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キセキレイ(Motacilla cinerea)の分類 セキレイ科(Motacillidae)
キセキレイ(Motacilla cinerea)の概要 セキレイ属(Motacilla)

キセキレイ(Motacilla cinerea)

低危険種 (LC or LR/lc)

【IUCN】現時点での絶滅危険度の低い種

【 学名 】
Motacilla cinerea Tunstall, 1771

基本情報

大きさ・重さ

・嘴峰:11~14.4 mm
・翼長:73~87 mm
・跗蹠:19~22 mm
・尾長:83~100 mm
・体重:11~22 g
・卵:長径 16.5~21 mm×短径 13.3~15.5 mm、平均長径 18.6 mm×短径 14.4 mm、重量 1.5~2.2 g

参考文献

  • 清棲幸保 1955 キセキレイ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅱ. 講談社. 382-384.

最終更新日:2020-06-26 キノボリトカゲ

分布

旧北区、エチオピア区。ユーラシア大陸の中緯度地方とアフリカ大陸南部に分布する。

日本では北海道、本州、四国、九州と周辺の島々で繁殖し、冬は本州以南、琉球諸島にかけて越冬する。

各地に留鳥または漂鳥として比較的多く、ふつうに見られる。

参考文献

  • 中村登流 1995 キセキレイ, 中村登流、中村雅彦(著) 原色日本野鳥生態図鑑:陸鳥編. 保育社. 139.

最終更新日:2020-06-26 キノボリトカゲ

学名の解説

小種名は灰色のという意味。

参考文献

  • 吉井正 2005 キセキレイ, 吉井正(監修) 三省堂編修所 (編) 三省堂世界鳥名事典. 三省堂. 18-19.

最終更新日:2020-06-26 キノボリトカゲ

分類学的位置付け

スズメ目 セキレイ科

参考文献

  • 吉井正 2005 キセキレイ, 吉井正(監修) 三省堂編修所 (編) 三省堂世界鳥名事典. 三省堂. 139.

最終更新日:2020-06-26 キノボリトカゲ

形態

成鳥の形質

【雄】
額、頭上、後頭、後頸は灰鼠色で、春季羽換した時には緑色またはオリーブ黄色を帯びる。

眼の上には白色の眉斑があり、冬季には淡褐色を帯びている。眼先から耳羽まで灰鼠色の過眼線が走っている。

腮、喉は黒色で、春季換羽したときには各羽に白色の細い縁があり、冬季は全部白色である。

背、肩羽は灰鼠色で、春季換羽したときには緑色またはオリーブ黄色を帯びる。

胸、腹、脇、下尾筒は黄色で、脇はオリーブ灰色を帯び、脇側は白色を帯び、冬季は胸を褐色を帯び、腹は淡黄色である。

腰、上尾筒は灰鼠色で、腰はオリーブ色を、上尾筒は黄色を帯びている。

風切羽は黒褐色で、次列風切、三列風切の基部は白色で、三列風切は著しく長くて初列風切の先端近くまでもあり、外縁には黄色を帯びた白色の縁がある。

大、中雨覆は黒褐色で、大雨覆は羽端に灰白色の縁があり、中雨覆には灰鼠色の羽縁がある。

小雨覆は灰鼠色、初列雨覆、小翼羽は黒褐色である。

尾は黒褐色で、外縁に黄色の縁があり、基部の方が幅が広い。

最外側の尾羽は白色で、基部近くの羽軸は黒褐色である。

次の2枚の尾羽は白色で、外弁の基部と基部の羽軸とは黒褐色である。

この2枚の中の内側の尾羽の方が黒褐色部が先端近くまで達する。

下雨覆、腋羽は灰白色。嘴色は黒色、虹彩は暗褐色、脚色は暗褐色を帯びた肉色または淡褐色、脛羽は黄色。

【雌】
腮、喉は白色または白黒の斑があるかである。胸、腹は雄より淡色である。ほかは雄と同様である。

参考文献

  • 清棲幸保 1955 キセキレイ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅱ. 講談社. 382-384.

