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- セグロセキレイ(Motacilla grandis)について
セグロセキレイ(Motacilla grandis)
【IUCN】現時点での絶滅危険度の低い種
- 【 学名 】
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Motacilla grandis Sharpe, 1885
基本情報
- 大きさ・重さ
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・嘴峰:13~16 mm
・翼長:87~99 mm
・跗蹠:24~27 mm
・尾長:85~100 mm
・体重:27 g位
・卵:長径 18.7~22 mm×短径 14.4~17 mm 平均長径 20.6 mm×短径 16.2 mm 重量 2.3~2.5 g
参考文献
最終更新日:2020-06-19 キノボリトカゲ
- 分布
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旧北区。ユーラシア大陸極東部にあたる日本列島だけに分布する。
ニッポンでは北海道、本州、四国、九州で留鳥として繁殖し、対島、伊豆諸島、奄美大島には冬鳥として現れる。
参考文献
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形態
- 成鳥の形質
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雌雄同色。額は白色、頭上、後頭、後頸は濃黒色で、秋季羽換したときには、各羽に石盤灰色の縁がある。
眼の上には白色の眉斑があり、額の白色の部分に引き続いている。
眼先、耳羽、眼の後方は濃黒色、腮は白色、喉、前頸、頬、上胸、頸側は濃黒色で、秋季羽換したときには、喉、前頸、胸の各羽端に極く細い白色の縁がある。
背、肩羽、腰、上尾筒は濃黒色で、秋季羽換したときには、背と肩羽の羽縁は石盤灰色を帯びている。
上尾筒の外側のものの各羽には白色の外縁がある。
下胸、腹、脇、下尾筒、下雨覆、腋羽は純白色である。
初列風切は黒色で、基半部は白色であるが、外側のものでは黒色部が多い。
次列風切は白色、先端は黒色で、内側のものほど黒色部が少ない。
大、中雨覆は白色、小雨覆は濃黒色で、秋季の羽換したときには、石盤灰色の羽縁がある。
初列雨覆、小翼羽は黒色で、白色の縁がある。尾は中央の1対は濃黒色で、白色の極く細い外縁がある。
最外側の尾羽は白色で、内弁の縁には黒色の線をなした斑がある。
次の尾羽は白色で、外弁の先端に近い部分以外は黒色で、内弁の基部も黒色を呈し、縁には黒色の線をなした斑がある。
ほかの尾羽は濃黒色で、羽軸は黒色である。嘴色は黒色、虹彩は褐色、脚色は黒色。
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最終更新日:2020-06-19 キノボリトカゲ
- 幼鳥の形質
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【雛】
孵化直後の雛は肉食の裸体のままで、眼の上、後頭、背、上膊、前膊、腿、脛、腹などの羽域に暗褐色の長い初毛が比較的疎らに生えている。
【幼鳥】
背面全部・顔・頸・腮・喉は暗土灰色で、ハクセキレイの幼鳥よりも濃く、よりスレート色に富んでいる。
ただし腮と喉はやや淡く、多少バフ色を帯びている。尾羽は成鳥のものと同じ。
ただし中央の対には極く狭い縁があり、黒色部はわずかに褐色を帯びている。
初列風切と次列風切は成鳥のものに似る。しかし黒色部は淡くして褐色に富み、白色部は狭い。
三列風切は暗褐色で淡色の縁がある。初列雨覆と大雨覆は暗褐色で、汚白色の縁がある。
中雨覆は汚白色で淡い灰褐色斑がある。小雨覆は土灰色で淡赭色の縁がある。
胸以下の下面は汚白色で、胸と脇は土灰色を帯びている。嘴と脚は褐色。
【第1回冬羽】
幼鳥は秋季に体羽全部・雨覆・三列風切・中央尾羽を換羽して第1回冬羽となる。
この羽衣は成鳥冬羽に似るが頬および頸側の黒色は鈍く、背と腰の羽毛には広いスレート色の縁がある。
また喉の羽毛の基部は広く灰色、喉の黒色は純ではない。
【第2回冬羽】
幼鳥は第2年の秋季の換羽で風切と尾羽を含む全身を換羽して成鳥冬羽となる。
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生態
- 生息環境
