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ヤマカガシ(Rhabdophis tigrinus)の分類 Natricidae
ヤマカガシ(Rhabdophis tigrinus)の概要 Rhabdophis

ヤマカガシ(Rhabdophis tigrinus)

【 学名 】
Rhabdophis tigrinus (Boie, 1826)

基本情報

大きさ・重さ

成体全長:70〜150 cm
孵化幼体全長:約 22 cm
卵の大きさ:直径約 30 mm, 短径約 17 mm

参考文献

  • 2011 原色爬虫類・両生類検索図鑑 - 書籍全体, 高田榮一、大谷勉(著) 原色爬虫類・両生類検索図鑑. 北隆館. .

最終更新日:2020-04-29

分布

本州・四国・九州・佐渡・隠岐・壱岐・五島列島・甑島列島・屋久島・種子島

参考文献

  • 2011 原色爬虫類・両生類検索図鑑 - 書籍全体, 高田榮一、大谷勉(著) 原色爬虫類・両生類検索図鑑. 北隆館. .

最終更新日:2020-04-29

生息状況

水田の減少や湿地の埋め立て、河川の護岸工事などによるカエル類の減少や生息地の減少により、各地で生息数が減少している。

参考文献

  • 2011 原色爬虫類・両生類検索図鑑 - 書籍全体, 高田榮一、大谷勉(著) 原色爬虫類・両生類検索図鑑. 北隆館. .

最終更新日:2020-04-29

亜種・品種

・タイリクヤマカガシ…沿海州から中国南部に生息。
・タイワンヤマカガシ…台湾に生息。

参考文献

  • 2011 原色爬虫類・両生類検索図鑑 - 書籍全体, 高田榮一、大谷勉(著) 原色爬虫類・両生類検索図鑑. 北隆館. .

最終更新日:2020-04-29

分類学的位置付け

爬虫綱 有鱗目 ヘビ亜目 ナミヘビ科 ヤマカガシ属

参考文献

  • 2011 原色爬虫類・両生類検索図鑑 - 書籍全体, 高田榮一、大谷勉(著) 原色爬虫類・両生類検索図鑑. 北隆館. .

最終更新日:2020-04-29

人間との関係

軽く噛まれた程度では必ずしも毒が入り込むわけではないので、近年まで無毒ヘビと扱われてきたが、デュベルノイ腺毒は毒性が非常に強く、口奥に達するよう深く咬まれたり、長時間咬まれた場合には、体質によって異なるものの、全身で出血が見られるようになる。

参考文献

  • 内山りゅう 2002 ヤマカガシ, 内山りゅう、前田憲男、沼田研児、関慎太郎(著) 決定版 日本の両生爬虫類. 平凡社. p. 293.

最終更新日:2020-04-29

形態

成体の形質

頭胴長は 55〜120 cm。体鱗列数は19列。体の背面は褐色の地に黒色の斑紋が並び、その間に赤色や黄色の色彩が混じるが、地域によって色彩変異が大きい。胴中央部の体鱗には強いキール (隆条) があり、触るとざらつく感触。
雌雄同色で外見による雌雄の区別は困難だが、尾の付け根の太さ (雌は総排泄腔の後ろから急に細くなるが、雄は徐々に細くなる) や尾の長さ (雌は短く、雄は長い) で目安はつく。
山地では大型になる傾向がある。

参考文献

  • 2011 原色爬虫類・両生類検索図鑑 - 書籍全体, 高田榮一、大谷勉(著) 原色爬虫類・両生類検索図鑑. 北隆館. .

最終更新日:2020-04-29

幼生の形質

頸部に鮮やかな黄色のリング模様がある。

参考文献

  • 2011 原色爬虫類・両生類検索図鑑 - 書籍全体, 高田榮一、大谷勉(著) 原色爬虫類・両生類検索図鑑. 北隆館. .

最終更新日:2020-04-29

卵の形質

卵は白色の楕円形、卵殻は皮革状で弾力がある。

参考文献

  • 2011 原色爬虫類・両生類検索図鑑 - 書籍全体, 高田榮一、大谷勉(著) 原色爬虫類・両生類検索図鑑. 北隆館. .

最終更新日:2020-04-29

地理的変異

色彩は地域による変異が大きい。関東地方では黒と赤や黄色の斑紋がはっきりしているが、関西地方でははっきりせず、オリーブまたは黄褐色の単一色であることが多い。さらに中国・四国地方では東日本に似た赤と黒の斑紋になるが、中国地方では青い斑紋を持つものも珍しくない。九州地方では黒い斑紋が目立つ。西日本では黒化型もしばしば見られる。

参考文献

  • 内山りゅう 2002 ヤマカガシ, 内山りゅう、前田憲男、沼田研児、関慎太郎(著) 決定版 日本の両生爬虫類. 平凡社. p. 292.

