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イソシギ(Actitis hypoleucos)の分類 シギ科(Scolopacidae)
イソシギ(Actitis hypoleucos)の概要 イソシギ属(Actitis)

イソシギ(Actitis hypoleucos)

低危険種 (LC or LR/lc)

【IUCN】現時点での絶滅危険度の低い種

【 学名 】
Actitis hypoleucos (Linnaeus, 1758)

基本情報

大きさ・重さ

・嘴峰:22~27 mm 
・翼長:102~118 mm  
・跗蹠:22~25 mm
・尾長:53~60 mm
・体重:34~76 g 
・卵:長径 31.2~40 mm×短径 24.5~27.5 mm 平均長径 34.9 mm×短径 25.5 mm 重量 12.7 g位

参考文献

  • 清棲幸保 1955 イソシギ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅱ. 講談社. 688-691.

最終更新日:2020-06-09 キノボリトカゲ

分布

旧北区。ユーラシア大陸の中・高緯度地方に広く繁殖分布し、アフリカ大陸中南部からインド、中国南部、東南アジアおよび、ニューギニア島、オーストラリア大陸に渡って越冬する。

日本には北海道、本州、四国、九州などに夏鳥として渡来して繁殖する。

本州中部以南から沖縄県にかけて、かなりの個体数が越冬する。本州中部以北でも越冬するものがある。しかし留鳥ではない。

参考文献

  • 中村登流 1995 イソシギ, 中村雅彦、中村登流(著) 原色日本野鳥生態図鑑:水鳥編. 保育社. 106.

最終更新日:2020-06-09 キノボリトカゲ

学名の解説

種小名は下部が白いの意。

参考文献

  • 吉井正 2005 イソシギ, 吉井正(監修) 三省堂編修所 (編) 三省堂世界鳥名事典. 三省堂. 53.

最終更新日:2020-06-09 キノボリトカゲ

分類学的位置付け

チドリ目 シギ科

参考文献

  • 吉井正 2005 イソシギ, 吉井正(監修) 三省堂編修所 (編) 三省堂世界鳥名事典. 三省堂. 53.

最終更新日:2020-06-09 キノボリトカゲ

形態

成鳥の形質

【雌雄夏羽】
額、頭上、後頭、後頸はブロンズ褐色で、黒色の細い軸斑がある。

眼の上には白色の眉斑があり、眼先から暗褐色の過眼線が走っている。

眼先、腮、喉は白色、耳羽、下喉、頸側は白色で褐色の縦斑がある。

肩羽、背、腰、上尾筒はブロンズ褐色で、各羽には黒色の横縞と黒色の軸線がある。

胸、腹、脇、下尾筒は白色で、上胸には褐色の縦斑があり、胸側は灰褐色で、暗褐色の縦斑がある。

下雨覆は白色で、中央の部分には暗褐色の横帯があり、腋羽は白色である。

初列風切は緑色の金属光沢のある暗褐色で、第3羽以下の内弁の縁の中央には白色の斑があり、内側のものほどこの斑が大きい。

次列風切は暗褐色で、基半部は白色を呈し、内側のものほどこの白色の部分が多く、最内側のものでは白色の部分が主である。

三列風切、中、小雨覆はブロンズ褐色で、黒色の横縞と黒色の軸線とがある。

大雨覆はブロンズ褐色で、羽端には白色の縁があり、初列雨覆は暗褐色で、羽端には白色の縁がある。

小翼羽は暗褐色で、白色の外縁がある。

尾は中央の1対はブロンズ褐色で、羽縁には暗褐色の不明瞭な横縞があり、羽端には白色の細い縁がある。

ほかの尾羽は白色で、褐色の横縞が多数あり、中央近くのものほど褐色勝ちである。

嘴色は暗褐色、下嘴の基部は淡褐色。虹彩は褐色、脚色は黄褐色。

【冬羽】
頸上、後頭、後頸はブロンズ褐色、喉の両側は灰褐色で、各羽には淡色の縁がある。

背の外側の部分には暗色の幅の狭い線になった斑があり、雨覆羽には黒色の縁があり、外側には更に白色の細い縁がある。

上胸には斑紋がなく、暗色の線になった斑が微かにある。

参考文献

  • 中村登流 1995 イソシギ, 中村雅彦、中村登流(著) 原色日本野鳥生態図鑑:水鳥編. 保育社. 106.
  • 清棲幸保 1955 イソシギ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅱ. 講談社. 688-691.

