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- エゾサンショウウオ(Hynobius retardatus)について
エゾサンショウウオ(Hynobius retardatus)
【IUCN】現時点での絶滅危険度の低い種
【環境省】評価するだけの情報が不足している種
- 【 学名 】
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Hynobius retardatus Dunn, 1923
基本情報
- 分布
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北海道のいたるところで普通に見られるが、離島にはいない。
カスミサンショウウオ属のうちでは生息域が最も幅広い種の1つで、森林と止水のある場所ならどこにでもすみ、平地から高山まで分布している。
参考文献
最終更新日:2020-06-10 キノボリトカゲ
形態
- 成体の形質
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本邦産カスミサンショウウオ亜属のうちでは最大の種で、一見クロサンショウウオによく似ている。
体の背面は一様に青味を帯びた暗褐色または黒褐色、腹面は灰色で、微細な暗褐色の点を密布していることがある。
頭部は卵形で大きく、吻端が比較的細いが、個体によっては吻端の円いものもある。頭長は頭幅よりも明らかに大きい。
鼻孔は吻端の近くにあり、耳腺は大きくて明瞭、その上緑の溝線も深い鋤口蓋歯列は浅いV字形で、前方に向かって著しく開いている。
胴は短く、肋条の数は背面に11本、腹面に9~10本、四肢は長く、5肢性で、前後肢を体側に沿って伸長すると3肋条分以上重なり合う。
尾は非常に長く、後方に向かって著しく側扁し、先端部は細いが尖っていない。
参考文献
最終更新日:2020-06-10 キノボリトカゲ
生態
- 生息環境
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低地から標高 2000 mを越える高地まで広く生息する。
主な生息地は森林内や林緑部に池や沼、湿地に多い。日中は落葉下や倒木の下、穴の中に潜む。
冬眠は森林内の穴や堆積した落葉下などで行い、雪解けにあわせて冬眠から目覚める。
参考文献
最終更新日:2020-06-10 キノボリトカゲ
- 食性
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成体はミミズやゴミムシ、徘徊性の小型クモ類などを捕食し、幼生は小型の水生無脊椎動物や蛙の幼生などを食べ、頭部の大型化した個体は同種の幼生でも捕食する。
参考文献
最終更新日:2020-06-10 キノボリトカゲ
- 産卵
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繁殖期は生息地によってかなりずれがみられ、低地や低山地は4月上旬~5月下旬だが、高山帯では7月上旬になる。
繁殖期に雄の尾は幅広くなり、泳ぎに適する二次的特性の形が顕著に現れる。
産卵時、雌は水面下の枝葉につかまる姿勢で、卵嚢の端を付着させ、近くの雄が前肢で卵嚢をつかみだす。
その後、雌は泥中に潜り、卵嚢には複数の雄が集まり放精する。
これら一連の行動は午後8時から午前1時の間によくみられる。
卵嚢の大きさは幅約 30 ㎜、長さ約 200~250 ㎜のコイル状で、1卵嚢内の卵数は約20~30個。
卵は30~40日で孵化し、孵化幼生は約40~50日で変態上陸するが、高地などの低水温では幼生のまま越冬し、翌年の6月頃に変態上陸する。
大雪山系では7月上旬に産卵するが、孵化や変態するまでに2~3年かかることもある。
参考文献
最終更新日:2020-06-10 キノボリトカゲ