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ホシガラス(Nucifraga caryocatactes)の分類 カラス科(Corvidae)
ホシガラス(Nucifraga caryocatactes)の概要 ホシガラス属(Nucifraga)

ホシガラス(Nucifraga caryocatactes)

低危険種 (LC or LR/lc)

【IUCN】現時点での絶滅危険度の低い種

【 学名 】
Nucifraga caryocatactes (Linnaeus, 1758)

基本情報

大きさ・重さ

・嘴峰:38~48 mm
・翼長:170~195 mm 
・跗蹠:38~41 mm
・尾長:113~137 mm
・体重:145~213 g
・卵:長径 30.3~37.5 mm×短径 21.5~26 mm 平均長径 33.9 mm×短径 24.1 mm 

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最終更新日:2020-06-22 キノボリトカゲ

分布

旧北区。スカンジナビア半島、シベリア、モンゴル、ヒマラヤ、台湾、朝鮮半島、日本などユーラシア大陸の亜寒帯や高山帯に広く分布する。

日本では北海道、本州、四国、九州に分布する。本州中部や北海道の亜高山帯では留鳥としてふつうに生息する。

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亜種・品種

ハシナガホシガラス、チシマホシガラス、タイワンホシガラス、ネッカホシガラス

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分類学的位置付け

スズメ目 カラス科

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形態

成鳥の形質

雌雄同色。額、頭上、後頭、後頸は濃いチョコレート色で、眼先は汚白色で、各羽の基部は褐色である。

耳羽、喉はチョコレート色で、各羽の中央には細長い水滴形の白色斑があり、腮はチョコレート色で、白色の軸斑がある。

頸側、肩羽、背はチョコレート色で、各羽端の中央には長い水滴形の白色斑があり、胸と腹はチョコレート色で、各羽端には大きな卵形の白色斑がある。

腰はチョコレート色で各羽端に小さな水滴形の白色斑があり、上尾筒は藍光沢を帯びた黒褐色で、各羽端には小さな白色斑がある。

下尾筒は白色。翼は藍緑光沢をおびた黒褐色で、初列風切の最外側以外の風切羽の先端には小さな白色斑があるが、ときにはこれを欠くものもある。

第5風切羽から第7風切羽、あでの内弁の中央には白色斑があるが、ときにはこれを欠くものもある。

次列風切の先端には小さな白色斑があるが、ときにはこれを欠くものもある。

大、中、小雨覆、初列雨覆、小翼羽は藍緑光沢を帯びた黒褐色で、各羽端には小さな白色斑がある。

下雨覆、腋羽はチョコレート色で、各羽端には小白斑がある。

尾は藍緑光沢を帯びた黒褐色で、先端には白色の帯があり、外側の尾羽ほどその幅が広い。

外側尾羽の白色の縁の幅は 23~32 mmである。

嘴毛は白色、基部は褐色、嘴色は黒色、虹彩は褐色、脚色は黒色。

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卵の形質

卵は淡緑色または淡青緑色の地に、淡緑褐色と淡青灰色の斑点が散在する。

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生態

生息環境

繁殖期は亜高山帯の針葉樹林から高山帯を生息場所とし、主に針葉樹林に多い。

秋にはハイマツやミズナラの実を求めて、本来の生息地より標高の高い高山帯や亜高山帯下部に漂行する。

冬はやや標高の低い地方に移動する個体もあるが、低山帯や平地まで漂行することはまれである。

北海道では、本種の主要食物であるハイマツの種子が不作の年に低地に飛来することがある(藤巻ほか, 1989)。

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食性

ハイマツの実を好んで食べるが、シラビソ、オオシラビソ、コメツガ、クロマツなどのマツ科の種子や、ミズナラの実も食べる。

5~9月にかけては昆虫、ハタネズミ、カエルといった動物質の餌のほうが多いことが胃内容分析から明らかにされている(千羽, 1968)。

ハイマツの実が熟す秋にはハイマツ林によく現れ、球果を岩の上に運んでつつき、中の種子をほじくり出して食べる。

同じ岩を繰り返し使うので、その周りにはマツカサのかけらや種子の殻が散乱している。

ハイマツの種子やブナの実を喉に貯え、いかにも重そうにはばたいて自分の生活場所まで運び、積雪しにくい岩陰や枯れ木のへこみの中に貯蔵する貯食習性がある。

貯蔵した実は冬に掘り出して食べたり、繁殖期には雛に与える餌としても利用する(河辺, 1975)。

貯食行動は、とりわけ無翼種子であるハイマツの種子散布に役立っている(斎藤, 1983)。

山小屋のゴミ捨て場に現れ、残飯を漁ることもある。

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ライフサイクル

日本での繁殖については長年不明であったが、清棲幸保氏が1956年乗鞍岳冷泉小屋附近(標高 2.300 m)で初めて巣を発見し、その後、河辺久男氏が志賀高原で繁殖習性の調査(1975年)を行っている。

巣づくりは亜高山では雪深い3月下旬から始まり、産卵期は4~5月ごろ、年に1回、一夫一妻で繁殖する(清棲, 1978 ; 河辺, 1975)。

造巣期にはシラビソの梢で交尾が見られ、夜間にもガァー、ガァーと鳴くことがある(清棲, 1978)。

針葉樹の、地上から高さ 4~15 mの樹幹近くの枝上に営巣し、ダケカンバの細枝、サルオガセ、クロベの樹皮、腐木のくずなどで椀形の巣をつくる(清棲, 1978 ; 河辺, 1975)。

1巣卵数は3~4個、抱卵日数は17~19日(清棲, 1978)。

抱卵行動は清棲氏と河辺氏の観察で異なり、抱卵は雌だけが行い、雄は抱卵中の雌に給餌する(清棲, 1978)と、雌雄とも抱卵し、2時間ぐらいずつ交替で卵を暖める(河辺, 1975)の2通りの観察記録がある。

雛は21~25日で巣立ち、その間雌雄は喉から餌を吐きもどして雛に給餌する(河辺, 1975)。

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鳴き声

ガ―ッ、ガ―ッ、ガ―ッまたはガァー、ガァー、ガァーと鴉の声を低くし、テンポを遅くした様な声で啼き、蕃殖期にはオオシラビソやコメツガなどの喬木の頂にとまって盛んに啼き立て、その頃には小声でぐぜり(乗鞍岳 15/IV 1934 清棲確認)をすることもある。

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産卵

繁殖は早く、山が雪に覆われている3月頃から針葉樹に、小枝やサルオガセを材料に巣作りを始め、2~4卵を産む。

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種・分類一覧