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ルリカケス(Garrulus lidthi)の分類 カラス科(Corvidae)
ルリカケス(Garrulus lidthi)の概要 カケス属(Garrulus)

ルリカケス(Garrulus lidthi)

危急 (VU)

【IUCN】絶滅の危険が増大している種

【 学名 】
Garrulus lidthi Bonaparte, 1850

基本情報

大きさ・重さ

・嘴峰:27~34 mm
・翼長:169~182 mm 
・跗蹠:41~46 mm
・尾長:167~188 mm
・卵:長径 31~35.3 mm × 短径 23.5~24.5 mm 平均長径 33 mm × 短径 24 mm 重量 9.2~9.5 g

参考文献

  • 清棲幸保 1955 ルリカケス, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅰ. 講談社. 27-28.

最終更新日:2020-06-03 キノボリトカゲ

分布

旧北区。ユーラシア大陸の極東部にあたる日本列島のごく一部に極限されて分布する。

奄美諸島の奄美大島、加計呂麻島、徳之島だけに留鳥として繁殖する。

徳之島では1914年以来見られなかったが(環境庁, 1980)、1980年12月に島内在住の鳥獣保護員によって目撃された。

1850年に世界の学会に報告されたとき、日本としか記載されなかったが、1904年に産地が特定されて以来一躍珍鳥となり、1915年ごろには標本として輸出され、年に3,000羽が殺された。

このため激減し、1919年保護鳥となり、1922年に天然記念物に指定されたが、現在あまり多くは見られない。

奄美大島の南部では比較的よく見られる。危急種に指定。

近類のインドカケス(Garrulus lanceolatus)の地理的置換種と考えられており(Goodwin, 1976)、インドカケスはルリカケスより色が淡いが、よく似たカラーパターンをもっている。

分布地はヒマラヤ山脈のアフガニスタン東部からネパールにかけて、標高 1.500~2,400 mのインド側のカシ類の常緑広葉樹林である。

参考文献

  • 中村登流 1995 ルリカケス, 中村登流、中村雅彦(著) 原色日本野鳥生態図鑑:陸鳥編. 保育社. 66.

最終更新日:2020-06-03 キノボリトカゲ

学名の解説

種小名はオランダの動物学者にちなむ。

参考文献

  • 吉井正 2005 ルリカケス, 吉井正(監修) 三省堂編修所 (編) 三省堂世界鳥名事典. 三省堂. 535.

最終更新日:2020-06-03 キノボリトカゲ

和名の解説

和名は羽色にちなむ。

参考文献

  • 吉井正 2005 ルリカケス, 吉井正(監修) 三省堂編修所 (編) 三省堂世界鳥名事典. 三省堂. 535.

最終更新日:2020-06-03 キノボリトカゲ

分類学的位置付け

スズメ目 カラス科

参考文献

  • 吉井正 2005 ルリカケス, 吉井正(監修) 三省堂編修所 (編) 三省堂世界鳥名事典. 三省堂. 535.

最終更新日:2020-06-03 キノボリトカゲ

人間との関係

鹿児島県の県鳥。

参考文献

  • 吉井正 2005 ルリカケス, 吉井正(監修) 三省堂編修所 (編) 三省堂世界鳥名事典. 三省堂. 535.

最終更新日:2020-06-03 キノボリトカゲ

形態

成鳥の形質

頭部は黒色で、額と眼先は紺色を帯び、頭上、後頭、耳羽、後頸は瑠璃色を帯び、腮と喉は紺色を帯び、各羽には白色の軸斑がある。

背は赤栗色で、肩羽、腰、上尾筒、下尾筒は多少紫色を帯びた赤栗色である。

胸は瑠璃色を帯びた黒色、腹と脇は瑠璃色を帯びた赤栗色である。

翼は瑠璃色を帯びた黒色で、初列風切の外弁の瑠璃色は特に美しく、羽端には白色の縁がある。

三列風切は羽縁に白色の縁があり、大雨覆、初列雨覆、小翼羽には黒色の横縞がある。

尾は瑠璃色を帯びた黒色で、濃色の横縞が微かにあり、尾端には白色の帯がある。

嘴毛は紺色を帯びた黒色、嘴色は青白色、虹彩は黒褐色、脚色は灰青色、脛羽は紫色を帯びた赤栗色。

参考文献

  • 清棲幸保 1955 ルリカケス, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅰ. 講談社. 27-28.

最終更新日:2020-06-03 キノボリトカゲ

幼鳥の形質

孵化直後の雛は淡暗肉色の裸体のままで初毛を欠く。口中はやや黄色を帯びた紅色である。

参考文献

  • 清棲幸保 1955 ルリカケス, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅰ. 講談社. 27-28.

