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ミユビゲラ(Picoides tridactylus)の分類 キツツキ科(Picidae)
ミユビゲラ(Picoides tridactylus)の概要 ミユビゲラ属(Picoides)

ミユビゲラ(Picoides tridactylus)

低危険種 (LC or LR/lc)

【IUCN】現時点での絶滅危険度の低い種

【 学名 】
Picoides tridactylus (Linnaeus, 1758)

基本情報

大きさ・重さ

・嘴峰:25~35 mm
・翼長:117~128 mm
・跗蹠:18.5~22.2 mm
・尾長:73~85 mm
・卵:長径 22.5~28.3 mm×短径 17.8~19.6 mm  平均長径 24.7 mm×短径 18.8 mm

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最終更新日:2020-07-21 キノボリトカゲ

分布

全北区。北アメリカ大陸とユーラシア大陸の中・高緯度地方に分布する。

多くは留鳥で、日本でも北海道の道東部に留鳥としてごく少数が繁殖する。

1932年十勝支庁上士幌で発見され、1956年大雪山系で幼鳥3羽が見つかり、繁殖が確認された。

それ以来記録がなくて、絶滅したのではないかといわれていたが、1988年に大雪山系の原生林に生息しているのだが、川辺・田中・檜座の各氏によって認められた(田中, 1989)。

絶滅危惧種に指定されている。

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亜種・品種

チシマミユビゲラ、エゾミユビゲラ、チョウセンミユビゲラ

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分類学的位置付け

キツツキ科

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形態

成鳥の形質

【雄】
額の各羽は黒色で、先端は白色、頭上は黄色、その各羽は基部が黒色、先端は黄色で、その中央は白色である。

この黄色部の両側と後方の各羽の基部は黒色で先端は白色である。

頭側から後頭・後頸へかけては黒色で、眉斑をなし、眼先・耳羽もまた黒色で、過眼線をなしているが、この2つの線の間に眼の後方から頸側にかけて白色の1線が走っている。

上嘴の基部から眼の下を経て頭に至る白色の1線があり、この下方に更に下嘴の基から胸側にかけて走る黒色の頬線がある。

腮・喉・胸・腹・脇は白色で、胸側の各羽には黒色の細長い軸斑があり、腹側と脇の各羽には黒色の横縞がある。

背・肩羽は黒色で背の中央には白色の横縞があり、両側には白色の斑がある。

腰の中央は白色、両側は黒色である。上尾筒は黒色で、基部の各羽の先端には白色の斑がある。

下雨覆・腋羽は白色で、黒色の横縞がある。

翼は黒色で、初列風切の先端には白斑があり、外弁と内弁の基半部にも白色の斑が横縞になってたくさんにある。

この白色斑は内弁のものの方が大きい。次列風切・三列風切の内外弁にも同様の斑があるが、やはり内弁の白斑の方が大きい。

そして内側の風切羽ほど外弁のこの斑が不明瞭である。

尾は黒色で、外側の2対の尾羽の先端の方は黄褐色を帯びた白色で、黒色の横縞が数条ある。

嘴毛は黒色で、羽軸は白色。嘴色は鉛灰色で、先端は黒色、下嘴は角のような色。

虹彩は黄褐色または褐色。脚色は暗色または鉛灰色。脛羽は白色で各羽の基部は黒色。

【雌】
頭上は雄のように黄色でなく、黒色を呈し、白色の縦斑がある。ほかは雄と同様である。

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卵の形質

卵は純白色で斑紋を欠く。

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生態

生息環境

低地や低山地の亜寒帯針葉樹林にすむ。

北海道では大雪山、十勝岳など中央部山地のエゾマツやトドマツがよく茂った原生林にいる。

ユーラシア大陸ではトウヒ属やカラマツ属が密生した、比較的枯れ木の多い樹林に生息する(Cramp, 1985)。

営巣地は密林の中でも枯れ木や倒木でオープンになったところである。

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食性

針葉樹の枯れ木の腐食しかかった樹幹や大枝などに長時間とりついて、樹皮をはぎ、材をほじくって、甲虫の幼虫・蛹をとり出して食べる。

樹木の下半分で採食していることが多い。昆虫やクモ類を食べるが、主要食は甲虫である。

植物食としては、果実などはあまり食べないが、樹液は重要な食物になっている。

主として、トウヒ属やカラマツ属の生木の幹、ときには大枝にくちばしを左右方向から打ち込んで形成層に達する穴を掘る。

この穴を水平方向に幾つも掘りあけておき、順にめぐって溜っている樹液や樹脂を舐めとる(Cramp, 1985)。

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特徴的な行動

繁殖期は5~7月、一夫一妻で繁殖する。巣は枯れ木の幹の地上 1~15 mぐらいに、樹洞をつくる。

針葉樹の枯れ木をよく使うが、カバノキ類など広葉樹の枯れ木も使う。

巣口は南に向いていることが多く、入口の直径は 4.7 cmぐらい、深さは 30.5 cmぐらいで、巣づくりは雌雄共同で行う。

材の小片の上に直に産卵し、1巣卵数は3~4個、抱卵は雌雄交替で行い、夜間は雄が行う。

雛は12~14日ぐらいで孵化し、孵化したばかりの4日は雌雄交替で抱雛するが、以後17日ぐらいまで雄が夜間の抱雛をする。

給餌は両親が行い、雛は22~25日ぐらいで巣立つ(Cramp, 1985)。

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その他生態

単独か番で生活し、番は何年にもおよぶ。雄は、繁殖期には繁殖なわばりを設置するが、たいてい毎年同じ地域である。

冬は採食なわばりをもって分散する。繁殖期のなわばりは 11~19 ha、冬は狭くて 6~10 ha。

繁殖なわばりは、繁殖と採食のすべての必要資源を含む。

雄は枯れ木の、とくに先端近くでドラミングをする(Cramp, 1985)。

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種・分類一覧