- 解説一覧
- ノグチゲラ(Sapheopipo noguchii)について
ノグチゲラ(Sapheopipo noguchii)
【環境省】ごく近い将来における野生での絶滅の危険性が極めて高いもの
- 【 学名 】
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Sapheopipo noguchii (Seebohm, 1887)
基本情報
- 大きさ・重さ
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・嘴峰:35~41 mm
・翼長:152~160 mm
・跗蹠:24~30 mm
・尾長:103~119 mm
参考文献
- 清棲幸保 1955 ノグチゲラ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅱ. 講談社. 380-381.
最終更新日:2020-06-09 キノボリトカゲ
- 分布
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旧北区。琉球諸島の沖縄本島に限定されて分布し、本島北部の山地脊梁部の樹林にしかいない世界的に貴重な鳥である。
アオゲラに近縁の島嶼遺存種で、1972年に国の天然記念物に指定され、また絶滅危惧種に指定されている。
参考文献
- 中村登流 1995 ノグチゲラ, 中村登流、中村雅彦(著) 原色日本野鳥生態図鑑:陸鳥編. 保育社. 83.
最終更新日:2020-06-09 キノボリトカゲ
- 生息状況
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与那覇岳を中心とした生息地の自然環境が開発や伐採のために悪化し、絶滅が懸念されている。
参考文献
- 吉井正 2005 ノグチゲラ, 吉井正(監修) 三省堂編修所 (編) 三省堂世界鳥名事典. 三省堂. 363-364.
最終更新日:2020-06-09 キノボリトカゲ
- 分類学的位置付け
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キツツキ目 キツツキ科
参考文献
- 吉井正 2005 ノグチゲラ, 吉井正(監修) 三省堂編修所 (編) 三省堂世界鳥名事典. 三省堂. 363-364.
最終更新日:2020-06-09 キノボリトカゲ
- 人間との関係
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沖縄県の県鳥。1977年に天然記念物に指定。
参考文献
- 吉井正 2005 ノグチゲラ, 吉井正(監修) 三省堂編修所 (編) 三省堂世界鳥名事典. 三省堂. 363-364.
最終更新日:2020-06-09 キノボリトカゲ
形態
- 成鳥の形質
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【雄】
頭上、後頭、後頸は濃い暗紅色で、各羽の基部は煤けた褐色である。
眼先は褐色を帯びた白色、顔、頸側は赤味のあるクリーム褐色、顎には暗褐色の顎線がある。
腮、喉、前頸は赤味のあるクリーム色、後頸は煤けた褐色、上胸はクリーム褐色、背、肩羽、下胸、腹、脇、腰、上尾筒、下尾筒は煤けた褐色で各羽端は暗紅朱色である。
背と下尾筒とは特に濃紅色である。風切羽は褐色を帯びた黒色で、外弁には白色の横帯がおよそ3条ある。
雨覆羽は黒褐色、尾は黒色である。第1羽は第2羽より 3~5 mmくらい短く、第3羽は第4羽より 2 mmくらい短く、第4羽は第5羽より 2 mmくらい短く、第4羽は第5羽より 2 mmくらい長い。
初列風切の最長の羽と三列風切との差は 28~30 mmくらいである。
嘴色は、雄の場合はオリーヴ黄色で基部は青色、雌は青灰白色、虹彩は赤褐色、脚色は石盤色。
参考文献
- 清棲幸保 1955 ノグチゲラ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅱ. 講談社. 380-381.
- 吉井正 2005 ノグチゲラ, 吉井正(監修) 三省堂編修所 (編) 三省堂世界鳥名事典. 三省堂. 363-364.
最終更新日:2020-06-09 キノボリトカゲ
- 幼鳥の形質
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孵化した雛は肉色の裸体のままで初毛を欠く。
参考文献
- 清棲幸保 1955 ノグチゲラ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅱ. 講談社. 380-381.
最終更新日:2020-06-09 キノボリトカゲ
生態
- 生息環境
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イタジイ、タブノキなどの常緑広葉樹がよく茂った湿気のある密林にすむ。
特にヤンバル竹の、昼なお暗いくらいに簇生した中に生活するものが多い。
参考文献
- 清棲幸保 1955 ノグチゲラ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅱ. 講談社. 380-381.
- 中村登流 1995 ノグチゲラ, 中村登流、中村雅彦(著) 原色日本野鳥生態図鑑:陸鳥編. 保育社. 83.
最終更新日:2020-06-09 キノボリトカゲ
- 食性
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林内の比較的低いところや、あるいは地上で採食する。
枯れた樹木の幹、腐食した倒木、大枝、樹木の根元や根などを、突いたり、はぎ落としたり、ほじくったりして甲虫の幼虫、セミの幼虫、樹皮下の昆虫、ムカデなどをとり出す。
またヤマモモ、タブノキ、アカメガシワ、クサニワトコなどの果実も食べる。
参考文献
- 清棲幸保 1955 ノグチゲラ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅱ. 講談社. 380-381.
最終更新日:2020-06-09 キノボリトカゲ
- ライフサイクル
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繁殖期は2~6月、多くは3~4月、一夫一妻で繁殖する。2~3月ごろ、盛んにドラミングが行われる。
巣は半枯れのイタジイなどの下枝のない、傾いた樹幹に雌雄共同でつくる。
入口の直径 6.5 ㎝ぐらい、深さ 40~50 ㎝ぐらいの樹洞を堀り、底の木くずの上に産卵する。
1巣卵数は1~4個で、2個が多い。雌雄交替で抱卵し、抱卵日数は10~12日(金城, 1992)。
雌雄共同で育雛し、雛は25~30日で巣立つ(与那城, 1986)。
参考文献
- 中村登流 1995 ノグチゲラ, 中村登流、中村雅彦(著) 原色日本野鳥生態図鑑:陸鳥編. 保育社. 83.
最終更新日:2020-06-09 キノボリトカゲ
- 特徴的な行動
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密林の地上近くの幹を巡って生活し、特にヤンバル竹の密生に棲息し、地上から 1 m内外の高さの枝上にとまっていることが多く、高い梢にとまることは稀である。
地上に降りて両脚を揃えて跳ね歩きつつ餌を漁ることが多く、尾端に泥が付着することが多い。
竹の幹の枯れた部分を啄き中にいる昆虫を餌とする。飛翔や樹間をよじ登るときの動作などはアカゲラに酷似する。
参考文献
- 中村登流 1995 ノグチゲラ, 中村登流、中村雅彦(著) 原色日本野鳥生態図鑑:陸鳥編. 保育社. 83.
最終更新日:2020-06-09 キノボリトカゲ
- その他生態
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個体数は著しく少なく、現在50番ぐらいしかいないと推定され、絶滅が心配される。
なわばり分散をすると考えられ、1番の必要地域は直径 500 mぐらいの樹林である(池原・下謝那, 1975)。
参考文献
- 清棲幸保 1955 ノグチゲラ, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅱ. 講談社. 380-381.
最終更新日:2020-06-09 キノボリトカゲ