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- クマゲラ(Dryocopus martius)について

クマゲラ(Dryocopus martius)
【IUCN】現時点での絶滅危険度の低い種
- 【 学名 】
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Dryocopus martius (Linnaeus, 1758)
基本情報
- 大きさ・重さ
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・嘴峰:55~64 mm
・翼長:雄 233~258 mm 雌 228~254 mm
・跗蹠:34~38.5 mm
・尾長:151~195 mm
・卵:長径 31~37.5 mm×短径 22~27 mm 平均長径 34.4 mm×短径 25.5 mm
参考文献
最終更新日:2020-06-16 キノボリトカゲ
- 分布
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旧北区。ユーラシア大陸の中・高緯度地方の樹林地帯に分布する。
日本では、北海道と東北地方の一部のみに留鳥として生息する。
東北地方では秋田県、青森県、岩手県の県境山地のブナ林で記録があり、1978年に秋田県森吉山で繁殖が確認された(小笠原, 1988, 1989)。
天然記念物と危急種に指定されている。
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最終更新日:2020-06-16 キノボリトカゲ
形態
- 成鳥の形質
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日本産キツツキでは最大。
【雄】
額、頭上、後頭は鮮紅色で、各羽の基部は暗黒色である。
眼先、眼の周囲、耳羽、頬は光沢のある石盤黒色、腮、喉、胸、腹、脇は褐色を帯びた石盤黒色である。
後頸、背、肩羽、腰、上尾筒、下尾筒は石盤黒色で、後頸、背は光沢を欠く。
翼は石盤黒色で、初列風切の軸斑は褐色である。下雨覆、腋羽は石盤黒色、尾も石盤黒色である。
嘴色は黄白色を帯びた角色、上嘴の上縁と下嘴の先端とは暗青色を帯びている。
虹彩は淡黄色、脚色は汚灰色、脛羽は石盤黒色。
【雌】
額、頭上は鮮紅色ではなく黒色を呈し、後頭だけが鮮紅色である。ほかは雄と同様である。
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- 幼鳥の形質
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【雛】
孵化直後の雛は肉色の裸体のままで初毛を欠く。
【幼鳥】
雄雌それぞれ成鳥に似ている。雄は頭上も赤く、雌は後頭のみ赤い。
しかし赤色は成鳥ほど鮮かではなく、雄の場合は額・頭上では赤色は羽毛の先端のみに止まるため、灰黒色の地に赤色斑があるような外観となっている。
全身の羽毛には光沢がなく灰黒色を帯び、嘴は小さく黄色を帯にて、鼻溝は不明瞭である。
初列風切第1羽は第2羽の半分よりやや長く、初列雨覆より 30 mmほど長い。
【第1回冬羽】
幼鳥は7月以後に換羽に入る。その範囲は詳しいことがわかっていないが、風切および尾羽をも含むもののようである。
新たに生じた羽毛は成鳥冬羽と同じ。
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生態
- 生息環境
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元はサハリン、千島、北海道、韓国などに分布することが知られていたが、1933年には秋田県で生息していることが確認された。
北海道では針広混交林、東北地方ではブナ林にすむ。原生林かまたは巨木の多い広大な樹林を好むが、その数は少ない。
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- 食性
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枯死木の株や倒木で採食する。甲虫の幼虫や植物の実も食べるが、主としてアリ類の幼虫・成虫あるいは蛹を食べる。
枯死木の樹幹や針葉樹の生木の樹幹に四角い大きな穴を堀り、樹液にアリを集めて食べる。
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- ライフサイクル
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繁殖期は4~6月、一夫一妻で繁殖する。
巣は、見通しのよい下枝のない枯死木の地上 10~17 mぐらいのところに雌雄共同で樹洞を掘ってつくる。
入り口の直径は 3~6 ㎝ぐらい(松岡, 1977)、深さ 30~50 ㎝ぐらいである。
1巣卵数は2~6個、雌雄交替で抱卵し、雛は12~16日で孵化する。夜間は雄が抱卵する(有澤, 1989)。
親は消化した餌を吐き出して、直接雛の口の中に入れる(松岡, 1977)。24~28日ぐらいで巣立つ。
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- 鳴き声
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ビョー、ビョーと啼き、樹木から樹木に移るときや飛翔中にはキョッ、キョッまたはクヮッ、クヮッあるいはコロン、コロンなどと鋭い声で啼く。
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- 特徴的な行動
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単独でいることが多い。300~600 haの広いなわばりをもって分散し、ドラミングや、クイーン、クイーンという声によって宣伝する。
対立には頭をゆするディスプレイが知られる。
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