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- カシラダカ(Emberiza rustica)について
カシラダカ(Emberiza rustica)
【IUCN】絶滅の危険が増大している種
- 【 学名 】
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Emberiza rustica Pallas, 1776
基本情報
- 大きさ・重さ
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・嘴峰:9~13 mm
・翼長:雄 75~83 mm 雌 70~77 mm
・跗蹠:18~20 mm
・尾長:50~64 mm
・体重:14~26 g位
・卵:長径 20.5~21 mm × 短径 16 mm
参考文献
- 清棲幸保 1955 カシラダカ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅰ. 講談社. 98-100.
最終更新日:2020-06-03 キノボリトカゲ
- 分布
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旧北区。ユーラシア大陸の高緯度地方で繁殖し、冬は中国東部と少し離れて西部にわたって過ごす。
日本には10月から翌年の5月ごろまで冬鳥として日本に現れ、本州以南で越冬する。青森県下北半島で巣立ち雛の記録がある。
参考文献
- 中村登流 1995 カシラダカ, 中村登流、中村雅彦(著) 原色日本野鳥生態図鑑:陸鳥編. 保育社. 49.
最終更新日:2020-06-03 キノボリトカゲ
- 和名の解説
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枝などに止まったときに冠羽を立てることから名付けられた。
参考文献
- 吉井正 2005 カシラダカ, 吉井正(監修) 三省堂編修所 (編) 三省堂世界鳥名事典. 三省堂. 128.
最終更新日:2020-06-03 キノボリトカゲ
- 分類学的位置付け
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スズメ目 ホオジロ科
参考文献
- 吉井正 2005 カシラダカ, 吉井正(監修) 三省堂編修所 (編) 三省堂世界鳥名事典. 三省堂. 128.
最終更新日:2020-06-03 キノボリトカゲ
形態
- 成鳥の形質
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【雄】
額、頭上、耳羽、眼先は藍黒色で、冬季は額、頭上の各羽に灰褐色の羽縁があり、眼先の各羽には灰褐色を帯びた白色の羽縁がある。
後頭には白色の斑があり、冬季は灰褐色を帯びる。眼の上には白色の眉斑があり、冬季は灰褐色を帯びている。
腮は嘴の基部近い部分は黒色で、ほかの大部分は白色を呈し、冬季は全部が白色である。
喉は白色で、冬季はやや灰褐色を帯びる。下嘴の基部から後方に黒褐色の顎線が走っている。
後頸は栗色で、羽縁は灰色で、冬季は羽縁は灰褐色を呈する。
背、肩羽、腰、上尾筒は栗色で、肩羽や背の各羽には灰褐色の羽縁と黒褐色の軸斑があり、腰、上尾筒の各羽には灰色の羽縁がある。
上胸には栗色の幅 12 mm位の帯があり、冬季は各羽縁白色である。
腹、脇、下尾筒は白色で、脇の各羽には栗色の幅の広い軸斑がある。
初列風切、次列風切、初列雨覆、小翼羽は暗褐色で、各羽には灰褐色の細い縁がある。
三列風切は黒褐色で、各羽には栗色の幅の広い縁があり、これは多少灰白色を帯びている。
大、中雨覆は黒褐色で、各羽縁には白色の斑があり、冬季はこの斑は灰褐色を帯びる。
小雨覆は栗色、下雨覆、腋羽は白色である。尾は暗褐色で、各羽には灰褐色の羽縁がある。
外側の2対の尾羽の内弁には楔型の細長い白色の斑があり、最外側のものの方が大きい。
嘴色は暗褐色、下嘴は褐色。虹彩は暗褐色、脚色は淡褐色、脛羽は暗褐色を帯びた白色。
【雌】
雄の冬羽に類似する。
参考文献
- 清棲幸保 1955 カシラダカ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅰ. 講談社. 98-100.
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- 幼鳥の形質
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頭上は黒褐色でバフ色の羽縁がある。後頸と翕の羽毛はあかかっしょくで帯褐バフ色の縁がある。
腰と上尾筒は帯褐栗色で暗色の軸斑がある。翼と尾は成鳥と同様だがいろは鈍い。眼先と眼の後方の条は淡バフ色。
耳羽はバフ褐色。腮はバフ色。喉はバフ白色で黒褐色の条斑がある。
胸と腹とは茶褐色を帯び同様の縦斑がある。下胸の中央はバフ白色で黒褐色斑点を有する。
【第1回冬羽】幼鳥は晩夏より初秋にわたって初列雨覆・風切と尾羽以外を換羽し第1回冬羽となる。
この羽衣で成鳥冬羽とほとんど差がない。しかし雄の場合は頭の黒色がやや少ない。
【第1回夏羽】
幼鳥は翌年の春に成鳥夏羽の場合と同様に頭の一部のみを換羽して第1回夏羽となる。
この羽衣は成鳥夏羽と区別しがたい。
【第2回冬羽】
幼鳥は第2年の秋季に風切と尾羽を含む全身を換羽して成鳥の羽衣となる。
参考文献
- 山階芳麿 1980 カシラダカ, 山階芳麿(著) 日本の鳥類と其生態Ⅱ. 出版科学総合研究所. 198-202.
