- 解説一覧
- セグロカモメ(Larus argentatus)について
セグロカモメ(Larus argentatus)
【IUCN】現時点での絶滅危険度の低い種
- 【 学名 】
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Larus argentatus Pontoppidan, 1763
基本情報
- 大きさ・重さ
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・嘴峰:50~62 mm
・翼長:400~465 mm
・跗蹠:63~71 mm
・尾長:152~188 mm
・体重:雄 987~1775 g 雌 688~1250 g
・卵:長径 67.5~77.5 mm × 短径 48~50.5 mm 平均長径 70.9 mm × 短径 48.9 mm
参考文献
- 清棲幸保 1954 セグロカモメ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅲ. 講談社. 811-814.
最終更新日:2020-06-02 キノボリトカゲ
- 分布
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全北区分布型。ユーラシア大陸の高緯度地方、地中海地域から中央アジアの湖沼地帯、北アメリカ大陸の高緯度地方の湖沼地帯に繁殖分布し、冬は地中海から太平洋をとり巻く沿岸に南下して広範囲に広がる。
日本には9月から翌年の5月ごろになかり多くみられる。
参考文献
- 中村登流 1995 セグロカモメ, 中村雅彦、中村登流(著) 原色日本野鳥生態図鑑:水鳥編. 保育社. 265.
最終更新日:2020-06-02 キノボリトカゲ
- 分類学的位置付け
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チドリ目 カモメ科
参考文献
- 吉井正 2005 セグロカモメ, 吉井正(監修) 三省堂編修所 (編) 三省堂世界鳥名事典. 三省堂. 299.
最終更新日:2020-06-02 キノボリトカゲ
- 人間との関係
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ノーベル賞を受賞したイギリスの鳥学者ティンバーゲンにより、本種の行動学的研究が行われ、嘴の赤斑の意味など、興味ある事実が生物の教科書に載っている。
参考文献
- 吉井正 2005 セグロカモメ, 吉井正(監修) 三省堂編修所 (編) 三省堂世界鳥名事典. 三省堂. 299.
最終更新日:2020-06-02 キノボリトカゲ
形態
- 成鳥の形質
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【雌雄夏羽】
頭部、頸は純白色、眼瞼は赤色である。背・肩羽は青灰色、胸・腹・脇・腰・上尾筒・下尾筒は純白色である。
下雨覆・腋羽は白色。初列風切の第2羽は黒色で、先端には白色の長さ 50~60 mm位の幅の広い帯があり、この先端近くには黒色の細い帯がある。
黒色の帯の幅はいろいろでときには全くこれを欠くものもある。内弁の縁は灰白色であるが、多くは基部だけである。
第3羽は黒色で、先端には白色の帯があり、やや離れて白色の円形の大きな斑がある。内弁の大部分と外弁の基部とは灰白色である。
第4羽は先端に白色の帯があり、外弁の前半部と内弁の先端近くの部分だけが黒色で、それ以下は内外弁共に淡灰色である。
第5羽、第6羽と内側のものほど黒色部が少なく、第7羽では先端の白色部以外の全部が淡灰色であるか、または先端近くに黒色の帯が僅かにあるかである。
それ以外の初列風切羽および次列風切、三列風切は青灰色で、各羽端には白色の縁がある。
大、中、小雨覆は青灰色、初列雨覆、翼羽は青灰色である。尾は白色である。
嘴色は黄色で、先端は白色を帯び、下嘴の先端近くの角にオレンジ赤色の斑点がある。
虹彩は淡黄色、脚色は淡肉色またはクリーム色。
【雌雄冬羽】
頭上・頸および体の上面には褐色の小縦斑が散在し、額は白色、喉の両側には褐色の小斑がある。
参考文献
- 清棲幸保 1954 セグロカモメ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅲ. 講談社. 811-814.
