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- コウミスズメ(Aethia pusilla)について
コウミスズメ(Aethia pusilla)
【IUCN】現時点での絶滅危険度の低い種
- 【 学名 】
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Aethia pusilla (Pallas, 1811)
基本情報
- 大きさ・重さ
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・嘴峰:8~9 mm
・翼長:90.5~99 mm
・跗蹠:17~19.5 mm
・尾長:28~31 mm
・卵:長径 38.2~42.7 mm×短径 27.2~30.1 mm 平均長径 39.5 mm×短径 28.5 mm
参考文献
最終更新日:2020-08-04 キノボリトカゲ
- 分布
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全北区。ベーリング海の島々やアリューシャン列島に繁殖分布し、冬はベーリング海一帯、千島列島から日本列島の沿岸に広がる。
日本には冬鳥として北海道と本州中部沿岸の海域に現れ、太平洋側では瀬戸内海の広島県あたりまで、日本海側では富山県や北九州あたりまで南下してくる。
11月ごろから翌年の3月ごろまで見られるが、小さいのでなかなか目にとまらない。
最近、個体数が増えている(Johnsgard, 1987)。
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最終更新日:2020-08-04 キノボリトカゲ
形態
- 成鳥の形質
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【雄雌夏羽】
額・頭上・後頭・後頸は黒色、眼先・眼の下・眼の後方・腮は石盤灰色で、額、頭上、眼先、眼の下、眼の後方には白色の細長い毛のような羽が生えている。
ときには腮にもこのような羽が生えているものがある。喉は白色、頸側は石盤灰色である。
肩羽は灰白色または白色。背・腰・上尾筒は黒色、胸・腹・下尾筒は白色で、胸側には煤けた暗褐色の斑からなる幅の広い帯があり、下腹には煤けた暗褐色の斑がある。
下雨覆・腋羽は石盤褐色、各羽には白色の縁がある。
初列風切は黒色で、内弁は褐色、次列風切は黒色で、内側のものの外弁の先端は白色、内弁の羽端には白色の細い縁がある。
三列風切、大・中・小雨覆・初列雨覆・小翼羽は黒色である。尾は黒色を呈している。
春季には上嘴の基部に高さ 2~3 mmくらいの兜形の突起を生ずる。
嘴色は暗赤褐色、先端は白色、基部は黒色。虹彩は白色。脚色は淡青灰色、趾膜は黒色。
【雄雌冬羽】
頭部には白色の毛のような羽がない。腮は灰色、体の下面は白色、脇・下腹には石盤色の斑が多少ある。
嘴色は黒褐色で、上嘴の基部には突起物を欠く。12月末には早くも夏羽に変わりはじめる。
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生態
- 生息環境
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非繁殖期には洋上にいる。流氷の周辺に多く、氷とともに南下し、また氷とともに北上する(Johnsgard, 1987)。
繁殖地は岩砕堆積地、転石、丸石が積もったところで、とくに直径 0.3~0.5 mぐらいの石の堆積地を好みエトロフウミスズメとの競合をさけている(Johnsgard, 1987)。
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- 食性
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雛に持ってくる餌の分析によると、ほとんどカイアシ類、ケンミジンコ類、クラゲノミ類、エビ類の幼生など、小型プランクトン性の甲殻類である(Johnsgard, 1987)。
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- 特徴的な行動
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繁殖期は6~8月、一夫一妻で繁殖する。
巣は石ころの堆積地で、入口が 24 cmぐらい、深さが 50 cmぐらいの小さい隙間の穴の中にあり、直に土の上に産卵し、とくに巣らしいものはつくらない。
1巣卵数は1個のみ、両親が交替で抱卵する。多くの番は夜間に巣ですごし、そのときに交替するらしい。
29~36日ぐらいで孵化する(Freethy, 1987)。雛は半晩成性の留巣性で、両親の給餌で育ち、32日位で巣立つ(Johnsgard, 1987)。
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- その他生態
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繁殖期には大きいコロニーへ集合する。巣の入口だけを防衛し、このためにたいへん騒がしい。
求愛は水面や巣穴の中で行われ、頸を上げ下げさせたり、くちばしを打ち付け合うディスプレイが知られる。
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