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- 卵の形質
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卵は緑灰色または緑青色の地に、灰褐色の斑点が散在する。
参考文献
- 清棲幸保 1955 カシラダカ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅰ. 講談社. 98-100.
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生態
- 生息環境
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冬は低地や低山帯の農耕地、雑木林、疎林、湖畔や川辺のヨシ原や藪地で見られ、秋・春は亜高山帯の湿地周辺に現れる。
繁殖地では針葉樹林の湿地周辺の雑木林や藪地にすむ。
参考文献
- 中村登流 1995 カシラダカ, 中村登流、中村雅彦(著) 原色日本野鳥生態図鑑:陸鳥編. 保育社. 49.
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- 食性
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冬は主として地上で採食する。
水田に大群で下りて、イネの落穂やイネ科の種子を拾って採食するとき、横列に地上に下り、各自前進しながらついばんでいくが、後になったものは飛び立って少し先へ下りることを繰り返すために、群れ全体がローラーが回転しながら前進していくように見える。
主としてイネ科、カヤツリグサ科、タデ科、マメ科などの種子を食べ、シャクトリガの幼虫、バッタの卵、ガガンボなど昆虫も食べる。
参考文献
- 中村登流 1995 カシラダカ, 中村登流、中村雅彦(著) 原色日本野鳥生態図鑑:陸鳥編. 保育社. 49.
- 清棲幸保 1955 カシラダカ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅰ. 講談社. 98-100.
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- ライフサイクル
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繁殖期は5~7月、一夫一妻で繁殖するらしい。巣は地上か藪の枝の上に、椀形につくる。
1巣卵数は4~6個、抱卵は雌のみが行い、雛は12~13日ぐらいで孵化する。両親に養われて14日ぐらいで巣立つ。
参考文献
- 中村登流 1995 カシラダカ, 中村登流、中村雅彦(著) 原色日本野鳥生態図鑑:陸鳥編. 保育社. 49.
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- 鳴き声
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チッ、チッ、チッと鋭い声で地啼きする。3月下旬から5月上旬頃の渡去期前には盛んに囀り、カラマツやアカマツの高い梢に群れて、ピピ、ピィヨ、ピピ、ピィヨ、ピピ、ピィヨチイチク、チイチク、チイクと、ヒバリの声を低く細くした様な声で互いに囀り続ける。
参考文献
- 清棲幸保 1955 カシラダカ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅰ. 講談社. 98-100.
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- 特徴的な行動
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繁殖期のなわばりについての記載はないが、亜高山帯で渡りのおくれたものの観察では、番の小群が湿地などの周辺で各番に分かれつつさえずる行動があり、多分なわばり分散をすると思われる。
冬は大小いろいろな群れで過ごす。
夕刻に群れが上空高く上がり、一定の方向へ飛ぶ行動は各地で観察され、畑や水田地帯の採食地から山地の塒地域へもどる。
塒地域には約700羽ぐらいが集まり、約 1.5 km四方におよぶ範囲で、各個体がばらばらにススキの枯れ株の中に1羽だけ入れる窪みをつくって、その中で眠る(中村, 1973)。
早朝、大小いろいろな群れで飛び立ち、2~3 ㎞離れた低地の採食地域で、約 2.5 ㎞四方に広がる(中村, 1973)。
こうして、いわば大群による分散をする。雪が降ると、この分散形態そのものが移動することになるだろう。
日中、藪などの隠れ場のない水田のようなところまで群れで進出し、危険を感じると群れ全体で飛び立ち、上空を旋回し、いわば群れの中へ相互的に隠れようとする。
そして、まとまった集団行動を示し、状況に応じていっせいに水田に下りる(中村・飯島, 1977)。
ヒワ類ほどコンパクトな集団行動ではないが、スズメよりは見事な群れ行動である。春先には林緑などで盛んにコーラスをする。
参考文献
- 中村登流 1995 カシラダカ, 中村登流、中村雅彦(著) 原色日本野鳥生態図鑑:陸鳥編. 保育社. 49.
最終更新日:2020-06-03 キノボリトカゲ