- 解説一覧
- エリグロアジサシ(Sterna sumatrana)について
エリグロアジサシ(Sterna sumatrana)
【IUCN】現時点での絶滅危険度の低い種
【環境省】絶滅の危険が増大している種
- 【 学名 】
-
Sterna sumatrana Raffles, 1822
基本情報
- 大きさ・重さ
-
・嘴峰:31~40 mm
・翼長:211~226 mm
・跗蹠:18~20 mm
・尾長:131~151 mm
・卵:長径 34.6~43 mm×短径 25.9~30 mm 平均長径 39.6 mm×短径 28.6 mm 重量 15~16.9 g
参考文献
最終更新日:2020-08-11 キノボリトカゲ
- 分布
-
インド洋と太平洋西部の熱帯・亜熱帯に局地的に繁殖分布し、海岸や岩礁にコロニーをつくって繁殖する。
日本では馬毛島、奄美諸島、沖縄諸島、先島諸島などに夏鳥として渡来して繁殖する。
沖縄県では比較的多くみられるが、繁殖地以外では迷鳥で、千葉県、愛知県、福岡県などに迷行した記録がある。希少種に指定されている。
参考文献
最終更新日:2020-08-11 キノボリトカゲ
形態
- 成鳥の形質
-
【雄雌】
額・頭上・後頭は白色、眼先には黒色の三角形の斑があり、眼の後方まで延びて黒色の過眼線をなし、後頭に走り左右合して幅の広い帯をなしている。
耳羽の大部分、頬・腮・喉は白色である。
頸・背・肩羽・腰・上尾筒は淡灰白色、胸・腹・脇はわずかに薔薇色を帯びた白色、下尾筒は白色である。
下雨覆・腋羽は白色。初列風切は淡灰白色、内弁には白色の縁があり羽軸は白色である。
第2羽の外弁は暗灰黒色である。次列風切は淡灰白色、羽端には白色の縁があり、内弁にも白色の縁がある。
三列風切・大、中、小雨覆・初列雨覆・小翼羽は淡灰白色、尾も淡灰白色である。
嘴色は黒色、先端は黄色を帯びている。虹彩は暗褐色、脚色は褐色。
参考文献
最終更新日:2020-08-11 キノボリトカゲ
- 幼鳥の形質
-
孵化直後の雛は全身に幼綿羽が生え、体の上面はクリーム色で黒褐色の斑点が散在し、斑点は多少縦線をなして並び不規則な3縦線をなす。
体の下面は白色である。
参考文献
最終更新日:2020-08-11 キノボリトカゲ
生態
- 生息環境
-
海岸、洋上で生活するアジサシ類で、島嶼の海岸や岩礁で集団繁殖する。
サンゴ礁の発達した沿岸にいくつかの小島がある環境を繁殖地として好み、繁殖期にはコロニー周辺の海上で見られる。
島の周辺の比較的波の静かなところに多い。
繁殖場所はベニアジサシとよく似ているため、コロニー内にベニアジサシと本種が混じっている場合もあるが、ベニアジサシより波しぶきがかかるような岩礁のふちをより好む。
ベニアジサシに比べて警戒性がやや弱く、巣や雛の近くでじっとしていると平気で舞い降りることが多い。
また、ベニアジサシほどコロニー性は強くはない。岩場にも下りるが、歩くことは苦手で、もっぱら岩の上で休息している。
参考文献
最終更新日:2020-08-11 キノボリトカゲ
- 食性
-
海岸や海洋の上空をヒラヒラとはばたいて飛び回り、獲物をみつけると、上空から斜めまたは直角に急降下して海の表層にいる魚やイカを捕える。
また、尾羽を広げて翼をバタバタと激しくはばたかせる停空飛翔を行いながら餌に狙いをつける。
本種の場合、垂直にダイビングして餌を捕える方法より、水面に斜めに舞い降りて小魚などをついばむことの方が多い。
雛にも、主に魚類やイカなどの軟体動物を与える。
群れて採食することが多く、クロアジサシなどほかのアジサシ類の群れといっしょに採食することもある。
参考文献
最終更新日:2020-08-11 キノボリトカゲ
- 鳴き声
-
ピュウーイ、ピュウーイと啼き、飛びながら啼くことが多い。
警戒時にはクラッ、クラッまたはクリッ、クリッ、クリッと啼き、繁殖期に人が近づくと激しく啼き叫びながら巣のある上空を旋回飛翔する。
参考文献
最終更新日:2020-08-11 キノボリトカゲ
- 特徴的な行動
-
繁殖期は6~9月、年に1回、一夫一妻で繁殖する。
砂浜に窪みをつくって巣としたり、岩礁の上に直接産卵するが、いずれの場合もふつうは巣材を利用しない。
1巣卵数は1~3個で、1~2個の場合が多い(清棲, 1978)。
雌雄交替で抱卵するが、抱卵期間や育雛期間についての詳細はわからない。
体の大きさが似ているベニアジサシと同じくらいの日数をかけて抱卵・育雛していると思われる。
直射日光があたる巣では、親鳥はずっと卵を抱いて温めているわけではなく、日中の気温や地温が高温になると、親鳥は中腰になったり立ち上がって体や翼で日陰をつくり、卵をその日陰に置いて冷やす。
雛に対しても同様で、親は立ち上がって体や翼で雛に日陰をつくる。
参考文献
最終更新日:2020-08-11 キノボリトカゲ
- その他生態
-
コロニーをつくって繁殖する。コロニーの大きさは、砂浜や草地などに密集して繁殖するほかの海洋性アジサシ類に比べるとはるかに小さく、互いにくちばしが届くほど巣と巣が近接することはない。
番となった雌雄は、巣の周囲のごく狭い範囲をなわばりとして防衛する。
番形成の際には、雄が雌に魚をプレゼントする求愛給餌が行われる。コロニー内では、各番の繁殖の進行は比較的同調している。
参考文献
最終更新日:2020-08-11 キノボリトカゲ