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- ヤマショウビン(Halcyon pileata)について

ヤマショウビン(Halcyon pileata)
【IUCN】現時点での絶滅危険度の低い種
- 【 学名 】
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Halcyon pileata (Boddaert, 1783)
基本情報
- 大きさ・重さ
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・嘴峰:53~69 mm
・翼長:123~136 mm
・跗蹠:13~16 mm
・尾長:75~89 mm
・体重:79~115 g
・卵:長径 28~34 mm×短径 24.9~29.2 mm 平均長径 31.5 mm×平均短径 27.4 mm
参考文献
- 清棲幸保 1955 ヤマショウビン, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅱ. 講談社. 370-371.
最終更新日:2020-04-27 ハリリセンボン
- 渡り区分
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韓国には夏鳥として、春は4月頃に渡来し、秋は10月頃に渡去する。本邦には極めてまれに旅鳥、または迷鳥として渡来するに過ぎない。
参考文献
- 清棲幸保 1955 ヤマショウビン, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅱ. 講談社. 370-371.
最終更新日:2020-04-27 ハリリセンボン
- 分布
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旧北区分布型。中国東・南部からインド東・北部に分布する。
日本では迷鳥としてときどき記録され、本州中部以西、四国、九州、対馬、南西諸島に現れている。とくに、沖縄県から長崎県対馬にかけては、毎年のように5~6月に見られる。
山地の樹林、樹林に接触した川筋、湖沼、海岸の干潟、水田などに現れる。
参考文献
- 中村登流 1995 ヤマショウビン, 中村登流、中村雅彦(著) 原色日本野鳥生態図鑑:陸鳥編. 保育社. 86.
最終更新日:2020-04-27 ハリリセンボン
- 分類学的位置付け
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ブッポウソウ目 カワセミ科
参考文献
- 吉井正 2005 ヤマショウビン, 吉井正(監修) 三省堂編修所 (編) 三省堂世界鳥名事典. 三省堂. 521-522.
最終更新日:2020-04-27 ハリリセンボン
形態
- 成鳥の形質
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雄:額、頭上、後頭、眼先、眼の上、耳羽は光沢のない黒色、腮、頬、喉は白色である。眼の下には細く小さい白色の斑がある。後頭には白色の頸輪があり、喉と胸の白色部に引き続いている。
背、肩羽はコバルト藍色で、背は光沢が強く、白色の頸輪との境は黒色である。腰と上尾筒は光沢のあるコバルト藍色をしている。腹、脇、下尾筒、下雨覆、腋羽は赤錆色を帯びた黄土色である。
初列風切は黒色で、コバルト藍色の外縁があり、内弁の基部には白色の斑がある。この斑は内側の風切ほど大きく、最内側のものでは全体の5分の4くらいにあたる基部全体が白色である。
次列風切はコバルト藍色で、内弁は褐色を帯びた黒色を呈する。三列風切、初列雨覆、小翼羽はコバルト藍色、大雨覆は黒色、中、小雨覆は黒色で、コバルト藍色を僅かに帯びた羽縁がある。尾はコバルト藍色で、内弁の縁と下面は黒色をしている。
嘴色は暗朱色、虹彩は暗褐色、脚色は暗朱色、頸羽は赤錆色を帯びた黄土色である。
雌:胸の各羽には黒色の極めて細い縁がある。ほかは雄と同様である。
参考文献
- 清棲幸保 1955 ヤマショウビン, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅱ. 講談社. 370-371.
最終更新日:2020-04-27 ハリリセンボン
- 幼鳥の形質
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成鳥に似るが、腮・喉から下尾筒までほとんど一様にオーカー色で、下喉・胸の羽毛には明らかな黒色の羽縁がある。頸輪は成鳥よりもさび色を帯び、頸輪に沿う黒色部は成鳥よりも広い。嘴は汚赤褐色をしている。
参考文献
- 山階芳麿 1980 ヤマショウビン, 山階芳麿(著) 日本の鳥類と其生態Ⅱ. 出版科学総合研究所. 489-492.
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- 卵の形質
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卵1巣の卵数は4~6個で、ときには7個の例もある。卵は純白色で斑紋を欠き、形は球形である。
参考文献
- 清棲幸保 1955 ヤマショウビン, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅱ. 講談社. 370-371.
最終更新日:2020-04-27 ハリリセンボン
生態
- 生息環境
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韓国及び琉球列島の沖縄県、西表島に分布し、平地や山地の森林、灌木叢林付近などに棲息し、特に河川付近に多い。ときには海岸の干潟や水田でも観察することがある。迷鳥として本州で獲られた記録がある。
参考文献
- 清棲幸保 1955 ヤマショウビン, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅱ. 講談社. 370-371.
最終更新日:2020-04-27 ハリリセンボン
- 食性
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水辺の崖や木の枝にじっと止まって、地上や水中の獲物に狙いをつけ、飛び降りて急襲する。小魚、サワガニ、ザリガニ、カエル、オタマジャクシ、トカゲ、バッタなどを急降下して、すくうようにして捕らえる。
参考文献
- 中村登流 1995 ヤマショウビン, 中村登流、中村雅彦(著) 原色日本野鳥生態図鑑:陸鳥編. 保育社. 86.
- 吉井正 2005 ヤマショウビン, 吉井正(監修) 三省堂編修所 (編) 三省堂世界鳥名事典. 三省堂. 521-522.
最終更新日:2020-04-27 ハリリセンボン
- 鳴き声
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喬木の上や崖にとまり、キョロ、キョロ、キョロと鋭い声で3声または4声に区切って繰り返して鳴く。5月から6月頃までがその最盛期で、飛翔中にも鳴く。
参考文献
- 清棲幸保 1955 ヤマショウビン, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅱ. 講談社. 370-371.
最終更新日:2020-04-27 ハリリセンボン
- 産卵
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繁殖期は4~7月、一夫一妻で繁殖する。川岸や山腹の崖に穴を掘って巣にする。
参考文献
- 中村登流 1995 ヤマショウビン, 中村登流、中村雅彦(著) 原色日本野鳥生態図鑑:陸鳥編. 保育社. 86.
最終更新日:2020-04-27 ハリリセンボン
- 特徴的な行動
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単独または雄雌で渓流や河川に棲息し、ときには水田、干潟などに飛来して魚類、蟹、蛙などを餌として漁っている。
比較的人を恐れない。
翼を頻繁に羽ばたいて迅速に直飛し、ときにはかなりの高空を飛翔することもある。水辺の崖や喬木の樹枝上などにじっととまり、ときには人家の屋根などにもとまる。獲物を発見すると、突然水中や地上目掛けて落下するように突入して捕らえるが、ときには飛びながら飛んでいる昆虫類を捕らえることもある。繁殖期には雄雌が鋭い声で鳴きながら、追いつ追われつ川の上を飛翔する。
参考文献
- 清棲幸保 1955 ヤマショウビン, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅱ. 講談社. 370-371.
最終更新日:2020-04-27 ハリリセンボン