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- ソリハシセイタカシギ(Recurvirostra avosetta)について
ソリハシセイタカシギ(Recurvirostra avosetta)
【IUCN】現時点での絶滅危険度の低い種
- 【 学名 】
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Recurvirostra avosetta Linnaeus, 1758
基本情報
- 分布
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旧北区。エチオピア区、ユーラシア大陸の低・中緯度地方、アフリカ大陸南部などに点々と不連続に繁殖分布し、冬はアフリカ大陸沿岸、ユーラシア大陸南部などの沿岸に広がってすごす。
日本にはまれな冬鳥として、本州以南にごく少数が渡来する。
青森、宮城、愛知、岡山、島根、山口、福岡、佐賀、熊本、沖縄などの各県や小笠原諸島に記録があり、11月から翌年の4月までが多い。
大抵1~4羽で現れるが、1982年に島根県宍道湖で9羽の記録がある。
参考文献
最終更新日:2020-05-20 キノボリトカゲ
形態
- 成鳥の形質
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くちばしが上方に弯曲し、小さな後指があり、前の趾の間に水かきが発達し、水上をよく泳ぐ。
頭部から頸部、体側部、肩羽は黒色。風切羽基部は白色、初列雨覆は基部が白色、先端は黒色。そのほかの体の部分は白色。
嘴は黒く、足は青灰色である。雌雄はほぼ同色であるが、雄の虹彩は赤褐色、雌は薄茶色。
参考文献
最終更新日:2020-05-20 キノボリトカゲ
生態
- 生息環境
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温帯から熱帯にかけて幅広く生息する。
比較的乾いたところで繁殖し、潟湖、塩湖、湿地などの徐々に水が干上がっていき、新しい泥が出てくるようなところを好む。
また塩性のためにあまり植性が発達しないようなところを好む。
必然的に不安定な変異帯としての環境に左右され、不定期な移動を余儀なくさせられる。
日本では、波の穏やかな入江や潟湖の広々とした干潟に現れることが多い。
参考文献
最終更新日:2020-05-20 キノボリトカゲ
- 食性
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比較的深い水に入って採食する。特殊な形をしたくちばしの使い方には3つの方法が知られている(Cramp & Simmons, 1983)。
①くちばしが水平になるように突き出して前に動かしながら、透き通った水や泥の表面からついばむ。
②首を左右に動かして、濁った、水や水っぽい泥の中からくちばしですくいとるようにする。
③頭やくちばしを30度ぐらいにして水の中に入れて、楕円形に動かす。
このようにして昆虫、甲殻類、ゴカイ類、軟体動物などを食べる。くちばしで水中を左右になぐとき、セイタカシギとは逆に内側から外側に首を動かす(中村, 観察)。
参考文献
最終更新日:2020-05-20 キノボリトカゲ
- ライフサイクル
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繁殖期は4~7月、一夫一妻で繁殖する。巣は水域の近くにあり、浅い窪みに植物片で内張りをする。
いくつもの窪みをつくり、その一つを選んで雌雄共同でつくる。
1巣卵数は3~4個で、4個の場合が多い。大きいコロニーの中には12卵という記録がある(Johnsrard, 1981)。
両親が抱卵し、雛は23~25日ぐらいで孵化する。交替は頻繁で、1時間に1回ぐらいになる(Johnsrard, 1981)。
両親が雛の世話を行い32~42日ぐらいで巣立つ。
参考文献
最終更新日:2020-05-20 キノボリトカゲ
- 特徴的な行動
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非繁殖期には20~30羽ぐらいの小群で生活する。家族のつながりは強い(Cramp & Simmons, 1983)。
日本にはより小さいグループで現れる。塒集合がある。繁殖期にはコロニーへ集合し、番でコロニーの近くの採食なわばりを防衛する。
繁殖期の初めと終わりのころには番の関係は不明瞭で、雄も雌にも乱婚的な状態がある(Cramp & Simmons, 1983)。
コロニーの規模は10番から90番までのものが多いが、100~200番というものも知られている。
コロニー内では巣の周りの狭いなわばりは直径 3 mぐらいと言われているが、防衛行動は曖昧で、なわばりはないともいわれる(Cramp & Simmons, 1983)。
雛連れの家族のなわばりは 2000 ㎡ぐらいになる(Cramp & Simmons, 1983)。
繁殖期の雄のフライトディスプレイはなく、3~15羽の雄が集まる騒がしいグループディスプレイが知られており、番の形成にかかわるものらしい。
参考文献
最終更新日:2020-05-20 キノボリトカゲ