最終更新日:2020-06-02 キノボリトカゲ
- 幼鳥の形質
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【雛】
孵化直後の雛は全身に長くて軟らかい幼綿羽が密生し、各幼綿羽の先端は絹糸様の感がある。
腮、喉および体の上面はクリーム灰色で黒褐色の斑紋や斑点が散在し、眼の上の斑点はやや直線をなして走り前頭の中央のものも直線をなす。
後頭、後頸の中央のものはV字形の不均等な線をなす。喉の両側のものは線をなし、中央のものは斑点を成なす。
上背には黒褐色の斑がないのが常である。下喉はクリーム色で、胸と腹はクリーム白色、体側と下腹の幼綿羽の基部は褐色である。
【幼鳥】
体の上面は褐色で、各羽にはクリーム白色の縁があり、若いものほどクリーム色が強く、年が経つにつれて白色を帯びる。
腰・上尾筒はクリーム白色で褐色の不規則な横斑がある。体の下面は白色で褐色の斑があり、脇は暗色で、斑が多い。
初列風切は暗褐色で、白色の斑がなく、3年目に白色の斑が現れる。
雨覆羽は体の上面と同様である。尾は黒褐色で、先端には白色の縁があり、基部は白色を呈し、暗褐色の大理石様の斑がある。
最外側の尾羽の外弁の縁には白色の斑がある。
嘴色は黒色で、基部は肉色であるが、年が経つにつれ黒色が減り、肉色と黄色とが多くなる。脚色は淡褐肉色。
参考文献
- 清棲幸保 1954 セグロカモメ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅲ. 講談社. 811-814.
最終更新日:2020-06-02 キノボリトカゲ
- 卵の形質
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卵はオリーヴ色、淡褐色、淡青色、淡緑色、淡灰色などの地に黒褐色、チョコレート色、暗褐色、赤褐色などの斑紋があり、斑紋はときには密に、ときには疎らに分布する。
参考文献
- 清棲幸保 1954 セグロカモメ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅲ. 講談社. 811-814.
最終更新日:2020-06-02 キノボリトカゲ
生態
- 生息環境
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海岸に現れるが、陸から離れた洋上に多く、大群で洋上に浮いて塒をとったりする。
繁殖地では、岩石海岸や岩の多い小島、砂丘や海岸の砂浜、あるいは内陸の湿地、野菜畑、ビルディングなどに営巣する。
参考文献
- 中村登流 1995 セグロカモメ, 中村雅彦、中村登流(著) 原色日本野鳥生態図鑑:水鳥編. 保育社. 265.
最終更新日:2020-06-02 キノボリトカゲ
- 食性
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雑食性で、犬猫の死骸、鳥類の死骸、鵜、海鳥などの卵、魚類、軟体動物斧足類完靱帯目(バカガイ、イガイ)、腹足類櫛腮目(タマキビ)、甲殻類十脚目(エビ、ガザミ、クランゴン)、蔓脚目(フジツボ)、棘皮動物海星類隠帯目(ヒトデ)、蛇尾類の節腕目(オフィオツリクス)、環形動物毛足類の多毛目(キバネハサミムシ)、鞘翅目、脈翅目などを食物とし、植物質では蓼科のニワヤナギの種子、石竹科のオオツメクサ、ハコベの痩果、毛莨科のキンポウゲの痩果や岩高蘭科のガンコウランの漿果、薔薇科のハマナス漿果などを食物とする。
参考文献
- 清棲幸保 1954 セグロカモメ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅲ. 講談社. 811-814.
最終更新日:2020-06-02 キノボリトカゲ
- ライフサイクル
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繁殖期から4~7月、一夫一妻で繁殖する。巣は地上の崖のふちなどにつくる。
雌雄でつくるが、雄が巣材を集める(Cramp & Simmons, 1983)。
1巣卵数は2~3個で、3個が多い。両親が交替で抱卵し、28~30日ぐらいで孵化する。
雛は早成性の半離巣性で、親のくちばしの赤いマークをつついて餌を求める。
参考文献
- 中村登流 1995 セグロカモメ, 中村雅彦、中村登流(著) 原色日本野鳥生態図鑑:水鳥編. 保育社. 265.
最終更新日:2020-06-02 キノボリトカゲ
- 鳴き声
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ニャーオ、ニャーオまたはクイ、オーウ、あるいはクァオなどとネコの鳴き声に似た悲しげな声で啼き、飛びながら啼くことが多い。
繁殖期に巣に近寄るとクワッ、クワッ、クワッ、クワッまたはハッ、ハッ、ハッ、クワオ―などと太く吠える様な声で喧しく啼き叫び、付近の上空を飛び回りつつ啼き叫ぶのが常である。
参考文献
- 清棲幸保 1954 セグロカモメ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅲ. 講談社. 811-814.
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