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- ハイイロヒレアシシギ(Phalaropus fulicarius)について
ハイイロヒレアシシギ(Phalaropus fulicarius)
【IUCN】現時点での絶滅危険度の低い種
- 【 学名 】
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Phalaropus fulicarius (Linnaeus, 1758)
基本情報
- 大きさ・重さ
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・嘴峰:21~27 mm
・翼長:雄 125~135 mm 雌 135~142 mm
・跗蹠:20~23 mm
・尾長:60~73 mm
・体重:33~55 g
・卵:長径 27.5~33.8 mm×短径 20.5~24.5 mm 平均長径 30.4 mm×短径 21.8 mm
参考文献
最終更新日:2020-08-26 キノボリトカゲ
- 分布
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全北区。ユーラシア大陸と北アメリカ大陸の北極圏、環極地方と北極海の島々に繁殖分布し、アカエリヒレアシシギよりさらに北極寄りの繁殖者である。
冬はアフリカ大陸西・南部や南アメリカ大陸西南部に渡ってすごす。
日本には旅鳥として、8~11月と4~5月ごろに現れる。秋にはあまり海岸に近づかないが、春の渡り期にときどき見られる。
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形態
- 成鳥の形質
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【雄夏羽】
頭上は一様に黒色でなく黒褐色に赤褐色の線になった斑があり、眉斑は白色でなく黄味がかった赤錆色かまたは淡赤褐色を帯びている。
体の上面は雌の夏羽と同様である。体の下面は一様に栗色でなく、中央の部分では白色を多少混じている。体が雌より小型である。
【雌夏羽】
額・頭上・後頭・後頸は光沢のない黒色、眼先・腮・喉は光沢のない黒色で石盤色に近い色を呈している。
眼の上から後頸まで白色の細い眉斑が走っている。耳羽は白色、頬の後端および喉の両側・頸側は栗色である。
肩羽・背は黒色で、各羽には黄味がかった赤錆色の幅の広い縁がある。
胸・腹・脇・下尾筒は栗色で、各羽の基部は黒色、中央は白色であるが外部からは見えない。
腰は灰鼠色で、腰の両側には白色の幅の広い縦斑がある。
上尾筒は赤褐色で、中央の部分の各羽は黒色で、黄味がかった赤錆色の幅の広い縁がある。
下雨覆・腋羽は白色。初列風切は石盤黒色で、内弁の基部近くは灰白色を呈し、羽軸は白色である。
内側の風切羽の外弁の基部は白色である。次列風切は暗石盤色で、基部近くは白色を呈し、内側風切羽ほど白色の部分が多い。
内弁の縁は白色、先端には白色の細い縁があり、羽軸は白色である。
三列風切は暗石盤色、大雨覆は暗灰鼠色で、先端には白色の幅の広い縁があり、中雨覆は暗石盤色で、白色の極細い縁があり、小雨覆は暗石盤色である。
初列雨覆・小翼羽は石盤黒色。尾は中央の1対は暗褐色で、黄味がかった赤錆色の縁がある。
ほかの尾羽は灰鼠色で、白色の極く細い外縁があり、外弁の先端には赤錆色または黄味がかった赤錆色の斑があるものもある。
嘴色は暗黄色、先端は暗褐色。虹彩は暗褐色。脚色は淡青色かまたは青緑色。
【雄雌冬羽】
額・頭上・頭側・頸・頬・耳羽・眼先・腮・喉は純白色、後頸は石盤黒色を呈し、後頭には黒色の帯になった斑があり、眼の前には黒色の斑があり、眼の下、眼の後方にかけて灰黒色の線で引き続いている。
体の上面は青灰色、上尾筒の両側は純白色、体の下面は純白色である。
嘴色は褐色を帯びた黒色、脚色は緑灰色、関節の部分は暗色、内趾は淡黄色、外趾は暗灰色。
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- 幼鳥の形質
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【雛】
孵化直後の雛は全身に綿羽が密生し、前頭および頭上は赤錆色を帯びた淡黄褐色で、頭上にはビロード黒色の斑点があり、嘴の基部には黄褐色の細い線が走り、頭上の両側には黄白色(各羽の先端は黒褐色)の眉斑が走り、眼先から眼まで黒褐色の細い過眼線が走り、耳羽には黒色の斑がある。
