- 解説一覧
- コルリ(Luscinia cyane)について

基本情報
- 大きさ・重さ
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・嘴峰:11~13.5 mm
・翼長:70~80 mm
・跗蹠:24~28 mm
・尾長:42~52 mm
・卵:長径 17.5~21.2 mm×短径 13.2~15.8 mm 平均長径 19 mm×短径 14.8 mm 重量 2.1~2.5 g位
参考文献
最終更新日:2020-06-24 キノボリトカゲ
- 分布
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旧北区。ユーラシア大陸東部の中国東北部からウスリー、サハリン、朝鮮半島、日本にかけての地域で繁殖する。
冬はインドシナ半島、フィリピン、大スンダ列島、ボルネオ島に渡って越冬する。
日本には夏鳥として渡来し、主に本州中部以北から北海道で繁殖する。
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形態
- 成鳥の形質
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【雄】
額、頭上、後頭、後頸は暗藍青色、眼先、上嘴の基部の羽、眼の下、頬、耳羽は藍青色を帯びた黒色で、白色の腮・喉の両側に沿って黒色の線をなしている。
背、肩羽、腰、上尾筒は暗藍青色、胸、腹、下尾筒は白色である。
脇は灰青色を帯びた白色、下雨覆、腋羽は暗藍青色である。風切羽は暗褐色で、初列風切、次列風切、三列風切には暗藍青色の外弁がある。
大雨覆、初列雨覆、小翼羽は暗褐色で、暗藍青色の外縁があり、中、小雨覆は暗藍青色である。
尾は暗褐色で、暗藍青色の羽縁がある。
嘴色は黒色で、下嘴の基部は褐色、虹彩は褐色、脚色は黄褐色、脛羽は雄の場合は暗藍青色、雌は褐色を帯びたクリーム色。
【雌】
額、頭上、後頭、後頸はオリーヴ褐色、眼先、上嘴の基部の羽、眼の下、頬、耳羽、腮、喉はクリーム白色で、各羽にはオリーヴ褐色の羽縁があり、腮、喉のものは三日月の斑をなしている。
背、肩羽はオリーヴ褐色、腰、上尾筒は暗藍青色で、上尾筒は光沢がない。
胸はクリーム色で、各羽縁に三日月形のオリーヴ褐色の縁がある。脇はオリーヴ褐色を帯びている。
風切羽は暗褐色で、初列風切、次列風切、三列風切には赤錆色を帯びた褐色の外縁がある。
大雨覆は同様である。中、小雨覆、初列雨覆、小翼羽は暗褐色で、赤錆色を帯びた褐色の羽縁がある。
尾は暗褐色で、光沢のない暗藍青色の縁がある。下雨覆、腋羽は褐色を帯びたクリーム色である。
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最終更新日:2020-06-24 キノボリトカゲ
- 幼鳥の形質
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【雛】
孵化直後の雛は暗肉食の裸体のままで眼の上、後頭、上膊、背などの羽域に暗灰色の初毛が生えている。
口中は橙黄色、口角縁は黄白色である。
【幼鳥】
背面はオリーヴ色を帯びた褐色で、頭上には赭色の縦斑があり、背・腰には赭色の円形斑があり、各羽の先には暗色の縁がある。
腰と上尾筒は鏽色に富む。尾は雌成鳥のものに似ている。しかし雄の場合は青色を帯びている。
風切と初列雨覆は雌成鳥のものとほとんど変わらない。
大雨覆は褐色で赭色の縁があり、中雨覆と小雨覆は褐色で先にバフ赭色斑がある。
下面はクリームバフ色で各羽は暗褐色の縁を有する。
【第1回冬羽】
幼鳥は8月~9月に体羽全体・小雨覆・中雨覆・ときとして数枚の内側大雨覆を換羽して第1回冬羽となる。
この羽衣は雄雌ともほとんど同様で、雌成鳥に酷似している。
頭より背まではオリーヴ褐色を呈し、腰は鈍い青色を帯び、喉の中央と腹とは白色。
腮・喉・胸・脇は赭バフ色で各羽の縁は少し暗色である。しかし雄の場合は、小雨覆は青色に富む。
【第1回冬羽】
雄の場合は翌年早春に体羽の大部分を換羽する。この際新たに生じた羽毛は背面は成鳥のように青色であり、下面もまた成鳥と同様に白色である。
しかしこの換羽は不完全なのが常で、羽面にはオリーヴ褐色を、下面には赭バフ色を残しているのを常とする。
【第2回冬羽】
幼鳥は第2年秋季の全身の換羽で雌雄とも成鳥冬羽となる。
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生態
- 生息環境
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ササ藪が茂った低山から亜高山の落葉広葉樹林で繁殖する。森林に生息し、暗い密林や藪を好む。
下藪の中を潜行することが多いので、姿を見ることは少ない。
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- 食性
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藪の中を伝いながら移動し、下枝に止まって昆虫やクモ類を捕らえる。
あるいは地上を軽くはねて獲物に飛びつく。採食のため交互歩行もする。
雛には、鱗翅類の昆虫、アリ、アブ、ハバチの幼虫、クモ、イシムカデ、マイマイ、ミミズなどの動物質のみを与え、昆虫が個体数の64.2%を占める(羽田・堀内, 1969)。
昆虫のなかでは、鱗翅類の幼虫や羽アリなどが多い。
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- ライフサイクル
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4月下旬から5月上旬に繁殖地に渡来し、5~7月にかけて繁殖する。
年に1回の繁殖がふつうと考えられ、一夫一妻で繁殖する。
草木の根元、倒木の下、崖地などの地上に、落ち葉、枯れ枝、樹皮片などを材料にして、窪みに埋め込むように椀形の巣をつくる。
ルリビタキが多量のコケ類を使用するのに対し、本種はほとんど利用せず、用いてもごくわずかである。
1巣卵数は3~5個がふつうだが、6~7個の例もある。
本種の巣には、ホトトギス科のジュウイチがよく托卵する。
抱卵は雌だけが行い、約2週間で孵化する(羽田・堀内, 1969)。
抱雛も雌だけが行う。育雛は雌雄共同で行い、給餌回数の比率は、雄42.8%、雌57.2%(羽田・堀内, 1969)。育雛日数は約14日。
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- 鳴き声
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5月から7月頃までが囀鳴期で、ツン、ツン、ツン、ツン、ギチ、ギチ、ギチ、チラララララーまたはチッ、チッ、チッ、チッ、チッ、チル―、チル―、またはピッ、ピッ、ピッ、ピルルルルー、ジョリ、ジョリ、ジョリなどと美しい声で囀る。
コマドリの囀りにやや類似するが、後にギチ、ギチ、ギチまたはジョリ、ジョリ、ジョリと濁音を入れる点が異なる。
囀るときには茂みの中で啼くことが多い。
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- 特徴的な行動
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育雛前期にわたって、雄の求愛行動と見られるディスプレイが観察される。
雄は餌をもたずに訪巣し、巣の前で尾を垂直に立て白い胸を反らして身体がU字形になるようにし、ジグザグに早足に交互歩行を行う(羽田・堀内, 1969)。
この行動は、雌が抱雛のため在巣していなくても見られるため、必ずしも求愛行動ではないのかもしれない。
渡りの過渡期には単独でいることが多い。
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最終更新日:2020-06-24 キノボリトカゲ