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ヨタカ(Caprimulgus indicus)の分類 ヨタカ科(Caprimulgidae)
ヨタカ(Caprimulgus indicus)の概要 ヨタカ属(Caprimulgus)

ヨタカ(Caprimulgus indicus)

低危険種 (LC or LR/lc)

【IUCN】現時点での絶滅危険度の低い種

【 学名 】
Caprimulgus indicus Latham, 1790

基本情報

大きさ・重さ

・全長:7.5~13 mm
・翼長:200~225 mm
・尾長:117~146 mm
・ふ蹠長:15~18 mm
・嘴峰長:7.5~13 mm
・体重:73~113 g

参考文献

  • 清棲幸保 1955 ヨタカ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅱ. 講談社. 356~358.

最終更新日:2020-06-26 キノボリトカゲ

分布

旧北区。中国北部から朝鮮半島、アムール、ウスリー、サハリンおよび、日本で繁殖し、冬はフィリピン、インドシナ半島、マレー半島、大スンダ列島などで越冬する。

日本には夏鳥として4月ごろ渡来し、九州以北の全土で繁殖する。

8~9月に渡去しはじめるが、遅いものは11月ごろまで残る。九州では、冬に渡去の記録がある(清棲. 1978)。

1975年ごろから、西日本各地の山麓では、急速にヨタカの声が聞かれなくなっているという(坂根. 1991)

参考文献

  • 中村登流 1995 ヨタカ, 中村登流、中村雅彦(著) 原色日本野鳥生態図鑑:陸鳥編. 保育社. 145.

最終更新日:2020-06-26 キノボリトカゲ

亜種・品種

Caprimulgus indicus indicus LATHAM, 1790- 印度北部に棲息する。

Caprimulgus indicus kelaarti BLYTH 1851- 印度南部及びセイロン島に棲息する。

Caprimulgus indicus phalaena HARTLAUB & FINSCH, 1872- パラオ諸島(バベルツアープ島、コロール島)に棲息する。

参考文献

  • 清棲幸保 1955 ヨタカ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅱ. 講談社. 356~358.

最終更新日:2020-06-26 キノボリトカゲ

別名・方言名

地方によっては、鳴き声がキュウリをきざむ音に似ていることからキュウリキザミ、台所で姑が朝食の料理を始めたように聞こえて嫁が起きてしまうために、ヨメオコシの異名がある。

参考文献

  • 吉井正 2005 ヨタカ, 吉井正(監修) 三省堂編修所 (編) 三省堂世界鳥名事典. 三省堂. 527~528.

最終更新日:2020-06-26 キノボリトカゲ

分類学的位置付け

ヨタカ目 ヨタカ科

参考文献

  • 吉井正 2005 ヨタカ, 吉井正(監修) 三省堂編修所 (編) 三省堂世界鳥名事典. 三省堂. 527~528.

最終更新日:2020-06-26 キノボリトカゲ

形態

成鳥の形質

【雄】
額、頭上、後頭、後頸はわずかに褐色を帯びた灰色で、黒色の大理石様の斑紋がある。

頭と後頸の各羽には黒色の幅の広い軸斑があるが、その左右両側の各羽の軸斑は中央のものよりやや幅が狭い。

眼先、眼の上、耳羽、腮、喉の両側は淡赤錆色で、黒色の斑点がある。

喉の両外側には細長い白色の斑があり、喉の中央には白色の大きな斑紋がある。

背、腰、上尾筒は頭上とほとんど同じであるが、各羽の中央にある黒色の軸斑の左右は所々赤錆色を帯びている。

肩羽は頭上と同様であるが、外側のものは各羽にある黒色の軸斑が特に大きく、外弁の羽端には白色の斑がある。

胸は暗色を帯びた灰褐色で、黒色の大理石様の斑紋がある。

腹、脇は淡赤錆色かまたは黄味がかった淡赤錆色で、黒褐色の横縞がある。

下尾筒は黄味がかった淡赤錆色で、黒褐色の横縞がある。

風切羽は黒褐色で、初列風切の外弁には赤錆色の斑紋からなる横縞が多数あり、これには更に黒色の小斑がある。

内弁の基部には淡赤錆色の斑点が所々にある。

第1羽の内弁には白色の斑紋があり、第2~4羽、ときには第2~3羽には内外弁に白色の斑がある。

次列風切、三列風切には赤錆色の斑紋からなる横縞が多数にあり、各羽端は灰色である。

大、中、小雨覆は黒褐色で、所々に赤錆色の大理石様の斑紋があり、羽端には個体によって赤錆色から白色近くまでの種々の色の円形の斑紋があるが、この斑には更に黒色の小斑がある。

初列雨覆、小翼羽は黒褐色で内外弁にわたって赤錆色の斑紋からなる横縞が多数にある。

下雨覆、腋羽は赤錆色で、暗褐色の横縞がある。

尾は黒褐色で、中央の1対には灰褐色の大理石様の斑紋からなる幅の広い横縞が8~9条ある。

ほかの尾羽には赤錆色の斑紋からなる横縞が8条ほどあり、これには更に黒色の小斑がある。

羽端近くには内外弁にわたって三角形の幅 2 ㎝くらいの白色斑がある。

嘴色は黒色、下嘴の基部は淡色、虹彩は暗褐色、脚色は褐色、脛羽は淡赤錆色で、黒褐色の横縞がある。

【雌】
喉の両外側の斑と中央の大斑とは赤錆色を帯びた白色である。

肩羽の外側のものの各羽端には白色の斑がない。

初列風切の第1羽には赤錆色を帯びた斑があり、第2~4羽または第2~3羽には内外弁に赤錆色を帯びた斑があり、雄より形が小さい。

尾の外側のものは雄にある先端近くの白色斑を欠いている。

参考文献

  • 清棲幸保 1955 ヨタカ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅱ. 講談社. 356~358.

