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ブッポウソウ(Eurystomus orientalis)の分類 ブッポウソウ科(Coraciidae)
ブッポウソウ(Eurystomus orientalis)の概要 ブッポウソウ属(Eurystomus)

ブッポウソウ(Eurystomus orientalis)

低危険種 (LC or LR/lc)

【IUCN】現時点での絶滅危険度の低い種

【 学名 】
Eurystomus orientalis (Linnaeus, 1766)

基本情報

大きさ・重さ

・全長:29.5 cm(27.8~30.5)
・翼長:190 mm (180~200)
・尾長:102 mm (92~109)
・嘴峰長:25 mm (23~26)
・ふ蹠長:19 mm(18~20)
・体重:118.5~157.5 g
・卵:長径 29~38 mm × 短径 22~29 mm 平均長径 34.1 mm × 短径 28.3 mm 重量 12~13 g

参考文献

  • 清棲幸保 1955 ブッポウソウ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅱ. 講談社. 363-365.

最終更新日:2020-06-05 キノボリトカゲ

分布

旧北区、東洋区、オーストラリア区。ユーラシア大陸東部のウスリーから中国東部、インド、東南アジア、ボルネオ島、ニューギニア島までに繁殖し、冬は中国南部からオーストラリア大陸ですごす。

日本では本州、四国、九州で繁殖する夏鳥であるが、その分布は局地的である。北海道や沖縄でも記録がある(日本鳥学会 2000)。

山口県や鹿児島県、京都府など、県によってはすでに絶滅状態にある県も多い。

現在多数生息している広島県と岡山県を除くと、生息が確認されている県での生息つがい数は、平均3~4つがい程度と思われる。

参考文献

  • 中村登流 1995 ブッポウソウ, 中村登流、中村雅彦(著) 原色日本野鳥生態図鑑:陸鳥編. 保育社. 85.

最終更新日:2020-06-05 キノボリトカゲ

保全の取り組み

ブッポウソウはもともと個体数が少ない鳥で、宮崎県、長野県、山梨県、岐阜県の国内4カ所で、その繁殖地が 「ブッポウソウ渡来地」として国の天然記念物に指定されている。

しかし近年、急激に個体数が減少し、国の天然記念物に指定されているブッポウソウ渡来地で、現在ブッポ ウソウが繁殖している場所はまったくない。

環境省のレッドリストでも絶滅危惧ⅠB類にあげられている。

中国地方では、ブッポウソウは木製の電柱を利用して繁殖していたが(飯田 1992)、近年それらの木柱がコンクリートや鋼管製に交換されることで巣穴を失い繁殖できなくなり、特に1980年代に入ると急激に個体数を減少させていった。

最も減少した時期である1980年代後半には県内で8つがいにまで減少した。

しかし、広島県では21年前の1988年から電信柱などの人工構造物に巣箱をかける保護を行ったことで(飯田 2001)急激に個体数が回復し、2008年には広島県内で237つがいの繁殖を確認するまでになった。

この数は2000年頃に推定された国内推定生息数である300つがい(中村 2004)の約80%にあたる。

絶滅の危機に瀕した種で、ここまで短期間に個体数が回復した保護の成功事例は、国内にはほかにないと思われる(飯田 2009)。

参考文献

最終更新日:2020-06-05 キノボリトカゲ

別名・方言名

中国でも仏法僧あるいは三宝鳥の呼び名がある。

参考文献

  • 吉井正 2005 ブッポウソウ, 吉井正(監修) 三省堂編修所 (編) 三省堂世界鳥名事典. 三省堂. 439.

最終更新日:2020-06-05 キノボリトカゲ

分類学的位置付け

ブッポウソウ目 ブッポウソウ科

参考文献

  • 吉井正 2005 ブッポウソウ, 吉井正(監修) 三省堂編修所 (編) 三省堂世界鳥名事典. 三省堂. 439.

最終更新日:2020-06-05 キノボリトカゲ

形態

成鳥の形質

キジバトよりもやや小さい。ほぼ全身が金属光沢のある青色だが、光線の具合によっては緑色にも見える。

頭部や顔は黒褐色で、喉は群青色。風切羽と尾羽は濃い青色で、尾羽の先端近くは黒褐色。

初列風切の基部に淡い水色で大きめの斑紋があり、飛行時に目立つ。

嘴は太く短く、基部の幅は高さに等しく、嘴峰は前半で著しく弯曲し、鉤状になっている。

鼻孔は額の羽域に接して水平に線状に開口し、嘴毛は多いがヒゲは少なく、腮には明らかな毛状羽が生じている。

色は赤色だが上嘴端の鉤部は角黒色。

脚は体に比べて小さく、跗蹠は特に短く、その上部前面には羽毛が生じており、裸出部の前面は蛇腹状、後面は網状の区画を有する。

前3趾は基部のみ付着し、後趾はよく発達しており、前趾の爪は後趾の爪より長い。

跗蹠および趾の色は赤色で爪のみ黒色。虹彩は暗褐色。

参考文献

  • 山階芳麿 1980 ブッポウソウ, 山階芳麿(著) 日本の鳥類と其生態Ⅱ. 出版科学総合研究所. 468-472.

