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キレンジャク(Bombycilla garrulus)の分類 レンジャク科(Bombycillidae)
キレンジャク(Bombycilla garrulus)の概要 レンジャク属(Bombycilla)

キレンジャク(Bombycilla garrulus)

低危険種 (LC or LR/lc)

【IUCN】現時点での絶滅危険度の低い種

【 学名 】
Bombycilla garrulus (Linnaeus, 1758)

基本情報

大きさ・重さ

・嘴峰:11~13 mm
・翼長:109~122 mm  
・跗蹠:18~22.5 mm
・尾長:58~72 mm 
・体重:31~70 g
・卵:長径 21.1~28.3 mm×短径 15.7~18.8 mm 平均長径 24 mm×短径 17.3 mm

参考文献

最終更新日:2020-06-12 キノボリトカゲ

分布

全北区。繁殖分布はスカンジナビア半島、シベリア、中国北部、北アメリカ大陸北部で、ヒレンジャクよりかなり広い分布域をもつ。

冬は繁殖地から南下し、ヨーロッパ全域、イラン、中国、サハリンで越冬する。

日本には冬鳥として11月ごろに渡来し、4月ごろまでとどまることがあるが、ヒレンジャクと同様、渡来数は年によって異なる。

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分類学的位置付け

スズメ目 レンジャク科

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形態

成鳥の形質

【雄】
額、頭側は栗色、頭上、後頭、後頸は赤錆色を帯びた灰色で、頭上、後頭の羽は長くて羽冠をなしている。

上嘴の基部、眼先、眼の上方は黒色で、眼の後方には黒色の三角形の斑があり、それらで黒色の過眼線をなしている。

耳羽は赤褐色を帯びた灰色、腮、喉は黒色で、喉の両側は栗色である。

下嘴の基部には白色の斑があり、眼の下方には小白斑がある。

背、肩羽、胸は赤褐色を帯びた灰色、腹、脇、腰、上尾筒は灰色で、下腹はやや黄味がかった灰白色、脇は赤味を帯びている。

下尾筒は濃赤褐色で、尾の先端近くまで達している。

初列風切は黒色で、第1羽には先端に極く小さな白斑があり、第2羽以上は外弁の先端に沿って長さ 5~12 mmくらいの細い白斑がある。

老成鳥ではこの白斑は鮮黄色を帯び、内弁の先端には白色の細い縁がある。

次列風切は灰黒色で、先端に近いほど黒色を帯びる。

外弁の先端の外縁には長さ 9~12 mmくらいの白色の線になった斑があり、羽軸の先端は長さ 8 mmくらい羽端から突出し、幅 1~2 mm位で、紅色を呈し封蝋様の光沢がある。

三列風切は斑色を帯びた石盤色で、外側の風切羽には紅色の封蝋様光沢のある羽軸が突出している。

大、中、小雨覆は赤褐色を帯びた灰色、初列雨覆は黒色で羽端には白斑があり、小翼羽は暗褐色である。

下雨覆、腋羽は灰白色。尾は灰色で先端に近いほど黒色である。

羽端には幅 8 ㎜くらいの黄色の帯があり、羽端から紅色の封蝋様光沢のある極く細い羽軸がわずかに突出しているが、ときにはこれを欠くものもある。

嘴色は黒色で基部は藍灰色、虹彩は濃紅色、脚色は黒色、脛羽は灰白色。

【雌】
初列風切の外弁の黄色は淡く、次列風切、三列風切の突出した羽軸は短い。

尾の黄色の帯は色が淡い。ほかは雄と同様である。

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最終更新日:2020-06-12 キノボリトカゲ

幼鳥の形質

【幼鳥】
上面は全部褐色であるが、腰と上尾筒の色は淡い。頭上の羽毛は少し伸長している。

尾は成鳥と同じだが、色尾が鈍い。翼も成鳥のものに似るが、風切と初列雨覆は褐色を帯び、紅色の蝋状付属物は小さい。

眼先より眼の上を通る細い線は黒色。眼の後方には小白斑がある。喉・胸・腹は褐色の地に淡バフ色の縦斑がある。

下腹はバフ白色。下尾筒は淡栗色。

【第1回冬羽】
幼鳥は秋季に体羽全部と雨覆を換羽して第1回冬羽となる。

新たに生じた羽毛は成鳥冬羽と違いはない。しかし風切と尾羽は幼羽のままなので、区別することができる。

【第2回冬羽】
幼鳥は第2年秋季の完全な換羽によって成鳥冬羽となる。

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卵の形質

卵は灰色または灰青色の地に黒色または黒褐色と灰色との斑点がある。

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生態

生息環境

本州には冬鳥として飛来し、標高 1500 m以下の冬枯れの落葉濶葉樹林に生息し、ときにヤドリギの寄生する栗林に多い。

北海道、東北、北陸、山陰地方の落葉広葉樹林や市街地の公園、村落付近に現れる。

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食性

樹上でナナカマド、ズミ、イボタノキ、カキ、ヤドリギ、ノブドウなどの実を食べる。

水を飲むとき以外は地上に下りることはない。樹梢で鈴なりに群れて、実をついばみながら枝渡りして採食する。

ヒレンジャクと混群になり、庭の餌台でカキやリンゴを食べることもある。

繁殖期は、空中で双翅目の昆虫を捕えることもある。

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ライフサイクル

北欧圏では6月中旬ごろから産卵をはじめ、ふつう年に1回、一夫一妻で繁殖する(Cra-mp, 1988)。

営巣木として針葉樹を好み、地上から 3~15 mぐらいの高さの枝上に、コケ類、枯れ葉、まれに地衣類を材料にして椀形の粗雑な巣をつくる。

巣づくりには雌雄ともかかわるが、ほとんどの仕事は雌が行う。

1巣卵数は5~6個、雌だけが14~15日抱卵し、その間雄は抱卵中の雌の餌を運ぶ(Cramp, 1988)。

育雛日数は14~15日だが、悪天候の場合は17日以上にもなる。雌雄とも雛に給餌する。

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鳴き声

樹上にとまっているときにはピー、ピー、ピー、ピーまたはヒィー、ヒィー、ヒィー、ヒィーと高く低く細い声で互いに鳴き合い、チリ、チリ、チリ、チリまたはヒリ、ヒリ、ヒリ、ヒリと細い声で地啼きする。

飛び立つ前にはピー、ピーと啼いてから飛び立つことが多く、飛翔中にも啼く。

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特徴的な行動

番は、巣のごく近くの地域以外はなわばり防衛を行わない。

一部の地域では、まとまりの弱いコロニーを形成する(Cramp. 1988)。

番は冬の群れの中で形成され、木の実などを雌雄で相互に何度も受け渡す、求愛給餌に似た独特の求愛ディスプレイを行う(Cramp. 1988)。

冬は群れをなし、餌を求めて広く移動する。

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その他生態

冬季には常に10羽から30羽位、ときには100羽位も群れて、樹上生活を主としている。

地上には水を飲むときだけ降り、地上では跳ね歩く。梢近くにとまることが多く、互いに可憐な声で鳴き合う。

餌を漁るときにも群れているが争うことはなく、樹の実に鈴なりに群れて啄むことが多い。

梢から枝づたいに跳ねわたりながら、次第に低い小枝まで下りることがある。

翼を迅速に羽搏いて飛翔し、1羽が舞い立つと全群一斉に飛び立つのが常である。

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最終更新日:2020-06-12 キノボリトカゲ

種・分類一覧