最終更新日:2020-06-26 キノボリトカゲ

幼鳥の形質

【幼鳥】
雌雄とも、それぞれ成鳥に似ており、喉・風切および尾羽の斑紋で性別を判断することができる。

ただし、全体の地色は成鳥より淡く、下面の地色はバフ色に富み、胸・腹の暗褐色の横縞はまばらである。

また腮・喉・下尾筒の羽毛は成鳥のものより遥かに柔らかい。

【雛】
初毛は褐色で全羽域に生じているが、無羽域にもバフ色・赭色・暗褐色の幼綿羽を生じ、全身をこれら2種の綿毛で覆い尽くしている。

脚は成鳥と同形で跗蹠の前面も初毛に覆われているが、中趾の爪の櫛状部は不完全である。

参考文献

  • 山階芳麿 1980 ヨタカ, 山階芳麿(著) 日本の鳥類と其生態Ⅱ. 出版科学総合研究所. 451~457.

最終更新日:2020-06-26 キノボリトカゲ

卵の形質

卵は灰白色の地に灰褐色と灰紫色の粗大な斑点が散在する。

参考文献

  • 清棲幸保 1955 ヨタカ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅱ. 講談社. 356~358.

最終更新日:2020-06-26 キノボリトカゲ

生態

生息環境

全国の、主に標高 2,000 m以下の山地帯に飛来する。本州中部では、標高 500~1,500 mぐらいに多いが、東北地方では低山帯、北海道では平地から山麓部に多い。

生息環境は草原や灌木が散在する落葉広葉樹やマツなどの針葉樹の林で、地面が乾いた明るい林を好む。

参考文献

  • 中村登流 1995 ヨタカ, 中村登流、中村雅彦(著) 原色日本野鳥生態図鑑:陸鳥編. 保育社. 145.

最終更新日:2020-06-26 キノボリトカゲ

食性

空中採食で、大きな口と捕虫網のように働く口ひげを利用して、飛びながら飛翔性のガ、ゴミムシ、ゲンゴロウ、カワトビケラ、カメムシなどの昆虫を捕食する。

日没前後からの数時間が採食の最も活発な時間帯で、まったく羽音を立てずに、翼をヒラヒラとはばたかせ、舞い踊るように身軽に飛び回る。

参考文献

  • 中村登流 1995 ヨタカ, 中村登流、中村雅彦(著) 原色日本野鳥生態図鑑:陸鳥編. 保育社. 145.

最終更新日:2020-06-26 キノボリトカゲ

ライフサイクル

産卵期は5~8月だが、6月ごろが最盛期である。

主に林緑の地上に、胴体が入る程度の浅い窪みをつくり、そこに直接産卵し、巣材は使用しない。

1巣卵数は通常2個、抱卵後約19日で孵化する(清棲. 1978)。

雛は半晩成性で、孵化直後の体は全体がクリーム色の幼綿羽で覆われる(藤巻. 1973)。

孵化後、日中、親は雛の横に座り、抱雛することはないが、孵化後4~5日は、親鳥は巣から離れない(藤巻. 1973)。

敵が近づいても逃げようとはせず、フーッという声を立て、羽毛を逆立て、翼をもち上げて相手を威嚇するが、それでも接近されると擬傷行動をして、敵の注意を巣からそらして卵や雛を守ろうとする。

孵化後3日目には翼に羽軸が出はじめ、巣から 2 mほど移動できる。

孵化後7日目には、羽軸はかなり伸び、その先端から羽毛が出はじめ、孵化後9日目には、体の上面は頭部を除き羽毛に覆われる状態となる。

孵化後22日目には飛べるようになる(藤巻. 1973)。

番の形成様式、抱卵、育雛の雌雄分担など、不明な点が多い。

近緑のヨーロッパヨタカ(C. europaeus)では、36~48時間おきに1卵ずつ計2卵(まれに3,4卵)を産卵し、主に雌が抱卵する。

卵は非同時に孵化し、雛への給餌は雌雄とも行う(Cramp. 1985)。

地上にいる雌に対して、その上空をヒラヒラと舞いながら求愛飛翔を行う(Cramp. 1985)。

参考文献

  • 中村登流 1995 ヨタカ, 中村登流、中村雅彦(著) 原色日本野鳥生態図鑑:陸鳥編. 保育社. 145.

最終更新日:2020-06-26 キノボリトカゲ

鳴き声

キョ、キョ、キョ、キョ、キョ、キョ、キョまたはコッ、コッ、コッ、コッ、コッ、コッ、コッと低い声で長く小刻みに啼き続ける。

参考文献

  • 清棲幸保 1955 ヨタカ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅱ. 講談社. 356~358.

最終更新日:2020-06-26 キノボリトカゲ

特徴的な行動

敵が近づいても逃げようとはせず、フーッという声を立て、羽毛を逆立て、翼をもち上げて相手を威嚇するが、それでも接近されると擬傷行動をして、敵の注意を巣からそらして卵や雛を守ろうとする。

参考文献

  • 中村登流 1995 ヨタカ, 中村登流、中村雅彦(著) 原色日本野鳥生態図鑑:陸鳥編. 保育社. 145.

最終更新日:2020-06-26 キノボリトカゲ

種・分類一覧