頬および頸側、腮、喉は黄白色(各羽の先端と基部は煤けた黒色)で、後頸の両側は赤錆色を帯びた淡黄褐色(各羽の先端は煤けた黒色)で、中央は煤けた黒色(各羽の先端は黄色)である。
背の中央下部、腰の両側、前膊、腿などにはビロード黒色の帯や斑があるが、そのほかの体の上面や体側は黒色、赤錆色を帯びた淡黄褐色、淡黄褐色を帯びた白色など3色の混じった複雑な斑紋をなしている。
体の下面は灰白色で、各羽の基部は煤けた黒色である。
【幼鳥】
頭上の各羽には赤錆色を帯びた褐色の縁があり、喉・上胸は赤錆色を帯びた褐色であるが、上喉は暗色を呈し灰色を帯びている。
体の上面は成鳥の夏羽に類似する。体の下面は上胸以下は純白色を呈するが、脇は赤錆色を帯びた褐色で、暗色の軸斑がある。
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生態
- 生息環境
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渡り期には海岸や海上に現れ、むしろ洋上に多い。海が荒れたときに内陸へ入ることがあるが、アカエリヒレアシシギほどは見かけない。
海洋性の鳥で、沿岸にはあまり近づかない。
繁殖地では北極地方の平坦な低地のツンドラにすみ、大小の浅い池が多数散在し、コケ類や草が覆う湿地草原を好む。
アカエリヒレアシシギよりいっそうツンドラ性である(Johnsgard, 1981)。
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- 食性
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繁殖期には双翅類の成虫・幼虫をよく食べ、次いで甲虫などほかの昆虫、甲殻類、小魚などを食べる。
水面を泳ぎ回り、盛んにターンして、クルクルと回転しながら水面近くをくちばしでついばむ。
アカエリヒレアシシギよりスピンはゆっくりしている(Hohn, 1971)。
海上ではしばしばクジラについて回り、その背から寄生虫をついばむ(Johnsgard, 1981)。
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- 特徴的な行動
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繁殖期は6~7月、基本的には一夫一妻で繁殖する。番の結合は短期的で、抱卵が始まると解消する。
巣は湿地の小低木や草の間、あるいは谷地坊主の上などに雌雄でつくるが、主として雄がつくり、雌はその近くにいていくつかのひとつを選んで産卵する(Hohn, 1971)。
1巣卵数は4個、雄だけが抱卵し、雛は早成性の離巣性で、18~19日ぐらいで孵化する(Johnsgard, 1981)。
雄だけで雛を世話し、雛は18~21日ぐらいで独立するが、まだ飛べない。雄親はこの雛を置いて繁殖地を去る(Kistchinski, 1975)。
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- その他生態
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集合性の強い鳥で、冬は20羽から数百羽の群れですごし、渡り期には数千羽にもなる。
繁殖期にはルーズなコロニーで集まる。雌は群れていて、それぞれが直径 100~200 mにおよぶサークルを描いてフライトディスプレイをする。
ゆっくりした特殊なはばたきで、クリー、クリーと繰り返しながら旋回する(Kistchinski, 1975)。
7羽ぐらいの雌のグループがそれぞれ空間を空けていて、近づくと脅しのディスプレイをするが、場所とは結びついていない点でなわばりではない(Hohn, 1971)。
雄は雌の頭上へホバリングをしかけるが、雌に追い払われる(Hohn, 1971)。
一方、雌が雄に迫ると、初めは雄は雌を追い払うが、やがて雌の接近を許すようになり、飛び立って、2~3羽の雌の追いかけを挑発する。
雌は水面か地上に下りて翼を上げたり、ほかの雌を追い払ったりする。
雌は泳ぎ回りながら雄に近づき、クリックリッとコールしながら、並行して腹を押し付けたりくちばしで触ったりする(Kistchinski, 1975)。
求愛行動にしても、交尾行動にしても雌のほうが活動的で積極的にふるまう(Hohn, 1971)。
しかし、交尾のときは雄がホバリングして雌の上に乗る。
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