最終更新日:2020-06-09 キノボリトカゲ

幼鳥の形質

孵化直後の雛は全身に綿羽が密生し、頭上および体の上面は淡黄褐色で、各綿羽の先端は煤けた黒色で、上嘴の基部から後頭まで黒褐色の頭央線が走り、後頸は淡黄褐色で各綿羽の基部は煤けた黒色で、後頸から背を過ぎ尾端まで黒褐色の縦線が走っている。

眼先から眼を過ぎ後頸まで黒褐色の過眼線が走り、頸側、下喉は白色で、各綿羽の基部は煤けた黒色である。

体の下面は白色である。幼鳥は、上胸と喉の両側の線になった斑は成鳥の冬羽よりなお不明瞭である。

体の上面の各羽には黄味がかった淡赤錆色の横縞と黒褐色の横帯がある。

参考文献

  • 清棲幸保 1955 イソシギ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅱ. 講談社. 688-691.

最終更新日:2020-06-09 キノボリトカゲ

卵の形質

卵は黄褐色、クリーム淡黄褐色、灰褐白色などのほかに暗褐色またはチョコレート色と灰色または灰紫色との大小さまざまの粗斑や斑点が散在し、斑点は鈍端の方に密在しているのが常である。

参考文献

  • 清棲幸保 1955 イソシギ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅱ. 講談社. 688-691.

最終更新日:2020-06-09 キノボリトカゲ

生態

生息環境

繁殖地では河川、湖沼などの水辺にすみ、水田、畑地などにも採食に現れる。

河川では河口部から亜高山帯の上流部まで見られるが、とくに河原の発達した中流域の河川に多い。

越冬地では河川の中流部から河口部まで見られ、湖沼の水辺にも現れる。

沖縄県ではマングローブ林の水辺でも見られる。礫や砂泥の場所を好み、水辺の灌木の散在する草地にも生息する。

参考文献

  • 清棲幸保 1955 イソシギ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅱ. 講談社. 688-691.
  • 中村登流 1995 イソシギ, 中村雅彦、中村登流(著) 原色日本野鳥生態図鑑:水鳥編. 保育社. 106.

最終更新日:2020-06-09 キノボリトカゲ

食性

水辺を歩いて、昆虫をついばんだりほじくり出したりする。

とくに、ユスリカ類を長いくちばしでつまみとるようについばむ。

石の間にくちばしを入れて、トビケラ類などの水生昆虫の幼虫をとり出したり、砂泥の中にくちばしを差し込んでブユの幼虫などを探り当てる。

そのほか、ゴカイ、カニ、ゲンゴロウ、ゴミムシ、コガネムシなども食す。

参考文献

  • 清棲幸保 1955 イソシギ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅱ. 講談社. 688-691.
  • 中村登流 1995 イソシギ, 中村雅彦、中村登流(著) 原色日本野鳥生態図鑑:水鳥編. 保育社. 106.
  • 吉井正 2005 イソシギ, 吉井正(監修) 三省堂編修所 (編) 三省堂世界鳥名事典. 三省堂. 53.