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低地、低山帯、ときには亜高山帯の河川とその周辺にすむ。
河原のある河川にすみ、河原のない渓流や峡谷では見られず、亜高山帯であっても河原があればすみ込む。
川の中流域や扇状地をとくに好む。川の周辺の水田や集落、市街地でも見られる。
集落や市街地にいるものも河原のある河川との結びつきは強く、たいていは河原とかなりの距離を往復する。
ハクセキレイの侵入にともない姿を消す傾向にあるが、ハクセキレイと重複共存しているところもある。
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- 食性
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水辺の地上、湿った冬の水田の地上などを歩いて餌をついばむ。
キセキレイほどではないがしばしばフライングキャッチをし、河原の水辺の石の上などから飛んでくる虫を狙って飛びつく。
地上に下りては、頻繁に後半身を上下にゆする。
ほとんど昆虫食で、トビケラ類、カワゲラ類、カゲロウ類、双翅類などの幼虫・成虫を食べ、ときには籾などの種子も食べる。
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最終更新日:2020-06-19 キノボリトカゲ
- ライフサイクル
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繁殖期は3~7月、一夫一妻で繁殖するが、一夫二妻の記録もある(Nakamura,1985)。
巣は川の土手の窪み、河原の石や流木の下、人家の石垣や屋根、河原の隙間などにつくる。
枯れ草の茎、葉、根などで椀形の外装をつくり、内装には獣毛、羽毛、綿くずなどを使う。
雌雄で巣場所を捜して回り、巣づくり中、雄は巣の近くで頻繁にさえずる(Nakamura et al.,1984)。
また、巣材を集める雌に、雄はつききりでメイトガードをする。
1巣卵数は4~6個、抱卵は、日中は雌雄交替で行い、夜間は雌のみが行う(篠田, 1975)。
抱卵日数は12~13日ぐらい。雛は両親に養われて、13~15日ぐらいで巣立つ。
育雛初期には雌が抱雛し、雄が餌を運ぶ(篠田, 1975)。
巣立ち後約15日ぐらいで独立する。多くの番は第2繁殖をする。
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最終更新日:2020-06-19 キノボリトカゲ
- 鳴き声
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飛翔時にはジプ、ジプまたはジェー、ジェー、またはヂュヂュー、ヂュヂューなどと啼く。
ピィッ、ピピッ、ピィッ、ピピッ、ピチーツ、ピチーツまたはツツピチ、ツチツチ、ツツピチ、ツチツチまたは、ピチ、ピチ、ピイヨ、ピイヨ、ピチピチ、チイチイ、チチ、チチ、チチ、ピイヨ、ピイヨまたはヂヂー、ヂョイ、ヂョイ、ヂョイ、ヂョイと囀り、1月下旬頃から早くも囀り始める。
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最終更新日:2020-06-19 キノボリトカゲ
- 特徴的な行動
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繁殖期にはなわばり分散をする。行動圏は 10~30 haで、その内部に頻繁にさえずる地点を含む 1~16 haのソングエリアがあり、これが防衛範囲と同じで、なわばりにあたる(Nakamu-ra, 1982)。
雄どうしの戦い行動は、実戦、追いかけ、それに頭を上下させたりジャンプしたりする脅しのディスプレイである(Nakamura, 1982)。
求愛行動は雌のなだめのディスプレイで始まる。
雌は前傾姿勢で尾羽を上げるポーズをとり、これに対して雄は尾羽を開き翼を下げる求愛ディスプレイをする(Nakamura, 1982)。
冬は塒集合をする。日中は塒集合を離れ、川や水田に出向いて、雄単独か安定した番でなわばり分散をする。
これは採食のためのなわばりで、境界での防衛は鋭く、繁殖期とおなじ実戦、追いかけ、脅しのディスプレイがある(Higuchi & Hirano, 1983)。
夏の終わりから秋にかけて、河原や水田に4~10羽ぐらい集まって盛んにディスプレイのやり合いがある。
さえずりや空中へ 数 mも飛び上がっては下りる行動が長々と繰り返されるが、その意義についてはっきりしない。
参考文献
最終更新日:2020-06-19 キノボリトカゲ