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クロジ(Emberiza variabilis)の分類 ホオジロ科(Emberizidae)
クロジ(Emberiza variabilis)の概要 ホオジロ属(Emberiza)

クロジ(Emberiza variabilis)

低危険種 (LC or LR/lc)

【IUCN】現時点での絶滅危険度の低い種

【 学名 】
Emberiza variabilis Temminck, 1836

基本情報

大きさ・重さ

・嘴峰:10~14.5 mm
・翼長:雄 77.5~92 mm 雌 74~89 mm 
・跗蹠:19~24 mm
・尾長:60~81 mm
・体重:20~38 g
・卵:長径 21.2~22.5 mm×短径 15.7~16.5 mm 

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最終更新日:2020-06-22 キノボリトカゲ

分布

旧北区。カムチャッカ半島南部から日本列島までに限られて分布する。遺存種。日本では、本州中部以北と北海道で繁殖する。

本州では日本海側の山地に片寄っており、とくに新潟、長野、群馬の県境地方に多い。

冬は、本州西南部から南西諸島に渡ってすごす。

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分類学的位置付け

スズメ目 ホオジロ科

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形態

成鳥の形質

【雄】
額、頭上、後頭、後頸、眼先、耳羽は石盤灰色で、冬季は各羽縁は褐色または黄褐色である。

腮、喉は灰色で、冬季は各羽縁は黄褐色である。

背、肩羽は石盤灰色で、各羽には黒色の軸斑があり、冬季は各羽縁は赤褐色または黄褐色である。

胸、腹、脇は灰色で、冬季は各羽縁は黄褐色である。

下腹の中央は白色、腰と上尾筒は石盤灰色で、冬季は各羽縁は赤褐色である。

下尾筒は灰色で、各羽縁は白色である。

風切羽は石盤色で、初列風切、次列風切、初列雨覆、小翼羽の各羽には灰色の細い縁があり、冬季はこの縁は褐色である。

三列風切には灰色の幅の広い縁があり、冬季はこの縁は黄褐色を呈している。

大、中雨覆は石盤黒色で、各羽縁は灰色、冬季は各羽の先端は黄褐色である。

尾は石盤色、冬季は中央の尾羽は赤錆色を帯びる。

ときには外側の2対の先端に楔形の痕跡的に小さな白色斑があるものもある。

嘴色、上嘴は黒褐色、下嘴は淡褐色、虹彩は暗褐色、脚色は褐色を帯びた肉色、脛羽は灰色、冬季は各羽縁黄褐色。

【雌】
額、頭上、後頭、後頸、眼先、耳羽は石盤灰色で、各羽には褐色または黄褐色の羽縁がある。

眼の上には黄褐色の眉斑がある。

腮、喉、胸はやや灰色を帯びた白色で、各羽には黄褐色の羽縁があり、黒褐色の軸斑があるもの、ないもの、不規則にあるものなどがある。

背、肩羽は石盤灰色で、各羽には赤褐色または黄褐色の羽縁がある。

脇は灰色で、各羽縁は黄褐色、腰、上尾筒は石盤灰色で、各羽には赤錆色の羽縁がある。

下尾筒は黄褐色で、各羽縁は白色である。大、中雨覆の縁は黄褐色である。

尾は赤錆色を帯びている。ほかは雄と同様である。

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最終更新日:2020-06-22 キノボリトカゲ

幼鳥の形質

【幼鳥】
第1回冬羽は、雄の場合、上面は雌成鳥冬羽に酷似し、頭は暗褐色で黄褐色の頭央線がある。

腰と上尾筒は栗褐色である。

しかしながら上記の各部においても各羽の基部は明らかにスレート色であるから、雌成鳥とは容易に区別することができる。

次列風切、三列風切の縁は褐色。頭側はスレート色。

下面は腹の中央が白色であるほかすべてスレート色で、各羽には黄色の狭い羽縁がある。

雌にあっては上面は雌成鳥冬羽と同様であるが、やや淡色であり、顔の諸斑紋は明瞭である。

腮と喉はバフ白色の地に暗色の小斑がある。胸と体側には灰黄色で少し暗色の縦斑がある。

下胸より腹にわたっては白色で少し黄色を帯びている。

【第2回冬羽】
幼鳥は第2年の秋季の全身の換羽により成鳥冬羽となるものと考えられる。

しかし年齢を経るにつれ、次第に全体的にスレート色になるらしい。

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卵の形質

卵は青味のある灰白色の地に、黒褐色と灰鼠色との斑点が疎在する。

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生態

生息環境

低山帯上部から亜高山帯下部にかけての落葉広葉樹林、針広混交林、針葉樹林にすむ。

本州ではチシマザサが密生する豪雪地帯のブナの林に多い。

原生林や二次林にいるが、樹林に覆われた、ササ藪が密生しているところを好む。

越冬地では常緑樹林やスギ林に潜み、林力に出てくる。

志賀高原では標高 1,400~1,600 mに立地する亜高山針葉樹林と、その家宝の落葉広葉樹林の境界・推移帯に高密度に集中する(Nakamura, 1978)。

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食性

藪、とくにササ藪の下の地上で採食する。

よく茂っている暗い林の林床を両脚跳びで移動しながら、タデ科、イネ科などの草の種子を拾うようについばんでいく。

残雪の上でトビムシをついばむこともある。雛には鱗翅類などの幼虫をもってくる。

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ライフサイクル

繁殖期は5~8月、一夫一妻で繁殖する。巣は、雌のみが地上 1~2 mぐらいの藪の中やササの稈の重なりなどの上に乗せるようにつくる。

とくにササの稈の根元近くの、比較的水平に近い、数本が重なっているところを好む。

小枝や細根、樹皮、枯れ葉などで外装を、獣毛、細茎、菌糸束などで産座をつくる。

1巣卵数は3~5個、抱卵は雌雄交替で行い、12日ぐらいで孵化した雛は雌雄共同の給餌を受け、11日ぐらいで巣立つ(羽田・水内, 1969)。

雛の孵化直後の抱雛も雌雄交替で行い、雄はしばしば抱雛中にさえずる(水内, 1975)。

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鳴き声

ウィッ、ピィピィピィ、ツーまたはピー、チョイチョイチョイ、ピー、チョイチョイチョイ、チ―とややホオジロに似た声で囀る。

囀るときには見通しのよい枝にとまり、嘴を上向けて囀り続ける。

チッ、チッ、チッと鋭い金属性の声で地啼きする。

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特徴的な行動

繁殖期には雄はなわばりを張って分散するが、渡来当初には2~4羽ぐらいの小群で地上または地上近くにいて、相互に離れたり集まったりして対立行動をとる。

この対立行動は併行してすばやく両脚跳びをしたり、場所とりや実際的な戦いで、小さえずりやさえずりをともなう。

このような集合場所から、相互に放射方向に離れるように分散していく。

この時期にさえずり活動はピークに達し、相手に近づいたり、離れたりして相互にさえずり合う。

個体数の多いところではルーズコロニー状に分散する(Naka-mura, 1978)。

営巣期、産卵期には雄は雌につききりで、よくコールしながら連れ立ち行動をする。巣が破壊されると、再びさえずり活動が盛んになる。

雛が孵化したときにもさえずり活動の復活がある(Naka-mura, 1978)。

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