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- イスカ(Loxia curvirostra)について

イスカ(Loxia curvirostra)
【IUCN】現時点での絶滅危険度の低い種
- 【 学名 】
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Loxia curvirostra Linnaeus, 1758
基本情報
- 分布
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全北区。北半球の温帯・亜寒帯に広く分布し、主に針葉樹林で繁殖する。
日本には冬鳥として大陸から飛来する。北海道と本州中部以北の山地には夏も生息するが、数は少ない。冬に渡来する数は、年によって著しく差がある。
多数の個体が渡来した翌年、個体の一部が長野県など本州の数県にとどまって繁殖することがある。突発的な移動を見せるヒワ類のなかでも、イスカはウソとならんで特に顕著で、北アメリカやヨーロッパでも、年によって渡来数の差が著しい。
参考文献
- 中村雅彦 1995 イスカ, 中村登流、中村雅彦(著) 原色日本野鳥生態図鑑:陸鳥編. 保育社. p. 119.
最終更新日:2021-04-23 ハリリセンボン
- 分類学的位置付け
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スズメ目 アトリ科
参考文献
- 叶内拓哉 2013 イスカ, 叶内拓哉、安部直哉、上田秀雄(著) 日本の野鳥. 山と渓谷社. pp. 614‐615.
最終更新日:2021-04-23 ハリリセンボン
形態
- 成鳥の形質
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成鳥雄は翼が黒褐色で他は赤橙色だが、青味のある黄色の個体もいる。
成鳥雌は頭から体上面がオリーブ緑色、体下面は黄色っぽい。雌雄とも嘴は黒く、上嘴は真っ直ぐで、下嘴は左右どちらかに曲がっていて先端は交差する。
参考文献
- 叶内拓哉 2013 イスカ, 叶内拓哉、安部直哉、上田秀雄(著) 日本の野鳥. 山と渓谷社. pp. 614‐615.
最終更新日:2021-04-23 ハリリセンボン
- 幼鳥の形質
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幼鳥は全体的に灰色で、頭部や背面および下面に縦斑がある。個体によっては幼羽でもわずかに黄色や赤い体羽が混じることがある。
孵化直後の雛は肉色の裸体で頭上、後頭、上膊、背、前膊、腿、腹、脛などの羽域に暗灰色の初毛が生えている。口中は紫紅色で一部は黄色を呈し、口角縁は淡黄色である。
参考文献
最終更新日:2021-04-23 ハリリセンボン
- 卵の形質
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長径 19.5~25.1mm×短径 15~18mm
平均長径 22.1mm×短径16.1mm
卵は緑白色の地に紫赤色または暗黒色の斑点と線形の斑とがあり、特に鈍端の方に散在する。
参考文献
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- 似ている種 (間違えやすい種)
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ナキイスカ、ギンザンマシコ
参考文献
- 2014 日本の鳥550 山野の鳥 - 書籍全体, 五百澤日丸、山形則男(著) 日本の鳥550 山野の鳥. 文一総合出版. .
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生態
- 生息環境
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針葉樹林、特にマツ林を好み、日本では主にクロマツ、アカマツの林に生息する。カラマツやトウヒの林でも採餌を行う。
繁殖環境としては、間伐の行き届いた適度に疎らな林や、枝が横に広がるような隙間の多い林、空き地や道路に面した林縁などを好む。広葉樹林でも見られることがある。
参考文献
最終更新日:2021-04-23 ハリリセンボン
- 鳴き声
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飛ぶときはキョッ、キョッまたはピッピッと鳴く。そのほか雄はマツの梢でケーケーと鳴くほかビュリュンという声も出す。求愛期にはピピピピーなどさまざまな声でさえずる。
雄は営巣・抱卵期になると高い声でさえずるのをやめ、低い声でぐぜるように小さく鳴く。このぐぜりは巣立ち雛を連れて行動をする頃まで続く。
参考文献
最終更新日:2021-04-23 ハリリセンボン
- 特徴的な行動
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一年中群れで生活する。主に樹上生活をし、針葉樹の種子や芽などを採食。地上に降りることは少ないが、よく水を飲む。一定の場所に長居はせずに移動するが、数日に1回のわりで同じ場所で採食することもある。
参考文献
- 叶内拓哉 2013 イスカ, 叶内拓哉、安部直哉、上田秀雄(著) 日本の野鳥. 山と渓谷社. pp. 614‐615.
最終更新日:2021-04-23 ハリリセンボン
関連情報
- その他
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嘴は一見左右に交差しているが、上嘴は頭の中心線と並行に近く、下嘴がいずれかに強く曲がっている。下北半島の個体群では、下嘴が左に曲がっている個体が多い。日齢の浅いヒナはまだ嘴が交差しておらず、約10日齢を過ぎた頃から少しずつ伸長するとともに交差が進むと推測される。
参考文献
最終更新日:2021-04-23 ハリリセンボン