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メグロ(Apalopteron familiare)の分類 メジロ科(Zosteropidae)
メグロ(Apalopteron familiare)の概要 メグロ属(Apalopteron)

メグロ(Apalopteron familiare)

近危急種 (NT or LR/nt)

【IUCN】現時点での絶滅危険度は小さいが、生息条件の変化によっては「絶滅危惧」に移行する可能性のある種

【 学名 】
Apalopteron familiare (Kittlitz, 1830)

基本情報

大きさ・重さ

・嘴峰:13~17 mm
・翼長:63~68 mm  
・跗蹠:23~25 mm
・尾長:55~59 mm 
・卵:長径 19~20.5 mm×短径 15~15.8 mm

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最終更新日:2020-06-12 キノボリトカゲ

分布

旧北区。小笠原諸島に固有の1属1種の鳥である。特別天然記念物と絶滅危惧種に指定。

かつては、諸島内の聟島列島、母島列島、あるいは父島列島に広く分布していたらしいが、現在では母島列島の母島、向島、平島だけに留鳥として年中生息する。

メグロはミツスイ科に分類されることが多いが、これまでメジロ科、ヒヨドリ科などに入れられてきたことがあり、分類学上の位置はいまだにはっきりしない。

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亜種・品種

ハハジマメグロ

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分類学的位置付け

スズメ目 ミツスイ科

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形態

成鳥の形質

【雄】
額は黒色であるが、上嘴の基部の両側にある黄色の斑のためT字形をなし、眼の上方から眼の後方、頬にかけてある黒色の三角形の斑に、眼の上方で引き続いている。

黒色の斑の後方および腮は黄色、喉は淡黄色である。

眼瞼の周囲には黄色を帯びた白色の細い輪をなした斑がある。

頭上、後頭は黄色を帯びた暗オリーヴ色、後頭、頸側、背、肩羽、腰は灰色を帯びた暗オリーヴ色である。

胸、腹、下尾筒は淡黄色で、胸側、脇、腹側はオリーヴ灰色を帯びている。

上尾筒はやや黄色を帯びた暗オリーヴ色である。下雨覆、腋羽はクリーム白色。

風切羽は暗褐色で、初列風切にはオリーヴ黄色の縁があり、次列風切、三列風切には暗オリーヴ色の縁がある。

雨覆羽は暗褐色で、各羽には暗オリーヴ色の縁がある。尾は暗褐色で、外弁には黄色を帯びたオリーヴ色の縁がある。

嘴色は黒色、虹彩は褐色、脚色は暗石盤色。

【雌】
体の上面は灰色を帯び、体の下面は雄よりも色が淡い。

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最終更新日:2020-06-12 キノボリトカゲ

幼鳥の形質

【雛】
孵化直後の雛は肉色の裸体のままで初毛を欠く。

【幼鳥】
斑紋は成鳥と同様であるが下面の黄色は淡く、胸・脇・腹側のオリーヴ茶色の範囲は狭い。

【第1回冬羽】
幼鳥は秋季に体羽と雨覆(初列雨覆を除く)を換羽して第1回冬羽となる。

新たに生じた羽毛は成鳥冬羽と同じ。

【第2回冬羽】
幼鳥は翌年の秋季の全身の換羽で成鳥冬羽となる。

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卵の形質

卵は緑色を帯びた淡青色の地に、褐色の濃淡ある大小の斑点と灰鼠色の斑点とが散在し、これらの斑点は主として鈍端近くにあるのが常である。

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生態

生息環境

亜熱帯性のよく茂った常緑広葉樹林や比較的明るい二次林、タコノキやシマボウの林、集落の周辺などで生活する。

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食性

樹上を枝から枝へと移動したり、地上をはねたりしながら、蚊やガガンボなどの昆虫、クモ、木の実をとって食べる。

先端がブラシ状になった舌をもち、花密を吸う(Morioka & Sakane, 1978)。

バナナやパパイヤなどの栽培品の果実やタコノキの聚合果も好んで食べる。

巣立ちした幼鳥にヤモリを与えることもある(上田, 1990)。

樹上では、幹をカラ類のように動き回ったり、ガジュマルなどの実を片足でつかみ、その足を餌に乗せながら食べたりと、変化に富んだ採食行動が見られる。

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最終更新日:2020-06-12 キノボリトカゲ

ライフサイクル

繁殖期3~8月、年に1回ないし2回、一夫一妻で繁殖する。

繁殖期には、雄は枝の上で、あるいは枝から飛び立ちながら美しい声でさえずる。

雄は午前4時から4時半までの30分間にさえずるが、日中のさえずり頻度は低い(Suzuki, 1993)。

常緑高木の比較的高い枝の上に、ビロウの毛や枯れ草の繊維などを用いて椀形の巣をつくる。

巣づくりは雌雄とも行う(Higuchi et sl. 1993)。

1巣卵数は2~4個と少なく(Mo-rioka & Sakane, 1978 ; 樋口, 1985)、雌雄交替で抱卵し、抱卵日数は10~14日。雌雄とも雛に給餌する。

巣立ち後の家族期は長く、成鳥と区別できないほど成鳥した幼鳥が、しばしば大げさに羽をふるわせ親鳥に餌をねだる(樋口, 1985)。

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特徴的な行動

雄雌2羽の番を単位として、1年を通じて同一地域にとどまり、その行動圏(平均 0.21 ha)はほとんど変化しない(Higuchi et al, 1993)。

繁殖期には行動圏の中になわばりをもつ(樋口, 1985)。

冬は群れになることもあるが、それも番が単位になって構成されているようである。

日中、番の2羽は枝の上などで相互羽づくろいをし、また、夜間眠るときには、番の2羽は樹上でくっつきあって寝る(Higuchi et al, 1993)。

この2つの習性はメジロなどでも見られるが、日本の鳥ではむしろ珍しい。

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その他生態

単独または雄雌、ときには10~20羽位の小群で樹葉の間をあちらこちらと活発に枝わたりして餌を漁る。

飛翔そのほかの動作はメジロに似る。警戒心が比較的少なく、タコノキの実を割るとその音を聞いて直ぐ近くの枝まで飛来する。

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最終更新日:2020-06-12 キノボリトカゲ

種・分類一覧