- 解説一覧
- ツバメチドリ(Glareola maldivarum)について
ツバメチドリ(Glareola maldivarum)
【IUCN】現時点での絶滅危険度の低い種
【環境省】絶滅の危険が増大している種
- 【 学名 】
-
Glareola maldivarum J. R. Forster, 1795
基本情報
- 大きさ・重さ
-
・嘴峰:12~19 mm
・翼長:173~196 mm
・跗蹠:29~36 mm
・尾長:71~85 mm
・体重:65~186 g
・卵:長径 28~34.2 mm×短径 21.4~25.3 mm 平均長径 30.8 mm×短径 23.9 mm
参考文献
最終更新日:2020-06-18 キノボリトカゲ
- 分布
-
旧北区、東洋区。ユーラシア大陸極東部の中国北東部から東南アジアのマレー半島を経て、インド北部までに繁殖分布し、冬はインドから東南アジア、フィリピン、ボルネオ島、ニューギニア島、オーストラリア大陸に渡ってすごす。
日本では旅鳥または迷鳥として渡来するといわれていたが、1974年に宮崎県都城市で繁殖が確認され、それ以後、繁殖記録が増えてきた。
埼玉県本庄市利根川、静岡県小笠郡、愛知県汐川河口、三重県熊野市、鳥取県米子市、福岡県大牟田市、沖縄県宮古島など本州中部以南で繁殖の記録が多い。
また北海道、本州、四国、九州などの各地に出現記録があり、秋の記録が多い。
めったに見られない地方が多いが、不規則な出現として福岡県山門郡の干拓地では150羽に達する大群が現れたことがある。
また、愛知県渥美半島の農耕地では、繁殖した親子や旅鳥として渡来したものが秋に多数見られる(愛知県, 1983)。
希少種に指定されている。
参考文献
最終更新日:2020-06-18 キノボリトカゲ
- 亜種・品種
-
本種をロシア西部に分布するハネグロツバメチドリ G. nordmanni とともに、ヨーロッパ・アフリカに分布するネズミツバメチドリ G. pratincola の亜種とすることもある。
参考文献
最終更新日:2020-06-18 キノボリトカゲ
形態
- 成鳥の形質
-
背と胸はオリーブ褐色で、腹は白っぽい。翼と尾は黒く、喉はクリーム色で黒い縁取りがある。
尾は燕尾で、飛ぶ姿もツバメやアジサシに似る。嘴は基部が幅広く、先端は少し下に曲がる。
参考文献
最終更新日:2020-06-18 キノボリトカゲ
生態
- 生息環境
-
干潟や海岸の湿地草原や荒れ地状草原、干拓地、河口の三角州、砂浜、湖畔、河川敷、河畔や農耕地などで見られ、開けて植生の疎らな露出地面の多いところを好む。
参考文献
最終更新日:2020-06-18 キノボリトカゲ
- 食性
-
空中を飛びながら、飛翔中の昆虫をくわえとって食べる。ジグザグを描く巧妙な飛翔技術で追い回す。
地上から飛び上がって飛びつくこともする。
また、地上を歩いたり走ったりして、急に止まってついばむというチドリ類のようなやりかたもする。
昆虫食が中心で、トンボ類や直翅類を大いに食べる。空中での活動は朝方と夕方に多く、日中はむしろ地上にいることが多い。
参考文献
最終更新日:2020-06-18 キノボリトカゲ
- ライフサイクル
-
繁殖期は3~6月、一夫一妻で繁殖する。巣は地上の窪みだが、窪みを掘るかどうかはわかっていない。
地上に直接産卵する。1巣卵数は3~4個、雌雄交代で抱卵する(遠藤ほか, 1987)。
雛は17~18日ぐらいで孵化する。雛は密生した幼綿羽に覆われ、早成性の離巣性である。
近縁種のニシツバメチドリ(G. pratincola)は、孵化後の初めの1週間ぐらいは親が吐きもどした餌で養われるが(Cramp & Simmons, 1983)、ツバメチドリではまだ不明である。
両親の世話によって育ち、21~22日ぐらいで親を離れる。
参考文献
最終更新日:2020-06-18 キノボリトカゲ
- 特徴的な行動
-
非繁殖期には集合性があり、30~40羽ぐらいの群れでいることが多く、ときには数百羽になることもある。
繁殖期でも集団性は強く、集団営巣でコロニアルである。
福岡県大牟田市の干拓地の繁殖記録では、1975年には24羽が現れ、少なくとも4番の巣が見つかっている。
翌1976年には36羽が訪れ、10巣が見つかっている(福岡県の自然を守る会, 1978)。
愛知県汐川河口の場合も、1976年に10番が集団繁殖した。巣は近くに営巣される場合でも分散している。
また同種のコロニーだけでなく、シロチドリやコアジサシのコロニーに混じって営巣することもある。
参考文献
最終更新日:2020-06-18 キノボリトカゲ