なく、縞を欠いているものもある。
尾は黄味がかった赤錆色が強い。嘴は成鳥より短い。
参考文献
- 清棲幸保 1955 チュウシャクシギ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅱ. 講談社. 682-684.
最終更新日:2020-05-29 キノボリトカゲ
生態
- 生息環境
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海岸の干潟、砂浜の水溜まり、マングローブ林のふち、河川の砂泥地、水田などで見られる。
繁殖地では、森林限界付近の矮性灌木地、蘚類や地衣類の多いツンドラ、沼沢地の多い荒れ地などにすむ。
参考文献
- 中村登流 1995 チュウシャクシギ, 中村雅彦、中村登流(著) 原色日本野鳥生態図鑑:水鳥編. 保育社. 107.
最終更新日:2020-05-29 キノボリトカゲ
- 食性
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大きい体と下弯した長い嘴を使って泥地を歩き、もっぱら泥の中に探りを入れ、こじるようにしてカニやカエルなどをほじりだす。
ナメクジやミミズ、小巻貝、小魚、昆虫、水生昆虫の幼虫やベリーなども食べる。
カニをとり出すと、振り回して足をバラバラにして呑み込む。
参考文献
- 中村登流 1995 チュウシャクシギ, 中村雅彦、中村登流(著) 原色日本野鳥生態図鑑:水鳥編. 保育社. 107.
- 清棲幸保 1955 チュウシャクシギ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅱ. 講談社. 682-684.
最終更新日:2020-05-29 キノボリトカゲ
- ライフサイクル
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繁殖期は6~7月、一夫一妻で繁殖する。巣はツンドラ内の乾いた地上に窪みをつくり、植物片で内張りをする。
1巣卵数は2~4個で、ほとんどは4個。両親が抱卵し、27~28日ぐらいで孵化する。
雛は早成性の離巣性で、両親の世話で育ち、35~40日ぐらいで独立する。
参考文献
- 中村登流 1995 チュウシャクシギ, 中村雅彦、中村登流(著) 原色日本野鳥生態図鑑:水鳥編. 保育社. 107.
最終更新日:2020-05-29 キノボリトカゲ
- 鳴き声
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ポイ、ピ、ピ、ピ、ピ、ピ、ピ。ピ、ピ、ピ、ピ、ピ、ピ、ピまたはピイー、ピイ―、ピピ、ピピ、ピピ、ホイーヨ、ホイーヨまたはキョ、キョ、キョ、キョ、キョ、キョ、キョあるいは、ケレ、ケレ、ケレ、ケレ、ケレ、ケレ、ケレなどと特徴のある声で7声づつ続けて区切って啼くのが常で、主として飛翔中や飛び立つときに啼く。
参考文献
- 清棲幸保 1955 チュウシャクシギ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅱ. 講談社. 682-684.
最終更新日:2020-05-29 キノボリトカゲ
- 特徴的な行動
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非繁殖期には10羽ぐらいまでの群れですごす。塒には50~100羽ぐらいで集合する。越冬地では 1000~3000 ㎡ぐらいの採食なわばりをもち、海岸線などに沿って分散する。
繁殖地では 50~150 haに1番くらいの割でなわばり分散する(Cramp & Simmons, 1983)。
なわばりでは求愛、営巣をするが、採食は外に出ていく。雄のフライトディスプレイは地上 150~300 mで、直径 200~400 mを旋回する。
速やかなはばたきの斜上昇と、翼を左右に張ったままの滑空を繰り返し、さえずりをするスイッチバック型である(Cramp & Simmons, 1983)。
参考文献
- 中村登流 1995 チュウシャクシギ, 中村雅彦、中村登流(著) 原色日本野鳥生態図鑑:水鳥編. 保育社. 107.
最終更新日:2020-05-29 キノボリトカゲ