最終更新日:2020-06-03 キノボリトカゲ

卵の形質

卵は淡緑青色で斑紋を欠き、ときには淡褐色の微細な斑点のあるものもある。

参考文献

  • 清棲幸保 1955 ルリカケス, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅰ. 講談社. 27-28.

最終更新日:2020-06-03 キノボリトカゲ

生態

生息環境

山地の斜面や谷間の常緑広葉樹林にすみ、マングローブ林にも現れる。非繁殖期には農耕地や人家周辺にも現れる。

参考文献

  • 中村登流 1995 ルリカケス, 中村登流、中村雅彦(著) 原色日本野鳥生態図鑑:陸鳥編. 保育社. 66.

最終更新日:2020-06-03 キノボリトカゲ

食性

樹林や地上で採食する。

シイなどのどんぐりが好物で、インドカケスは樹上でむしりとり、枝上で足を押さえ皮をむしり、はぎとって中身を食べる(Goodwin, 1976)。

雑食性でマメコガネ、ヤママユがの幼虫などの昆虫やトカゲやトカゲの卵、果実なども食べる。

また、サツマイモがたいへん好物で、人の気配をうかがって、とくに朝や夕方にサツマイモ畑に現れ、蔓をくわえ引っ張り、イモを引きずり出してサクサクと音をたてながらかじって食べるので(下村, 1942)、農民から嫌われている。

どんぐりを隠して貯える習性があり、どんぐり好きと、その貯蔵習性はカケス属(Garrulus)に共通で、カケス、インドカケスも同様の習性がある。

参考文献

  • 清棲幸保 1955 ルリカケス, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅰ. 講談社. 27-28.
  • 中村登流 1995 ルリカケス, 中村登流、中村雅彦(著) 原色日本野鳥生態図鑑:陸鳥編. 保育社. 66.

最終更新日:2020-06-03 キノボリトカゲ

ライフサイクル

繁殖期は2~5月。営巣活動は12月ごろから始める。2羽で見られることが多く、多分一夫一妻で繁殖する。

巣は樹洞や樹幹の割れ目、窪みなどにつくるが、ほとんどは樹洞のあるシイかイスノキの巨木で、地上から 10 mぐらいのところである。

樹洞の場合には、たいてい非常口ともいうべきもうひとつの出入口がある。樹洞はときには 2 mにもなるほど深い。

巣はたとえ洞穴の中であっても、小枝や蔓、木の根、コケ類などで椀形の外装をつくり、内装にはヘゴやシュロの繊維、細根、獣毛などを敷く。

カケス属のほかの2種は樹上に同じ構造の巣をつくるが、樹洞に隠す習性はない。

インドカケスもカケスも巣づくりは雌雄共同で行うが、ルリカケスではわかっていない。

1巣卵数は3~4個の例が多いが、5~7個の例もある(下村, 1942)。そのほかの詳細はわかっていない。

インドカケスは抱卵は雌のみで、育雛は雌雄で行う(Goodwin, 1976)。

参考文献

  • 中村登流 1995 ルリカケス, 中村登流、中村雅彦(著) 原色日本野鳥生態図鑑:陸鳥編. 保育社. 66.

最終更新日:2020-06-03 キノボリトカゲ

鳴き声

ゲー、ゲーまたはギャー、ギャーまたはシャー、シャーと啼き、カケスの声に酷似する。

巣で雛に警戒を与えるときには低声でクィ―、クィ―と啼く。

カケスと同様に1羽の鳥がギャー、ギャーと警戒の叫びを上げると、ほかの鳥が次第に集まって来るのが常である。

参考文献

  • 清棲幸保 1955 ルリカケス, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅰ. 講談社. 27-28.

最終更新日:2020-06-03 キノボリトカゲ

その他生態

カケスの習性に類似する。樹上で枝移りするときや、地上を歩むときには両脚を揃えて跳ね歩く。

繁殖期以外には5~6羽の小群であることが多い。主として樹上生活をするが、餌は地上および樹上で捜し求める。

ときには数羽の小群で甘藷畑に降り、互いに協力して藷蔓を引っ張って、藷を掘出し、盛んに啄むことがある。

翼を間を置いて緩慢に羽搏いて飛翔し、全体として波形を描いて飛翔する。

参考文献

  • 清棲幸保 1955 ルリカケス, 清棲幸保(著) 日本鳥類大図鑑Ⅰ. 講談社. 27-28.

最終更新日:2020-06-03 キノボリトカゲ

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