最終更新日:2020-06-26 キノボリトカゲ

幼鳥の形質

孵化直後の雛は肉色の裸体のままで眼の上、後頭、後膊、前膊、背、腿、脛、腰などの羽域に黄白色の長い初毛が豊富に生えているが、脛のものは極く僅かで短い。

口内は橙黄色、口角縁は淡黄色である。

参考文献

  • 清棲幸保 1955 キセキレイ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅱ. 講談社. 382-384.

最終更新日:2020-06-26 キノボリトカゲ

卵の形質

卵は緑色を帯びた灰白色の地に、暗褐色または紫褐色の不明瞭な小斑点が散在し、斑点は鈍端の方に密在するのが常である。

参考文献

  • 清棲幸保 1955 キセキレイ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅱ. 講談社. 382-384.

最終更新日:2020-06-26 キノボリトカゲ

生態

生息環境

低地、低山帯に多く、亜高山帯から高山帯にまで現れる。

小さな水路から大きい川まで水辺をすみかにし、とくに山麓や山間の渓流、あるいは清流の多い集落に好んですみつく。

同所性のセグロセキレイよりは川の上流部にすみ、巨岩が折り重なる崖の多い峡谷にも入る。

林道でも水が湧き出すところや、水が流れる側溝があればすみつく。

市街地であっても流路や溝があればいくらでも入ってくる。

参考文献

  • 中村登流 1995 キセキレイ, 中村登流、中村雅彦(著) 原色日本野鳥生態図鑑:陸鳥編. 保育社. 139.

最終更新日:2020-06-26 キノボリトカゲ

食性

地上や水辺を歩きながら採食し、昆虫類、とくに双翅類、脈翅類、カゲロウ類、カワゲラ類、トビケラ類などをよく食べる。

しばしば水辺の石や流木に止まり、飛ぶ虫にフライングキャッチをしたり、ときにはフラフラと方向を変えて追い回す。

セキレイ類のなかでは最も頻繁にフライングキャッチ法を使う。

地上に下りては、頻繁に後半身を上下にゆする。

参考文献

  • 中村登流 1995 キセキレイ, 中村登流、中村雅彦(著) 原色日本野鳥生態図鑑:陸鳥編. 保育社. 139.

最終更新日:2020-06-26 キノボリトカゲ

ライフサイクル

繁殖期は4~8月、一夫一妻で繁殖する。

巣は崖の窪みや樹林の幹に近い枝の上につくるが、しばしば人工物を利用し、屋根裏、梁の上、瓦の隙間など、ときには自動車のエンジンルームなどちょっとした覆いのあるところを利用する。

巣は椀形で、枯れ葉、細枝、樹皮、コケ類などでつくり、内装には細根、獣毛、羽毛などを使う。

外装は雌雄でつくり、雌の方が多く作業し、雄は近くで盛んにさえずる。内装は雌がつくる(長谷川. 1983)。

巣場所を紹介する雄のディスプレイがある(長谷川. 1983)。

1巣卵数は4~6個、雌雄交替で抱卵し、雛は11~14日ぐらいで孵化する。

夜間の抱卵は雌だけが行う(羽田・市川, 1967)。育雛は雌雄共同で行い、雛は11~14日ぐらいで巣立つ。

抱雛は雌雄とも行うが、主として雌が行い、夜間の抱擁は雌のみが行う。

雛の糞を水辺に運んで捨てる習性がある(市川, 1976:長谷川, 1983)。

参考文献

  • 中村登流 1995 キセキレイ, 中村登流、中村雅彦(著) 原色日本野鳥生態図鑑:陸鳥編. 保育社. 139.

最終更新日:2020-06-26 キノボリトカゲ

鳴き声

チョチョツ、チョチョツまたはチチン、チチン、チチンと飛翔しつつ啼き、警戒時にはチチチチチチとツと啼く。

スイ、スイ、スイ、スイ、ピー、ピー、チョツ、チョツ、ピーピーまたはチチ―、チョチョチョチョ、ツイ、ツイ、ツイ、ツイ―などと囀り、囀るときには小高い樹頂、屋根、電線、岩頭などにとまることが多い。

参考文献

  • 清棲幸保 1955 キセキレイ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅱ. 講談社. 382-384.

最終更新日:2020-06-26 キノボリトカゲ

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