最終更新日:2020-06-05 キノボリトカゲ

幼鳥の形質

孵化直後の雛は裸体のままで初毛を欠く。

幼鳥は成鳥に似るが、下背より上尾筒までは暗青緑色で、後頸および上背との差は成鳥ほど著しくない。

尾の成鳥で紫色を帯びる部分は鈍い青色を帯びている。

翼羽も暗色で色は鈍く、初列雨覆および初列風切の外弁は黒色で、ただわずかに鈍い青色を帯びているのみである。

初列風切の淡色斑は暗色で、境界もやや不明瞭である。

腮および喉は暗青緑色を帯びた黒褐色で、喉の中央には成鳥と異なり紫青色斑なく周囲と同様である。

腹以下も成鳥より暗色である。嘴は黒色。

参考文献

  • 清棲幸保 1955 ブッポウソウ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅱ. 講談社. 363-365.
  • 山階芳麿 1980 ブッポウソウ, 山階芳麿(著) 日本の鳥類と其生態Ⅱ. 出版科学総合研究所. 468-472.

最終更新日:2020-06-05 キノボリトカゲ

卵の形質

卵は純白色で斑紋を欠く。

参考文献

  • 清棲幸保 1955 ブッポウソウ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅱ. 講談社. 363-365.

最終更新日:2020-12-29 キノボリトカゲ

生態

生息環境

ブッポウソウの生息環境は、近畿~中部地方を境に、東日本と西日本とで大きく異なる。

東日本でブッポウソウは、ブナの巨木からなる深い森や神社の社叢林など、どちらかというと人里から離れた巨木からなる森林に生息しているが、西日本、特に中国地方では、ブッポウソウはほとんど集落の水田地帯に生息している。

これは現在、巣箱がかけられている環境が山の近くの水田地帯であることも大きいと思われるが、巣箱による保護の開始以前から、ブッポウソウは水田に立っている木製電柱などにオオアカゲラがあけて利用した後の巣穴で繁殖していた。

中国地方にももちろんブナ林や社叢林はあるが、基本的にブッポウソウはそれらの場所に生息していない。

中国地方のブッポウソウは、あくまで人の気配の濃い人家のすぐ横などに生息している。

このように同種の鳥でありながら、生息環境がここ まで大きく異なるものは、日本国内ではあまりいないように思われる。

参考文献

最終更新日:2020-06-05 キノボリトカゲ

食性

高木の梢附近の枯れ枝に止まって周りを見張り、セミ類、ヤンマ類などの大型昆虫が飛んでくるのを待つ。

飛翔する昆虫を空中で追い回して、くわえとる。昆虫が大量に飛ぶところには、多数の個体が集まってくる。

樹林内の空地では、その周りの樹木に集まる。川の上空でカゲロウやトビケラが発生すると、上を横切る電線に集まる。

アキアカネなどの群飛には多数集まり、フワフワと飛び回って、次々とくわえとる。

農耕地や農家の庭などに散在する樹木の、下枝、枯れ木、朽ち木などに訪れるカブトムシ、クワガタムシ、タマムシ、カナブンなどの甲虫を狙うこともある。

雛の餌としてもセミ類やクワガタムシなどの甲虫を与え、さらに貝殻やアルミ缶の栓なども与える。

この奇妙な物は甲虫などを消化官内ですりつぶすためと考えられる(中村・田畑, 1990)。

参考文献

  • 清棲幸保 1955 ブッポウソウ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅱ. 講談社. 363-365.
  • 中村登流 1995 ブッポウソウ, 中村登流、中村雅彦(著) 原色日本野鳥生態図鑑:陸鳥編. 保育社. 85.

最終更新日:2020-06-05 キノボリトカゲ

ライフサイクル

基本は一夫一妻で繁殖する。ときにヘルパーの存在が推測されることもあるが、確認されていない。

広島県では4月25日頃に渡来し、9月上~中旬頃に飛去する。

繁殖は年1回で、産卵は5月下旬~6月上旬頃に行われ、雛は7月上~下旬頃に巣立つ。

東日本では大木の樹洞で繁殖するが、西日本では現在では鉄橋にある穴での繁殖が多い、広島県ではほぼ巣箱のみで繁殖している。

かつて西日本では木製電柱などにオオアカゲラがあけた穴で繁殖していたが(飯田 1992)、現在では柱がコンクリートや鋼管製に交換されたことで見られなくなった。

抱卵期間は約25日、育雛期間は約26日である。ヒナは巣立ち後も巣の周辺でしばらくの間親鳥からの給餌を受けながら育つ。

参考文献

最終更新日:2020-06-05 キノボリトカゲ

鳴き声

通常はゲッ、ゲッと一声ずつ区切って鳴くが、外敵やつがい相手以外の個体が侵入したときなどにはゲゲゲゲーゲゲゲゲなどと連続して鳴く。

参考文献

最終更新日:2020-06-05 キノボリトカゲ

特徴的な行動

樹上生活が主で、主として梢近くの高所にとまり、特に樹頂の葉枯れた枝に好んでとまる。

飛翔しつつ昆虫を啄み、樹枝から 6~7 m位飛んで、附近を飛ぶ昆虫類を捕らえては元の枝に舞戻る習性がある。樹枝上で交尾する。

一度嚥下した食物はその中の不消化物だけを1塊のペリットとして吐き出す。

飛翔時には翼を羽搏いて飛ぶこともあるが、滑翔により迅速に直線的に飛翔することが多い。

飛翔時には翼にある白色斑が著しく目立つ。

構巣前の5~6月頃と巣立ち後の8月頃天気の良い朝7時頃高空(地上から 150~200 m)をアマツバメなどと混じって円を描いて帆翔し、ときどきゲエ、ゲエと啼くこともある。

ときには川原などに舞い降りて水を飲むこともある。

参考文献

  • 清棲幸保 1955 ブッポウソウ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅱ. 講談社. 363-365.

最終更新日:2020-06-05 キノボリトカゲ

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