- 解説一覧
- シベリアセンニュウ(Locustella certhiola)について
シベリアセンニュウ(Locustella certhiola)
【IUCN】現時点での絶滅危険度の低い種
- 【 学名 】
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Locustella certhiola (Pallas, 1811)
基本情報
- 分布
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北緯64度以南の中央アジアからシベリアで、西はイルティン川から東は中国北東部・カムチャッカ半島に至る地域で繁殖し、インド・インドシナ・中国南東部・フィリピン・大スンダ列島・スラウェシ島などで越冬。
日本には北海道の礼文島や利尻島で1952年夏に記録されたと報告があり、いったんは「日本鳥類目録」に入れられたが、その後は不確実なために除かれた。
しかし1985年9月に北海道、1987年5月に石川県舳倉島、同11月に鹿児島県での記録があり、「日本鳥類目録」第6版に再度記された。
参考文献
最終更新日:2020-10-07 キノボリトカゲ
- 亜種・品種
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・Locustella certhiola certhiola トランスバイカリアおよび、これより西方の西南シベリアに繁殖するもので、下面の色濃く、背面の縦斑はやや鮮明を欠く。
・Locustella certhiola rubescens バイカル地方に繁殖するもので、上下面とも濃色である。
・Locustella certhiola centralasiae モンゴル地方に繁殖するもので、上下面とも著しく淡色である。
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形態
- 成鳥の形質
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【雄成鳥】
(冬羽)秋季のものは夏季のものと比べて胸・脇および下尾筒が帯褐バフ色に富んでおり、頭上および翕は条斑が明らかであり、頭上は殆ど一様な黒色に近く見え、後頭の灰色は甚だ少なく、三列風切の縁は鮮やかではないという。
(夏羽)換羽の範囲は恐らく、体羽の大部分、大雨覆、中雨覆、小雨覆、三列風切であろう。額はオリーブ褐色。頭上の羽毛は黒色でオリーブ褐色の縁を有する。
ただし後頭の羽毛の縁は多少淡く、かつ灰色を帯びている。
後頸および背は帯黄オリーブ褐色で後頸には細い、背には幅 3~4 mmの太い黒色の軸斑がある。
腰は帯黄褐色で縦斑はなく、上尾筒は帯黄褐色で黒色の中央斑がある。尾は凸尾で、長短尾羽の差は 14~17 mm。
中央尾羽はオリーブ褐色で先に近いところは幾分か暗色で、先端は不鮮明に狭く灰色に縁取られ、全体には濃淡の横縞がある。
そのほかの尾羽の外縁はオリーブ褐色、内弁と先に近いところは黒色で、先端に 3 mm内外の白色の縁がある。
初列風切第1羽は初列雨覆より短く、第3羽が最長で、第2羽は第4羽と第5羽との間の長さを有する。
雨覆および三列風切は黒色で淡オリーブ褐色の縁を有し、初列および次列風切は暗褐色で淡オリーブ褐色の外縁を有する。
ただし第2羽の外縁のみは白色または灰白色である。眉斑は淡バフ色またはバフ白色で明らかである。眼先と耳羽は暗オリーブ褐色。
頬は淡バフ色。腮・喉・下胸の中央および腹の中央は白色またはバフ白色。胸および脇は帯褐バフ色。
下尾筒はバフ色。脛はオリーブ褐色。稀に喉と胸の羽毛の先に小褐色斑のあるものがある。
夏季に至れば摩耗のため、上下面ともに褐色味に欠けてくる。
(雌成鳥)
雄成鳥に酷似するが、腰に多少とも黒色縦斑があり、喉および胸にはほとんど常に褐色小斑を散在している。
嘴は前種のものに酷似する。上嘴は黒褐色、下嘴は暗褐色で基部が肉色かまたは全体が肉褐色。脚は淡肉褐色。虹彩は暗褐色または赤褐色。
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- 幼鳥の形質
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亜種シベリアセンニュウについては知られていないが、種全体としての特徴を記すと、上面は成鳥と同じ。
しかし縦斑は細く見える。下面は淡黄色を帯びており、喉の両側・下喉・上胸には斑点とも見える短い黒褐色の縦斑を有する。
腹側にもこのような縦斑のあるものが多い。尾端の淡色部分は狭くかつ余り白くはない。三列風切の縁は明らかではない。
(第1回冬羽)幼鳥は8~12月に体羽全体・小雨覆全部・中雨覆全部およびときとして尾羽を換羽して第1回冬羽となる。
この羽衣は成鳥に似るが上面の縦斑は狭く、淡色縁は広く、下面はしばしば淡黄色を帯びている。また三列風切は換羽しないため幼羽と同じである。
(第1回夏羽)多くのものは3~4月に成鳥と同様の換羽を行い、成鳥夏羽と同様の羽衣となる。しかしこの季節に換羽しないものもある。
(第2回冬羽)幼鳥は第2年秋季の全身の完全な換羽によって成鳥冬羽となる。
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- 卵の形質
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卵の色は2型あり、1つはバラ色または淡バラ褐色の細点を密布し、その細かい場合にはほとんど地色を覆いつくしているもの。
1つは、淡バラ色の地に小さい紅褐色の斑点が重なり合っており、特に鈍端またはその付近に密に分布するものである。
なおこの外鈍端付近に黒色の曲線が少し存在するものもある。
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生態
- 生息環境
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河床または河に近い草原に生息しているが、特に丈が高い草が生じているところや灌木のあるところに多く、またヨモギ、アカザ、燈心草などの群落中にも見られる。
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- 特徴的な行動
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産卵期は6月。巣は湿地にある草原の草の間の地上にあり、草によってよく隠蔽されている。
巣は草およびコケで造られ、側面に入口がある。1腹卵数は4~6個で、5個のことが多い。
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- その他生態
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繁殖地に到達するのは5月中旬以後で、朝鮮北部を5月下旬に通過するものが多い。
中国中部沿岸では春は5月および6月上旬に通過、秋は早い場合は8月下旬に通過するものもあるが、大体は9~10月に通過するものが多いという。
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