オオセグロカモメ(Larus schistisagus)の解説トップに戻る
オオセグロカモメ(Larus schistisagus)の分類 カモメ科(Laridae)
オオセグロカモメ(Larus schistisagus)の概要 カモメ属(Larus)

オオセグロカモメ(Larus schistisagus)

低危険種 (LC or LR/lc)

【IUCN】現時点での絶滅危険度の低い種

【 学名 】
Larus schistisagus Stejneger, 1884

基本情報

大きさ・重さ

・嘴峰:53~67 mm
・翼長:415~450 mm 
・跗蹠:62~73 mm
・尾長:160~193 mm
・卵:長径 68~82 mm×短径 48~55.5 mm 平均長径 62.9 mm×短径 53.3 mm

参考文献

最終更新日:2020-06-23 キノボリトカゲ

分布

旧北区。日本海、オホーツク海、ベーリング海のアジア側に分布する。

これらの沿岸で繁殖し、冬は周辺の海域に広がり、東シナ海北部まで南下する。

日本では北海道と本州北部で繁殖し、留鳥または冬鳥で、九州南部あたりまで現れる。

北海道では利尻島・天売島・大黒島・霧多布岬・ユルリ島・モユルリ島・知床半島などに繁殖コロニーが知られ、本州北部では岩手県の椿島、三貫島に繁殖の記録がある。近年増えている。

参考文献

最終更新日:2020-06-23 キノボリトカゲ

分類学的位置付け

チドリ目 カモメ科

参考文献

最終更新日:2020-06-23 キノボリトカゲ

形態

成鳥の形質

夏羽の頭・下面・尾は白色、背・翼上面は灰黒色で外側初列風切は黒く白斑がある。

嘴は黄色で下嘴先端に赤斑がある。足は肉色。若鳥は褐色で黒褐色斑があり、嘴は黒色、足は淡紅色。

参考文献

最終更新日:2020-06-23 キノボリトカゲ

幼鳥の形質

体の上面は淡褐色で、各羽には淡色の緑と暗色の縦斑がある。

体の下面は灰色で、腮は白色を呈している。

初列風切羽は暗褐色、次列風切、三列風切、雨覆羽は褐色で各羽には淡色の縁がある。

尾は褐色で、先端には白色の縁があり、基部は灰白色で、暗褐色の大理石様の斑がある。

参考文献

最終更新日:2020-06-23 キノボリトカゲ

卵の形質

卵はオリーヴ色、淡青色、淡緑青色、オリーヴ青色、灰褐色などの地に、暗褐色の粗大な斑紋や線形の斑と、灰鼠色或は淡紫灰色の斑紋が散在する。

参考文献

最終更新日:2020-06-23 キノボリトカゲ

生態

生息環境

繁殖期には、断崖に囲まれた岬、孤島、岩礁に集まる。

非繁殖期には比較的沿岸にいて、岩石海岸、河口部、砂浜海岸、漁港などで見られ、北海道では海岸地域の市街地や牧場にも入ってくる。

しばしば海岸の防波堤に止まって休息する。

参考文献

最終更新日:2020-06-23 キノボリトカゲ

食性

沿岸を海岸線に沿って飛び続け、水面や地上から飛びながらついばみとったり、水面に下りて泳ぎながらついばむ。

海の掃除屋といわれるように、落ちている動物の死体や生体、破片を拾いとる。

しばしば市街地や農地、牧場などのゴミ捨て場に集まり、ゴミをあさることも多い。

ウミネコやウミスズメ類の雛、小型の成鳥までも捕らえて食べるため、日本ではウミガラスなどを絶滅に追い込んでいる。

漁港にも集まり、魚の死体や残り物を拾って食べる拾い屋であるとともに、腐肉食者でもある。

参考文献

最終更新日:2020-06-23 キノボリトカゲ

ライフサイクル

繁殖期は5~8月、一夫一妻で繁殖する。

巣は、岩礁の上、岬や孤島の草つきの斜面、岩壁の岩棚などに先ず浅い窪みをつくり、枯れ草や海藻を集めて浅い皿形に仕上げる。

雌雄共同でつくるが、巣材集めなどは雄の方が熱心である(橋本, 1977,1979)。

産卵期から1羽は巣に座っている。1巣卵数は2~3個、雌雄交替で抱卵し、雛の孵化には25~26日ぐらいかかる。

第1卵産卵後から抱卵に入るので、全雛の孵化には2~3日のずれが生じる。

抱卵交替は数時間で行い、交替には雌が頭を振ったり、くちばしを下げてうずくまるようなディスプレイをする。

孵化後数日は抱雛するが、雛は親の羽の下から出入りする。3~4日で雛は親の下に入らなくなる。

親の1羽が餌をとりに出ている間、ほかの1羽は雛の傍らで見張っている。

雛が給餌に近づく親のくちばしの赤い斑点をくちばしでつつくと、親は一部消化した餌を吐き出して雛に与える。

大きくなると、親が吐き出すのを待ちきれず、親のくちばしの中からくわえて引きずり出す。

雛は約40日ぐらいで巣立ち、巣立ち語の10日ぐらいは親からの給餌を受ける(橋本, 1977,1979)。

参考文献

最終更新日:2020-06-23 キノボリトカゲ

鳴き声

ニャーオ、ニャーオまたはクァー、クァーなどとネコの啼声に似た声で啼き、飛びながら啼くことが多い。

蕃殖期に巣に近寄るとグワッ、グワッ、グワッ、グワッと喧しい声で啼き叫び、附近の上空を啼きつつ飛廻るのが常である。

参考文献

最終更新日:2020-06-23 キノボリトカゲ

特徴的な行動

雌雄ともに防衛行動をとり、雄の方が激しく頭を上下させたり、首を伸ばしてくちばしを下に向けるディスプレイをする。

求愛行動は雌が頭を後方に投げ上げたり、くちばしを雄のくちばしに打ちつけたりする。

そうすると雄は餌を吐き出して雌に与えるが、これは雄による求愛給餌にあたる(橋本, 1978, 1979)。

参考文献

最終更新日:2020-06-23 キノボリトカゲ

種・分類一覧