最終更新日:2020-06-09 キノボリトカゲ

ライフサイクル

繁殖期は4~7月、一夫一妻で繁殖するものが多いが、同時的な一夫二妻、継時的な一妻多夫の例がある。

巣は砂地に浅い窪み(スクレイプ)を堀り、枯れ草を敷いて皿形につくる。

雌雄共同でつくるが、最初は雄が始める。1巣卵数は3~4個で、ほとんどが4個だが、まれに5~7個のことがある。

雌雄交替で抱卵する。夜間の抱卵は雄が行い、早朝に雌と交替して午後2~4時ごろまでに雄が交替する。

雛は22~25日ぐらいで孵化し、雛は早成性の離巣性で、密生した幼綿羽をもち、孵化後数時間で巣を離れる。

両親の世話を受けて育ち、25~30日ぐらいで独立する。孵化して初めの数日間は抱雛するが、雄が行う場合が多い。

番によっては雌も行う。ほとんどの番で、雛の世話のしかたに雌雄の差がある。雄は雛の近くにいて抱雛したり、採食中つき添ったりする。

雌は少し離れていて、捕食者の警戒にあたり、先ず警戒声を発して進入者に近づき、激しく警戒をする。雌は雄より早く家族から離れてしまう。

参考文献

  • 中村登流 1995 イソシギ, 中村雅彦、中村登流(著) 原色日本野鳥生態図鑑:水鳥編. 保育社. 106.

最終更新日:2020-06-09 キノボリトカゲ

鳴き声

ピイーッ、ピイーッ、ピ、ピ、ピ、ピ、ピ、ツィー、ツィー、ツィーと澄んだ清らかな声で啼き、飛び立ち際や飛翔中にも啼く。

雛をつれているときにはピッ、ピッ、ピッ、ピッ、ピッと絶えず啼く。夜間にも啼くことがある。

参考文献

  • 清棲幸保 1955 イソシギ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅱ. 講談社. 688-691.

最終更新日:2020-06-09 キノボリトカゲ

特徴的な行動

非繁殖期には単独で採食することが多く、塒では4~5羽の小群に集まる。

繁殖期にはなわばり分散をするが、あまり厳密ではなく、行動圏が重なり合うこともある。

なわばりの直径は 80~150 mぐらいである。

雄は雌が現れるとさえずりをともなうフライトディスプレイを行い、雌をよび込む。地上 10~20 mぐらいの空中を、モスタイプの奇妙なはばたきで旋回する。

その後、雄は自分の領域内で穴掘りのスクレイピングディスプレイを行う。

雌が見ている前で砂地にうずくまり、脚で蹴るように掘りながら体を回転させる。

そのとき雌を呼ぶ発生をし、雌が近づくと窪みの脇に立ち上がり、体を水平にして尾羽を扇のように開く。

雌はその下に入って窪みを改める。繁殖の初期には雌は複数の雄を訪れ、気に入った雄を選ぶ。

雄は複数の雌を継時的に呼び込み、スクレイピングディスプレイを繰り返す。

参考文献

  • 中村登流 1995 イソシギ, 中村雅彦、中村登流(著) 原色日本野鳥生態図鑑:水鳥編. 保育社. 106.

最終更新日:2020-06-09 キノボリトカゲ

その他生態

夏季は雄雌で生活し、渡りのときには多くは単独または2~6羽位の家族群をなす。

湖畔、河畔の砂原や草原または海岸の干潟、波打ち際に降りて、両脚を交互にして早足であちこちと活発に活動する。

頸を前後に振って歩きながら餌を捜し求め、時折り立ち止まって尾端を上下にピョコ、ピョコと振り動かす。

浅瀬の水中を歩渉したり、泳いだり潜ったりすることもある。

ときには樹枝上に止まることもある。長い三角形の翼を小刻みに羽搏き、翼端をある間隔を置いてピリ、ピリと留めつつ低空を直線的に飛翔する。

飛翔時には翼の白帯が明瞭に目立ち、脚を長く尾端から出す。

雛をつれたときは附近の空を飛び廻って絶えず啼き続ける。夜間に渡りを行う。

繁殖期には雄は翼を激しく羽搏いて停空飛翔したり、または翼を上げて地上を走ったりして啼きながら誇示し、ときには雌の周囲を円を描いて走り回ることもある。

参考文献

  • 清棲幸保 1955 イソシギ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅱ. 講談社. 688-691.

最終更新日:2020-06-09 キノボリトカゲ

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