最終更新日:2020-04-29

生態

生息環境

低地から山地に広く生息。生息地では最も水辺に多い。

参考文献

  • 2011 原色爬虫類・両生類検索図鑑 - 書籍全体, 高田榮一、大谷勉(著) 原色爬虫類・両生類検索図鑑. 北隆館. .

最終更新日:2020-04-29

食性

カエル類のほか、オタマジャクシやドジョウなどの小魚を捕食する。水場を離れてヒキガエルなどの大型種も捕食することがある。飼育下では鳥類やマウスも食べる。

参考文献

  • 2011 原色爬虫類・両生類検索図鑑 - 書籍全体, 高田榮一、大谷勉(著) 原色爬虫類・両生類検索図鑑. 北隆館. .

最終更新日:2020-04-29

ライフサイクル

冬眠前や翌年の春に交尾を行う。冬眠前に交尾を行う場合、本州の平野部では交尾後11月下旬〜12月にかけて冬眠に入り、翌年の6〜8月に産卵を行う。

参考文献

  • 森口一 1996 ヤマカガシ, 竹中践(著) 日高敏隆(監修) 千石正一、疋田努、松井正文、仲谷一宏(編) 日本動物大百科5:両生類・爬虫類・軟骨魚類. 平凡社. p. 89.
  • 2011 原色爬虫類・両生類検索図鑑 - 書籍全体, 高田榮一、大谷勉(著) 原色爬虫類・両生類検索図鑑. 北隆館. .

最終更新日:2020-04-29

活動時間帯

昼行性

参考文献

  • 2011 原色爬虫類・両生類検索図鑑 - 書籍全体, 高田榮一、大谷勉(著) 原色爬虫類・両生類検索図鑑. 北隆館. .

最終更新日:2020-04-29

生殖行動

冬眠前や翌年の春に交尾を行う。秋にメスの体内に入った精子は、翌春に受精する。

参考文献

  • 森口一 1996 ヤマカガシ, 竹中践(著) 日高敏隆(監修) 千石正一、疋田努、松井正文、仲谷一宏(編) 日本動物大百科5:両生類・爬虫類・軟骨魚類. 平凡社. p. 89.
  • 2011 原色爬虫類・両生類検索図鑑 - 書籍全体, 高田榮一、大谷勉(著) 原色爬虫類・両生類検索図鑑. 北隆館. .

最終更新日:2020-04-29

産卵

産卵は6〜8月に行われる。産卵数は6〜43個で、日本のヘビで最も多いと考えられている。

参考文献

  • 内山りゅう 2002 ヤマカガシ, 内山りゅう、前田憲男、沼田研児、関慎太郎(著) 決定版 日本の両生爬虫類. 平凡社. p. 292.

最終更新日:2020-04-29

特徴的な行動

泳ぎが上手く、時には潜水も行う。追い詰められると怒り、頸部を膨らませたりして脅し、時には攻撃するが、自ら体を裏返し擬死することもある。他にも多様な防御行動を取り、首だけにとどまらず胴体全体を扁平にして体を大きく見せたり、首をアーチ状に曲げておじぎをするようなポーズをしたり、さらには、曲げた首の部分を後ろ方向に打ち付けるようにして反撃することもある。

参考文献

  • 森晢 1996 ヘビ類の防御行動, 竹中践(著) 日高敏隆(監修) 千石正一、疋田努、松井正文、仲谷一宏(編) 日本動物大百科5:両生類・爬虫類・軟骨魚類. 平凡社. p. 90.
  • 2011 原色爬虫類・両生類検索図鑑 - 書籍全体, 高田榮一、大谷勉(著) 原色爬虫類・両生類検索図鑑. 北隆館. .

最終更新日:2020-04-29

その他生態

頸部に防護用の頸腺毒を持ち、この毒は頸を強く掴むことでしみ出たり飛散し、目に入ると障害を起こす。上顎の後方には捕食用のデュベヌノイ腺毒をもつ。この毒は後牙の歯茎からしみ出し、体内に入ると全身の皮下出血や古傷からの出血、内臓出血を起こす。
産卵から孵化までの日数は約45日。産み出された卵は、卵の周りについた粘液が乾燥すると、お互いくっつきあってひとかたまりになる。

参考文献

  • 森口一 1996 ヤマカガシ, 竹中践(著) 日高敏隆(監修) 千石正一、疋田努、松井正文、仲谷一宏(編) 日本動物大百科5:両生類・爬虫類・軟骨魚類. 平凡社. p. 89.
  • 2011 原色爬虫類・両生類検索図鑑 - 書籍全体, 高田榮一、大谷勉(著) 原色爬虫類・両生類検索図鑑. 北隆館. .
  • 内山りゅう 2002 ヤマカガシ, 内山りゅう、前田憲男、沼田研児、関慎太郎(著) 決定版 日本の両生爬虫類. 平凡社. p. 292.

最終更新日:2020-04-29

種・分類一覧