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モズ(Lanius bucephalus)の分類 モズ科(Laniidae)
モズ(Lanius bucephalus)の概要 モズ属(Lanius)

モズ(Lanius bucephalus)

低危険種 (LC or LR/lc)

【IUCN】現時点での絶滅危険度の低い種

【 学名 】
Lanius bucephalus Temminck & Schlegel, 1845

基本情報

大きさ・重さ

・自然翼長:雄 84.6 mm(80.7~89.5) 雌 83.5 mm(80.2~88.4)
・尾長:雄 88.4 mm(79.6~96.0) 雌 85.5 mm(79.4~93.4)
・露出嘴峰長: 雄 16.4 mm(14.4~18.7) 雌 16.2 mm(13.8~17.8)
・ふ蹠長:雄 26.1 mm(24.2~28.3) 雌 26.1 mm(24.1~27.8)
・体重:雄 40 g(35~46) 雌 41 g(34~52)

参考文献

最終更新日:2021-03-31 ハリリセンボン

分布

サハリン南部、沿海州から朝鮮半島までの日本海沿岸、黄海沿岸、北海道、本州、四国、九州、伊豆諸島、父島、種子島、南・北大東島と父島では、それぞれ1970年代、1980年代後半に繁殖を開始し、増加した。

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和名の解説

和名の由来は、モは鳴き声、スは鳥の名につく接尾辞。

参考文献

  • 2005 三省堂世界鳥名事典 - 書籍全体, 吉井正(監修) 三省堂編修所 (編) 三省堂世界鳥名事典. 三省堂. .

最終更新日:2021-03-31 ハリリセンボン

亜種・品種

モズ L. b. bucephalus(日本)とシナモズ L. b. cicarius(中国)の2亜種に区分されている。

必ずしも明瞭ではないが、シナモズはくちばしが雌雄共に基部まで黒いこと、雄の上面の羽色が濃いこと、メスの脇の波状斑が明瞭であるとされる。

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分類学的位置付け

スズメ目 モズ科

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人間との関係

仁徳天皇陵は百舌鳥耳原中陵といい、この名称はモズがかかわった出来事より由来すると『日本書紀』にある。「秋の野の尾花が末に鳴く百舌鳥の声聞くらむか片聞く吾妹」(『万葉集』巻10)のほか、多くの和歌・俳句(秋の季語)に詠まれ、民話や諺も多い。

宮本武蔵の描いた「枯木鳴鵙図」は重要文化財。

大阪府の鳥である。

高知県の一部では最近までモズの鳴き合わせが行われていた。

参考文献

  • 2005 三省堂世界鳥名事典 - 書籍全体, 吉井正(監修) 三省堂編修所 (編) 三省堂世界鳥名事典. 三省堂. .

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形態

成鳥の形質

真正モズ類の中では数少ない性的二型が明瞭な種。

雄は黒色の過眼線、灰色の背、初列風切りに白斑を持たず、脇から下面にかけた波条斑が雄よりも明瞭である。体に近い側の初列雨覆先端の褐色斑の有無により、前年生まれ(斑有り)とそれ以前に生まれた個体(斑なし)の識別が可能。

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卵の形質

卵の長径は平均 23.6 mm(21.0~25.9)、短径は平均 17.9 mm(16.2~19.3)。

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生態

生息環境

一年を通じて、農耕牧草地、河川敷、郊外の公園などの開けた環境を好む。低木のブッシュや生け垣などを伴う環境で繁殖する。止まり場所となる電線、フェンス、林縁などは採餌のために有用である。

繁殖期の行動圏の広さは、止まり場所の分布などによるが、およそ 1~4 ha。本州中部では、海抜 0 mから 1800 mまでの広い標高域で繁殖する。

本州の低地では2月下旬に繁殖を開始し、5月頃までには雛が独立する。繁殖が終了すると、低地の繁殖地では観察されなくなる。高原では5月に繁殖を開始する。低地での消失と高原での出現がほぼ一致するため、モズは一繁殖期に低地から高地へと場所を変えて、二回繁殖するのではないかとの説がある。

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食性

開けた環境で高い場所にとまり、狙いを定めて地上を徘徊する主に甲虫類やクモ類、ガ、ハチ、コオロギなどを捕獲する。飛翔甲の昆虫をフライキャッチすることや葉上の昆虫を飛びながら掠め捕ることもある。南大東島では直翅目昆虫に依存する。

小型の哺乳類、小鳥類、さらに自らよりも大きなツグミを捕食することもある。餌の不足する冬季には果実を食べることもある。

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鳴き声

繁殖期は、“ギュン、ギュン”と鳴きながら、高い木の梢や電柱の上などを巡るなわばり誇示行動が見られる。アカハラ、カワラヒロ、メジロ、ヒヨドリ、オオジンギなど、他種の鳥のさえずりをまねる“サブソング”も行う。しかし、モズは多種の鳴き声を忠実に再現することはできない。秋の風物詩として有名な“高鳴き”は、冬の間に単独で過ごすなわばり宣言で“キチ、キチ、キチ”と甲高い声を連続して発する。

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産卵

一腹卵の最終卵を産卵後15日目に孵化する。一腹卵の負荷は多くは一卵を残して同時に孵化し、残りの一卵は一日遅れて孵化する。

一腹卵数は2~6個だが、2、3卵は稀。もっとも頻度が高い一腹卵数は地域によって異なるが、石狩では6卵、南大東島では5卵。一腹卵数は季節や年によって異なる。褐色の地に暗褐色の斑が鈍端に多く分布する。稀に赤味を帯びた白色の地に赤褐色の斑を持つ卵もある。

石狩における孵化率は約95%であるが、南大東島のでは約70%と低い。石狩における営巣成功率は年によって変化するが、キタキツネ、アオダイショウ、ハシブトガラスなどの捕食の影響で約40%と低くなっている。

卵捕食を免れると巣立ち確率は高くなるが、育雛期に雨が多くなると巣内で死亡する雛が多くなる。繁殖期の後半の巣ではカッコウに托卵されることがある。繁殖成功率は天候や捕食者の多少によって20%から50%まで変化する。

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特徴的な行動

捕獲した獲物を有刺鉄線や樹木の棘にさすハヤニエの習性をもつ。ハヤニエには、餌不足の時のための貯食、なわばり境界の目印など、さまざまな機能があると考えられている。

アメリカオオモズでが毒性のあるバッタを棘に刺し、解毒されたころに食べるとい報告されている。

また、ハヤニエの適応的意義としては配偶者選択に関するものがあり、アメリカオオモズは棘に刺した獲物を多く保持しているほど早く雌とつがいになるという。

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関連情報

その他

モズは漢字で百舌と書く。百舌とはいろいろな鳥の鳴きまねをすることからつけられたものである。

春先や小春日和につぶやくようにメジロ、ウグイス、コジュケイなど他の鳥の声をまねて歌っていく。

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種・分類一覧