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- ムジセッカ(Phylloscopus fuscatus)について
ムジセッカ(Phylloscopus fuscatus)
【IUCN】現時点での絶滅危険度の低い種
- 【 学名 】
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Phylloscopus fuscatus (Blyth, 1842)
基本情報
- 分布
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オビ川以東のオホーツク海に至るシベリア南東部とサハリン・モンゴル・中国北東部および中央部で繁殖し、中国南部・インドシナ・インドで越冬。
ヨーロッパに迷行。日本では1984年5月に山口県見島、同年10月に石川県舳倉島で記録されたのち、各地で記録されている迷鳥であるが、一部は八重山諸島で越冬する。
参考文献
最終更新日:2020-09-22 キノボリトカゲ
形態
- 成鳥の形質
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【雄成鳥】
(冬羽)頭上・背・腰・上尾筒は灰色を帯びた暗オリーブ褐色で腰はやや淡く、上尾筒は幾分赤褐色味がある。
尾は浅い円尾で長短尾羽の差は 2~5 cmである。尾羽は赤味がかった暗褐色で、外縁はオリーブ赤褐色。
風切および初列雨覆も同様であるが、初列風切の外側の2、3枚の外縁は淡く、バフ色を帯びている。
雨覆はすべて背と同様の暗オリーブ褐色。顔にはあまり鮮明ではない淡帯紅バフ色の眉斑がある。
眼先と眼の後方は暗オリーブ褐色。頬および耳羽は帯褐バフ色と暗褐色とを混じている。
腮・喉および腹の中央は白色で、胸および下腹はバフ色を帯び、脇はオリーブ褐色を帯びている。
腋羽は帯紅バフ色。下尾筒は黄色味または紅色味あるバフ色。この羽衣は秋の全身の換羽によって得られるものである。
嘴は細く、ヒゲも細い。上嘴の色は暗褐色、下嘴の色はバフ色。
脚はほかの亜種と同じであるが、色は変化が多く帯黄肉色・オリーブ色・淡紫色・帯褐緑色などがある。虹彩は暗褐色。
(夏羽)3~4月に体羽および三列風切のみを換羽して夏羽となる。新たに生じた羽毛は冬羽と色彩が同じ。
夏季になれば摩耗のために背面は淡くなり、多少灰色味を帯びて来る。
【雌成鳥】
雄成鳥と区別しにくい。雄より幾分か小さい。
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最終更新日:2020-09-22 キノボリトカゲ
- 幼鳥の形質
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【幼鳥】
成鳥に似るが背面はやや淡くて褐色味は少なく、眉斑および下面のバフ色は弱く、胸は灰色味を帯びている。
(第1回冬羽)成鳥に似るが背面は濃く、かつオリーブ色味に富む。下面、特に腹の中央は黄色を帯び、眉斑は成鳥のものより遥かに狭く短くて、かつバフ色に乏しい。
(第1回夏羽)幼鳥は翌年春季に成鳥と同様の換羽を行って第1回夏羽となる。新たに生じた羽毛は成鳥夏羽と同じ。
(第2回冬羽)幼鳥は第2年秋季の風切を含む全身の換羽により成鳥羽となる。
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最終更新日:2020-09-22 キノボリトカゲ
生態
- 食性
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小型の昆虫を主食とすることは明らかで、サハリンで捕獲された抱卵中の雌の胃には蛾の幼虫1個が入っていた。
また中国の熱河省で採集された2胃には鞘翅目および蛾が入っていた。
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最終更新日:2020-09-22 キノボリトカゲ
- 特徴的な行動
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産卵期は6月中旬より7月中旬に渡る。
森林帯の河畔に繁殖するものは、巣を草深いところの地上またはエゾイチゴの茎(地上 0.5 m)の上などに造るが、ハイマツ帯に繁殖するものは、ハイマツの中やハイマツの枯れ枝の中(地上 0.6 m)などに営巣する。
巣の内部は禾本の細い茎に少量の根・コケ・枯れ葉を混じて造り、産座には多量の羽毛と少量の獣毛を敷く。
1腹卵数は4~6個、稀に7個。抱卵は雌が行い、雄は雌の抱卵中は通常巣の近くに姿を見せることはない。
しかし育雛は両親で行う。雄は雛が巣立つまで囀っている。
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