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ウソ(Pyrrhula pyrrhula)の分類 アトリ科(Fringillidae)
ウソ(Pyrrhula pyrrhula)の概要 ウソ属(Pyrrhula)

ウソ(Pyrrhula pyrrhula)

低危険種 (LC or LR/lc)

【IUCN】現時点での絶滅危険度の低い種

【 学名 】
Pyrrhula pyrrhula (Linnaeus, 1758)

基本情報

大きさ・重さ

・嘴峰:9~10.5 cm
・嘴高:8~9 cm
・翼長:80~87 mm
・跗蹠:16~18 cm
・尾長:60~67 mm
・体重:22~23 g

参考文献

最終更新日:2020-07-03 キノボリトカゲ

分布

旧北区。世界に10亜種が存在するが(Howard & Moore, 1991)、いずれもユーラシア大陸の亜寒帯で繁殖する。

日本では3亜種が記録されている。日本で繁殖する亜種は、主として胸から腹が灰色のウソ(P. p. griseiventris)で、本州中部以北の亜高山針葉樹林帯から北海道にかけて繁殖し、四国と九州の山地でも繁殖期の観察例がある。

冬鳥として渡来する別亜種としては、ウスリーやサハリンで繁殖する胸が淡い紅色を帯びるアカウソ(P. p. rosacea)と、カムチャッカ半島で繁殖するベニバラウソ(P. p. cassinii)がある。

アカウソは、冬に本州以南でもふつうに見られ、ウソと同一の群れにいることも多いが、ベニバラウソは迷鳥としてまれに記録されるだけである。

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最終更新日:2020-07-03 キノボリトカゲ

形態

成鳥の形質

【雄】
額、頭上、後頭、腮、嘴の基部の羽毛、眼先は藍光沢のある黒色。耳羽、頬の大部分、喉は薔薇色である。

頸、肩羽、背は暗灰鼠色、胸は灰色で、腹と脇は淡灰色であるが、ときには胸以下の体の下面が極めて微かに薔薇色を帯びたものもある。

腰と下尾筒は白色、上尾筒は藍光沢のある黒色である。

風切羽は藍光沢のある黒色で、初列風切の第2羽の外弁には灰色の細縁がある。

大雨覆は藍光沢のある黒色で、先端には幅の広い暗鼠灰色の縁があって、翼帯をなしている。

中・小雨覆は暗灰色。下雨覆・腋羽は白色で、腋羽はわずかに薔薇色を帯び、小翼羽は黒色である。

尾は藍光沢のある黒色で、ときには最外側の尾羽の羽軸に沿って白色の細長い斑紋があるものもある。

嘴色は黒色、虹彩は褐色、脚色は褐色、脛羽は灰白色。

【雌】
耳羽、頬、喉、頸、背、肩羽、胸、腹、脇は灰褐色で、中・小雨覆は灰色である。ほかは雄と同様である。

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最終更新日:2020-07-03 キノボリトカゲ

幼鳥の形質

孵化直後の雛は肉色の裸体のままで、暗灰色の著しく長い初毛が眼の上、後頭、上膊、背、前膊、腿、腹、脛などの羽域に生え、口内は紅色、口角縁は淡黄色である。

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卵の形質

卵は緑青色の地に、暗紫褐色と褐色の小斑が鈍端の方に散在する。

卵は球卵形で、長径 19~21.1 mm×短径 14.5×16.5 m、平均長径 20mm×短径 16 mm、重量 2.2~2.5 gである。

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生態

生息環境

本州中部では標高 1500 m以上の亜高山帯で繁殖するが、緯度が高くなるにつれて繁殖地の標高は低くなり、北海道東部や北部では平地のエゾマツ林でも繁殖する。

冬は標高の低い山地や丘陵地、市街地の公園などに移動する。

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食性

樹上で、モモ、サクラ、ウメといった植物のつぼみ・若芽をついばむ。

とくに春先は数羽から10数羽の群れになり、サクラの名所や、アンズ・ウメなどの果樹園にやってきてつぼみを食べ荒らす。

志賀高原では4~5月にかけて、アカミノイヌツゲ、ナナカマド、ヒロハノツリバナ、6~8月にはコヨウラクツツジ、タカネザクラ、ダケカンバの若芽をかたっぱしから食べてしまう(北島, 1975)。

雛には昆虫、植物の種子・つぼみを与える。

親は採餌した餌をいったん嗉嚢に貯えて巣まで運搬して雛に給餌する。

1度に運んでくる餌の重さは平均すると約 1 gで、第1繁殖では昆虫が全体の約80%を占めるのに対し、第2繁殖では約80%が植物の種子・つぼみになる(北島, 1975)。

夏期は昆虫類も啄み、鱗翅目の幼虫、双翅目、鞘翅目などを食物とする。

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鳴き声

フヒー、フヒーと口笛に似た優しい声で啼き、群れているときにはヒーフヒー、ヒーフヒーと互いに啼き合っていることが多く、飛翔中にも啼く。

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最終更新日:2020-07-03 キノボリトカゲ

特徴的な行動

巣づくりは5月下旬から始まり、8月中旬までに1回ないしは2回、一夫一妻で繁殖する(北島, 1975)。

巣材運搬や巣づくりは雌だけが行い、雄は雌に連れ添い、巣の近くの木の頂で鳴きながら警戒にあたる。

亜高山帯のオオシラビソやコメツガなどの針葉樹の地上から高さ 1~3 mぐらいのところに、枯れ草やサルオガセなどで椀形の巣をつくる。

1巣卵数は4~6個、雌は最終卵を産み終えると抱卵をはじめ、抱卵は雌だけが行い、雄は抱卵中の雌に餌を運んで口移しで与える(山田, 1968 ; 北島, 1975)。

抱卵日数は12~14日。育雛期には雌雄共同で雛に給餌を行い、雄と雌が同時に巣のふちにとまって雛に給餌することが多く、育雛期には雄と雌は行動を共にしている可能性が高い(山田, 1968 ; 北島, 1975)。育雛日数は12~18日。

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その他生態

繁殖期には一夫一妻の番か数番集まり、それぞれ直径 10 m前後のなわばりを構えて繁殖する(北島, 1975)。

採食はなわばりの外で行う。非繁殖期には、数羽から10数羽の採食群を形成する。

冬に見られる数羽の群れが、繁殖期の番を単位としたものかどうかは不明である。

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最終更新日:2020-07-03 キノボリトカゲ

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