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ミユビシギ(Calidris alba)の分類 シギ科(Scolopacidae)
ミユビシギ(Calidris alba)の概要 オバシギ属(Calidris)

ミユビシギ(Calidris alba)

低危険種 (LC or LR/lc)

【IUCN】現時点での絶滅危険度の低い種

【 学名 】
Calidris alba (Pallas, 1764)

基本情報

大きさ・重さ

・嘴峰:21.5~29 mm
・翼長:110~131 mm
・跗蹠:22~28 mm
・尾長:43~57 mm
・体重:36~84 g

参考文献

最終更新日:2020-07-07 キノボリトカゲ

分布

全北区。ユーラシア大陸と北アメリカ大陸の環極地方、チュコト半島、カナダ北部、グリーンランドに繁殖分布し、冬は赤道周辺からアフリカ大陸南部、オーストラリア大陸、南アメリカ大陸までの広い範囲にわたってすごす。

日本には旅鳥として全土に現れ、8~10月と5通期に見られる。本州以南では少数が越冬する。

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最終更新日:2020-07-07 キノボリトカゲ

分類学的位置付け

シギ科

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最終更新日:2020-07-07 キノボリトカゲ

形態

成鳥の形質

【雄雌夏羽】
額は濃い赤錆色で黒褐色の軸斑があり、頭上・後頭・後頸は黒色で、各羽には濃い赤錆色の縁がある。

眼の上には淡赤錆色の眉斑があり、眼先・耳羽・頬・腮・喉・前頸・頸側は赤錆色で、黒褐色の小軸斑がある。

肩羽・背・腰・上尾筒は黒色で各羽には赤錆色の縁、斑点、横帯などがあり、外側には白色または灰白色の縁がある、上尾筒の両側は白色である。

胸は濃い赤錆色で、黒褐色の円形の小斑があり、各羽の基部は白色である。

雌は雄より淡色で、白色勝ちである。腹・下尾筒は白色、下雨覆・腋羽は白色である。

初列風切の外弁は黒褐色、基部は白色、内弁は褐白色、先端は黒褐色を呈し、羽軸は大部分白色である。

内側のものの外弁の基部は大部分白色である。

次列風切は白色で、先端は暗褐色を呈し、白色の縁があり、内側のものほど白色部が多い。

三列風切は背と同様、大雨覆は褐色で、羽端には白色の幅の広い縁があり、中・小雨覆は黒褐色、初列雨覆・小翼羽は黒褐色で、羽端には白色の縁がある。

尾は中央の1対は黒褐色で、ほかの尾羽は灰褐色で、羽端には白色の縁があり、羽軸は白色である。

嘴色は黒色、虹彩は暗褐色、脚色は黒色。

【雄雌冬羽】
額・耳羽・頬・腮・喉は白色、眼の上には白色の眉斑があり、頭上・後頭・後頸は淡灰鼠色で、暗褐色の軸斑があり、羽換したときには白色の縁がある。

体の上面は淡灰鼠色で、各羽には暗褐色の軸斑があり、羽換したときには白色の縁がある。

体の下面は白色である。

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最終更新日:2020-07-07 キノボリトカゲ

幼鳥の形質

【雛】
孵化直後の雛は全身に幼綿羽が生え、頭上はクリーム色で、中央には額から後頭まで黒色の頭央線が走る。

後頸はクリーム色で、各幼綿羽の基部は暗色である。

眼先はクリーム色で、嘴の基部から眼まで黒色の線が2条走る。

体の上面にはクリーム色、赤味のある淡黄褐色、黒色とからなる不規則な斑があり、小白斑がところどころに散在する。

体の下面は白色で、頬、腮、喉はクリーム色を帯びている。

【幼鳥】
体の上面は黒色で、各羽にはクリーム色または白色の斑が側縁と羽端とにある。

後頸と腰は灰白色勝ちである。体の下面は白色で、下喉の両側または下喉全体は黄味がかった赤錆色を帯び、下喉の両側には褐色の斑点がある。

大雨覆には白色の斑があり、中雨覆はクリーム色で、黒色の軸線があり、小雨覆は黒褐色である。

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生態

生息環境

海岸の砂浜の波打ち際、広い砂浜、干潟、干拓地の水溜まりなどで見られる。

繁殖地は、北極圏の岩石沙漠、石の多い不毛のツンドラなどの植生の疎らなところにすみ、海岸から離れた場合は、淡水域の近くで水につかる石の多い所を好む。

むき出しの粘土質の高地のまっただ中で繁殖する点で、ほかのシギ類と異質である。

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食性

波打ち際で採食する。波の動きに合わせてまるでチドリ類のように走り回り、あわてて隠れようとするハマトビムシなどをついばむ。

浅く探りを入れたり、表面からついばんで食べる。

繁殖地では、アブ、カ、ガガンボなどの昆虫の幼虫・成虫を食べるが、まだ動物が活動しない時期には岩につくコケ類や海藻の芽なども食べる。

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鳴き声

地上で餌を漁るときにはピィ―、ピィ―、ピィ―と早口に啼き、飛翔時にはフィー、フィーまたはクィ―クィ―と啼く。

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最終更新日:2020-07-07 キノボリトカゲ

特徴的な行動

繁殖期は6~7月、一夫一妻で繁殖するが番の関係は短く、抱卵前に1巣卵数がそろうと解消する。

速やかな過程で、雌も雄もほかの相手と組んでもうひとつの1巣卵数を作り上げる。

雄ははじめの巣に、雌は次の巣について抱卵し雛の世話をするという二重巣卵体制であるらしい(Johnsgard, 1981)。

これは地域によって異なるようで、グリーンランドでは両親が抱卵と雛の世話をしていたという(Johnsgard, 1981)。

巣は、まるでチドリ類のように覆いのない開かれたところにつくり、地上の窪みにヤナギ類の枯れ葉や植物片などを敷く。

1巣卵数は3~4個で、ほとんどは4個。雄か雌は早成性の離巣性で、24~31日ぐらいで孵化する。

その後雄または雌の世話で育ち、わずか17日ぐらいで親から離れる(Johnsgard, 1981)。

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その他生態

非繁殖期には群れで現れ、2~3羽から20~30羽であることが多く、ときには200~500羽の大群で現れることもある。

クリークリーとかビリービリーと小声で鳴き交わしている。繁殖地には小群で到来する。

雄はなわばりを設立し、直径 300~400 mの地域で、番の形成の前にフライトディスプレイを行う。

地上 9 mぐらいで行われるが、20 mぐらいの高さになることもあり、翼を振動させる飛翔と短い滑空飛翔とを交互にしながら、カエルのようなコールを繰り返す(Johnsgard, 1981)。

雄が地上で雌に行うディスプレイがあり、つばさを下げ、猫背のポーズで羽毛を逆立てて、尾羽を押し下げて開いた状態で雌について回る。

求愛には窪みを使う。交尾は雌のイニシアチブで、その窪みの上で行う(Johnsgard, 1981)。

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最終更新日:2020-07-07 キノボリトカゲ

種・分類一覧