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- ウグイス(Horornis diphone)について

ウグイス(Horornis diphone)
【IUCN】現時点での絶滅危険度の低い種
- 【 学名 】
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Horornis diphone (Kittlitz, 1830)
目次
基本情報
- 大きさ・重さ
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・成長全長: 約 14~15.5 cm
・翼長: 雄 64.6 mm (62.2~67.7) 雌 54.4 mm (51.3~57.0)
・尾長: 雄 68.1 mm (64.8~73.1) 雌 57.0 mm (53.4~60.7)
・露出嘴峰長: 雄 12.1 mm (10.6~13.8) 雌 10.9 mm (9.9~11.7)
・ふ蹠長: 雄 25.6 mm (24.5~27.1) 雌 22.3 mm (21.4~23.2)
・体重: 雄 19.6 g (14.8~22.3) 雌 11.5 g (10.0~13.7)
参考文献
最終更新日:2021-03-31 ハリリセンボン
- 分布
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旧北区。中国東北部、サハリン、ウスリー、朝鮮半島、日本など、主に日本海をとり巻く地域で繁殖する。
日本では、全国各地に広く分布する。冬は低地または暖地に標行する。
参考文献
- 中村雅彦 1995 ウグイス, 中村登流、中村雅彦(著) 原色日本野鳥生態図鑑:陸鳥編. 保育社. p. 135.
最終更新日:2021-03-31 ハリリセンボン
- 学名の解説
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属名はイタリアの動物学者セッティ(1726~1780)にちなみ、種小名は二つの音声の意。
参考文献
- 2005 三省堂世界鳥名事典 - 書籍全体, 吉井正(監修) 三省堂編修所 (編) 三省堂世界鳥名事典. 三省堂. .
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- 別名・方言名
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春の訪れを知らせる美声のために、ウグイスは「春告鳥」や「歌詠鳥」、また「ホーホケキョ」を「法法華経」とききなして「経読鳥」などと呼ばれ、古くから人にびとに親しまれてきた。
参考文献
- 濱尾昇二 2006 ウグイス, 日高敏隆(監修) 樋口広芳、森岡弘之、山岸哲(編) 日本動物大百科 4:鳥類Ⅱ. 平凡社. pp. 110‐111.
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- 人間との関係
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声を愛でるための飼育も室町時代から行われたといわれ、江戸時代には飼い慣らしたウグイスの声を競い合う「鶯合」がさかんに行われた。日照時間を調整して正月に鳴かせるなどの飼育技術も発達した。また、ウグイスの糞は肌をなめらかにするとされ、洗顔に使われてきた。
参考文献
- 濱尾昇二 2006 ウグイス, 日高敏隆(監修) 樋口広芳、森岡弘之、山岸哲(編) 日本動物大百科 4:鳥類Ⅱ. 平凡社. pp. 110‐111.
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形態
- 成鳥の形質
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雌雄同色。上面はオリーブ褐色、下面は汚白色。淡い眉斑がある。亜種や地域個体群によって、オリーブ色や赤褐色を帯びる程度が多少異なる。
参考文献
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- 卵の形質
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長径:16~19.5 mm×短径 12.2~15 mm 平均長径:18 mm×短径 13.8 mm
重量:1.4~1.9 g
卵は赤味のあるチョコレート色である。時には鋭端近くがやや淡色のものもある。
参考文献
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- 似ている種 (間違えやすい種)
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春を象徴する「ウメにウグイス」の取り合わせは有名だが、しげみを好むウグイスが葉のないウメの枝に止まることはほとんどない。ウメの花蜜を吸いに来るうぐいす餅の色をした鳥は、多くの場合メジロである。
参考文献
- 濱尾昇二 2006 ウグイス, 日高敏隆(監修) 樋口広芳、森岡弘之、山岸哲(編) 日本動物大百科 4:鳥類Ⅱ. 平凡社. pp. 110‐111.
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生態
- 生息環境
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冬季は本州中部以南の平地の暖地に多く、本州中部以北の標高 500 m以上の山地には全く棲息せず、平地でも稀である。
春の4月頃には平地から標高 1500 mくらいの地にわたって棲息し、盛夏(7~8月)頃には標高 3000 mくらいまでの高山に棲息するものも多いが、平地では反対にその数が少ない。
ササや低木がよく茂った場所であれば海岸から高山帯まで広く分布するが、低山帯から亜高山帯の林縁や森林内の開けた場所のやぶを特に好む。
近年、河川管理によって氾濫が減り河川敷が林地化したり、農耕地が放棄されてやぶとなったりしたため、低地や丘陵地で繁殖する例が増えているようである。
参考文献
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- 食性
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藪の中を枝渡りしながら活発に移動し、葉の裏面につく昆虫を下から飛びつくように襲う。主にコガネムシ、カメムシ、ハチ、アリ、ガの幼虫などをついばむ。冬は熟したリンゴ、カキなどの果実を食べる。
参考文献
- 中村雅彦 1995 ウグイス, 中村登流、中村雅彦(著) 原色日本野鳥生態図鑑:陸鳥編. 保育社. p. 135.
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- 鳴き声
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オスのさえずりはホーホケキョ、谷渡り鳴きはピルルルルルルケッキョケッキョ…。また、オスはメスに求愛する際、さえずりと同じ鳴き方だが非常に小さな声を発する。
メスは抱卵期と巣内育雛期にチーチーという弱く甘い声で鳴く。その他の時期のメスはチャッチャッという地鳴き(笹鳴きと呼ばれる)をする。
オスも冬には笹鳴きをするが、繁殖期にはしないようである。
参考文献
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- 生殖行動
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一夫多妻制。同一なわばり内で複数のメスが営巣した例が多く確認されている。
一繁殖期に最大6ないし7羽のメスを次々と獲得した例もある。本種では造巣、抱卵、育雛はすべてメスのみによって行われる。
オスはメスの繁殖ステージの進行と関わりなく繁殖期を通じてさえずり、新たなメスの誘引をはかる。
発達した一夫多妻を成立させている一因は,巣が捕食されたりヒナを巣立たせたりしたメスがつがい相手を替えて再配偶することである。一夫多妻と言っても、オスが必ずしも同時に複数のメスを獲得しているわけではなく、メスも一繁殖期に1羽のオスだけとつがいになるわけではない。
参考文献
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- 特徴的な行動
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ササなどの枯葉を用い、やや細長い球形で、横か斜め上方に出入り口のある巣を作る。巣はやぶの低い場所に作られることが多い。
新潟県妙高高原ではイヌツゲなどに営巣し、地面からの高さは平均 54 cm(5~140)であった。
参考文献
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