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- ツメナガセキレイ(Motacilla flava)について
ツメナガセキレイ(Motacilla flava)
【IUCN】現時点での絶滅危険度の低い種
- 【 学名 】
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Motacilla flava Linnaeus, 1758
基本情報
- 大きさ・重さ
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・嘴峰:12-15 mm
・翼長:77-87 mm
・跗蹠:23-27 mm
・後趾の爪:10-14 mm
・尾長:64-78 mm
・体重:13-23 g
・卵:長径 18-20.5 mm × 短径 14-16 mm
参考文献
最終更新日:2020-05-26 キノボリトカゲ
- 分布
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全北区。ユーラシア大陸の中・高緯度地方、北アメリカ大陸の北西部のアラスカの西海岸地区で繁殖し、冬はアフリカからインド、東南アジア、ニューギニア島に渡ってすごす。
日本では、北海道北部(サロベツ原野、稚内市郊外、紅や原生花園など)で繁殖する。
一方、本州の関東地方以南、四国、九州、沖縄県方面には旅鳥または冬鳥として訪れるものがあるが、個体数は多くない。
本種は地方的な変異が野外観察でもよくわかるほどはっきりしていて、西南日本に渡ってきて越冬するものは北海道のものとはちがう別の亜種であることが多い。
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- 亜種・品種
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北海道で繫殖するキマユツメナガセキレイ(M. f. taivana)はシベリア東部からサハリンに分布する亜種で、マミジロツメナガセキレイ(M. f. simillima)はカムチャッカ半島から千島列島の亜種、キタツメナガセキレイ(M. f. macronyx)はウスリーから中国北東部の亜種、シベリアツメナガセキレイ(M. f. plexa)はシベリア中部の亜種である。
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形態
- 成鳥の形質
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【雄夏羽】
額・頭上・後頭・後頸・眼先・耳羽は緑灰褐色で、眼の上には鮮黄色の眉斑がある。
腮・喉・胸・腹・脇・下尾筒は鮮黄色である。背・肩羽・腰・上尾筒は緑灰褐色である。
翼は暗褐色、初列風切・次列風切・小雨覆・初列雨覆・小翼羽には外弁に黄色を帯びた白色の細い縁があり、三列風切も同様であるが緑の幅が広い。
三列風切の最長のものは著しく長くて初列風切の先端近くまで達している。
大・中雨覆には外縁と羽端に黄色を帯びた白色の幅の広い縁がある。
尾は黒褐色で、黄緑色の羽縁がある。外側2対の尾羽は白色で、内弁の外側には黒褐色の幅の広い線をなした斑がある。
下雨覆・腋羽は黄色を帯びた灰白色。嘴色は黒色、虹彩は暗褐色、脚色は褐色を帯びた黒色。
【雄冬羽】
雄の夏羽に酷似するが、体の上面は緑黄色が淡く、体の下面の鮮黄色は淡色である。
【雌】
額・頭上・後頸・眼先・耳羽はオリーブ灰褐色、腮・喉・胸・腹・脇・下尾筒は黄色。
背・肩羽・腰・上尾筒はオリーブ灰褐色である。ほかは雄と同様である。
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- 幼鳥の形質
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【雛】
孵化直後の雛は肉色の裸体のままで、クリーム色の長い初毛が、眼の上、後頭、背、上膊、前膊などの羽域に豊富に生えている。
口中はオレンジ色、舌の基部に褐色斑点が2個あり、口角縁は淡黄色である。
【幼鳥】
上面は全体的に汚灰褐色で腰は僅かに黄色を帯びている。また頭上の両側、即ち眉版の上に沿う部分は濃い。
尾および翼は成鳥に似るが羽縁は広く、多少バフ色を帯びている。眉斑はバフ色。眼先・頬。耳羽は暗褐色。腮と喉は淡バフ白色。
顎線とこれに連なって喉の下方を縁取る横帯は黒褐色。胸はバフ色で不明瞭な暗色斑がある。
腹は帯バフ汚白色。脇は灰褐色を帯びている。嘴は暗褐色で下嘴の基半部は淡褐色。脚は暗褐色。
【第1回冬羽】
幼鳥は8月~9月の間に体羽全体・大雨覆・中雨覆・小雨覆を換羽して第1回冬羽となる。
この羽衣は背面は成鳥冬羽に似た暗オリーブ灰色であるがオリーブ色味は少ない。
雨覆は成鳥冬羽と同じ。眉斑は淡黄色。眼先・耳羽は成鳥冬羽より淡い。腮以下の下面は汚白色。
胸は灰色を帯び、喉の周囲には暗色斑が並んでいる。嘴および脚は成鳥の冬季のものと同じ。
【第1回夏羽】
幼鳥は早いものは11月中に下面より換羽を開始する。そして成鳥と同様の換羽により第1回夏羽となる。
この羽衣の時点ですでに、成鳥と区別しにくい。
【第2回冬羽】
幼鳥は第2年の秋季の換羽で全身の羽毛を更新し成鳥冬羽となる。
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生態
- 生息環境
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草原、農耕地、湿地草原などの、とくに湿った、あるいは水溜まりのある荒れ地状の草原にすむ。
密生した草原よりも、水辺があったり壊れて裸地などが点在する草原を好む。
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- 食性
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昆虫食で、主として双翅目を食べ、冬は鞘翅類、膜翅類なども食べる。
採食には3つの方法があり(Simms, 1992)、それらは①地上を走り、地上からつまみ上げる。
②突進して急襲する。③藪の枝やフェンスの上から飛び上がって、空中で虫をくわえ捕る、などで、大部分は①の方法で虫を捕らえる。
海岸の砂泥地などでキョウジョシギ、ムクドリ、カラス類が泥をほじくったときに逃げ出す虫を狙ったり、草むらで動く牛についてまわり、牛が追い出す虫をねらうなど、ほかの動物の動きを利用する。
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- ライフサイクル
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繁殖期は5~7月、一夫一妻で繁殖する。巣は草むらの根元や土くれの脇などの地上に窪みをつくり、外装には枯れ草の葉や茎を、内装には獣毛や羽毛を使う。
巣をつくる場所はほとんど水辺の草原内で、雌のみが巣をつくり、雄は雌について回りメイトガイドに専念する。
1巣卵数は4~5個、抱卵は雌雄交替で行うが、雌の方が多く70%前後である(Simms,1992)。
雛は13~14日で孵化し、両親によって給餌されて、11~15日ぐらいで巣立つ。
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- 特徴的な行動
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イギリスでは、雄は雌より約1週間早く繁殖地に現れる。
当初は雄どうしの群れで採食し、群れ塒で眠る。群れ時は20~30羽ぐらいで、ほとんど争いはなく、したがってなわばり設立はまだ見られない。
雌が到来しはじめると状況は一変し、雄は盛んに脅しのディスプレイをしたりさえずりを行う。
雄の脅しのディスプレイは、向き合って、胸を反らして胸羽を逆立て、尾羽を下げて先で体を支え、翼をダラリと下げたポーズを取る。
数秒でなわばり所有者はうずくまり、はね上がる体勢になる。その後、実際的な戦いになる。
また雄は、しばしば空中に飛び立って上昇し、翼を振動させつつ下降して雌を呼ぶさえずりを行う(Simms, 1992)。
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最終更新日:2020-05-26 キノボリトカゲ