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- ツリスガラ(Remiz pendulinus)について
ツリスガラ(Remiz pendulinus)
【IUCN】現時点での絶滅危険度の低い種
- 【 学名 】
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Remiz pendulinus (Linnaeus, 1758)
基本情報
- 分布
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旧北区。ユーラシア大陸の中緯度地方の中国北西部からヨーロッパにかけて分布する留鳥だが、場所によって不定期の移動をする。
日本には本州、四国、九州の、主として海岸地方に冬鳥として渡来するが、渡来数は年変化が大きい。
西南日本にくることが多く、とくに九州によく現れ、200羽という記録がある。
11月から翌年の3月ごろまで見られる。
参考文献
最終更新日:2020-06-22 キノボリトカゲ
形態
生態
- 生息環境
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川辺や湖沼縁のヨシやガマの草原、あるいはちょっとしたヨシ原で見られる。
繁殖地では、河川、湖沼縁のヤナギなどの樹木の多いヨシ原にいる。
参考文献
最終更新日:2020-06-22 キノボリトカゲ
- 食性
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冬はヨシの茎から茎を伝い歩き、葉のつけ根(葉鞘)をほじくって壊し、隠れているワタムシの越冬態などをとり出して食べる。
またガマの穂にとりついて、種子をとって食べる。
くちばしの破壊力はシジュウカラ類によく似ている。昆虫やクモ類が主要食で、冬には種子も食べる。
参考文献
最終更新日:2020-06-22 キノボリトカゲ
- ライフサイクル
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繁殖期は5~7月ごろ、両性複婚(Pe-rsson & Ohrstrom, 1989)という形態で繁殖する。
巣は、水面上に垂れている樹木の枝先に吊るされた見事な袋状で、上のほうにチューブ状の出入り口がついている。
この袋状の外装は、雄が植物の綿毛などの植物性繊維を使ってフェルト状につくり、内装は雌がつくる。
1巣卵数は5~10個、抱卵期は14~15日ぐらい、雛は16~20日ぐらいで巣立つ。
抱卵や育雛は1羽で行い、大部分は抱卵も育雛も雌が行うが、雄の18%が単独で抱卵し、30%が単独で育雛する。
雄の世話行動は繁殖期後半に現れる(Pe-rsson & Ohrstrom, 1989)。
参考文献
最終更新日:2020-06-22 キノボリトカゲ
- 特徴的な行動
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なわばりは巣とその周辺だけで、広いなわばりはもたない。
番の関係は特異なもので(Pe-rsson & Ohrstrom, 1989)、継時的な一夫多妻と継時的一妻多夫が同時に起こる。
雄は第1の巣に卵が生まれると、その巣と雌を捨てて別の雌のために 1~数 ㎞離れて新しい巣をつくる。
雌の65%は第1の巣の卵と雛の世話をするが、また、雌の33%は第1の巣と卵を捨てて、ほかの雄の巣へ走る。
そして第1の巣よりも多い1巣卵数を産み込んで、これを育てる。
こうして、雄はほとんど一夫多妻に向かって繁殖期をすごすが、なかには結果的に雌が来ない、不使用の巣を次々につくって終わるものもいる。
また繁殖期の個黄斑に至って抱卵、育雛へと向かうものもある。
一方、雌の3分の1ぐらいは一夫多妻で繁殖することになり、その大部分は最初の巣を犠牲にするが、少数のものは2つの巣を世話することがある。
このような両性複婚体制は、特異な巣の形態と営巣習性とともに進化したものと考えられ、捕食者が近づきにくい場所での袋状の巣が、親1羽で子育てができることの大きな条件になっていると考えられる(Pe-rsson & Ohrstrom, 1989)。
冬は群れ生活を行い、しばしば大群となって渡ってくるが、その個体数の年変化は大きく、定期的な渡り鳥ではなく不定期な遊牧移動をする鳥と見られる。
群れはなわばり分散をしているのかどうかについては記載がない。
参考文献
最終更新日:2020-06-22 キノボリトカゲ