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- ヤマアカガエル(Rana ornativentris)について
ヤマアカガエル(Rana ornativentris)
【IUCN】現時点での絶滅危険度の低い種
- 【 学名 】
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Rana ornativentris Werner, 1903
基本情報
- 分布
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本州、四国、九州、佐渡島に分布している。平地から丘陵地の水田や湿地、山間部の比較的高地まで生息している。二ホンアカガエルに比べて数は少ない。
参考文献
最終更新日:2020-06-10 キノボリトカゲ
形態
- 成体の形質
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背面は褐色、赤褐色または暗褐色、暗褐色または黒褐色の不規則な斑紋を散在し、とくに胴側では斑紋が鮮明になる。
左右の上眼瞼には暗色の横帯があり、個体によっては、これらがつながり合って浅いV字形またはY字形になっていることもある。
前肢基部の水準にある逆V字形の黒褐色紋は、一般にあまり明瞭でなく、頂端部の離れていることが多い。
この斑紋より後方の背中線上には、肛門の上まで延びる白っぽい縦状のあることが多いが、白条の認められない個体も決して稀ではない。
頭部の側面には、鼓膜の周囲を広くおおう黒斑があり、その背縁は背側隆条とその弯曲部から後下方に走るにぶいしわとによって、また腹縁は上唇の後部から後方に延びる隆条によってそれぞれ限られているが、眼より前では黒条が一般にあまり明瞭でなく、眼鼻線の下側に細長い暗褐色部があるという程度のことも多い。
また、この部分に斑紋や条線の全く認められない個体もある。
上唇は黄白色であるが、黒褐色の顕著な斑紋をそなえている。四肢の背面には黒褐色の明瞭な横帯があるが、その数には変異が多い。
前肢の外縁は不規則に波曲した黒条で縁どられ、内縁の基部にも短い黒条がある。
また同じような縁取りが、後肢の外縁にも部分的に存在する。蹠部は黒褐色、腹面は白く、下顎の周縁に黒褐色斑が並んでいる。
同様な斑紋は、胸部にもよく現れる。体は比較的幅が広く、頭部も幅が広くて比較的短い。
吻端はにぶく、吻端から眼の前端までの距離は、両眼の前端の間隔よりも小さい。
外鼻孔は、吻端と眼の前端との中央より前にあるのが普通で、左右両孔間の距離は上眼瞼の間隔よりも大きい。
眼鼻線はにぶいが、頬部は明らかに凹んでいる。
眼はよく突出し、上眼瞼の幅が左右の上眼瞼の間隔より明らかに大きく、眼径が吻端から眼の前端までの距離にほぼ等しい。
鼓膜はほぼ円形またはごく短い楕円形で、その直(長)径が眼径の半分かそれよりも多少大きい程度。
上唇の後部から後方に延びて、前肢基部の前背側で円く終わる隆条は明瞭。
鋤骨歯板は長楕円形で、それぞれ6個ぐらいの歯をそなえ、左右の内鼻孔の間から斜めに走って、後端が内鼻孔の後端の水準よりずっと後方に達している。
雄には一対の声嚢がある。体表の皮膚はおおむねなめらかであるが、あるいは背面がやや鮫肌状を呈し、胴背には比較的少数のにぶい隆起がある。
大腿部の後下面がにぶい顆粒で密におおわれていることは、ニホンアカガエルなどの場合とほぼ同様。
背側線の隆条は比較的にぶくて、部分的に断続していることもあるが、鼓膜の後背側で外方へ明らかに曲がっている。
また、この部分で分かれて前肢基部の背側に向かいにぶい隆条がある。
四肢の長さにはかなりの変異があるが、大腿部と脛部との長さの和が体長よりも大きく、膝関節で折り曲げた後肢を体軸と直角に伸ばすと左右の脛跗関節が行き違う。
指の長さの順序はニホンアカガエルなどの場合とほぼ同様。
内蹠隆起は長楕円形でよく突出しているが、外蹠隆起は痕跡的、趾間のみずかきの状態には変異があるが、切れ込みは比較的深い。
参考文献
最終更新日:2020-06-10 キノボリトカゲ
生態
- 生息環境
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平地から山地に生息するが、主に山地に多く、標高 1900 m以上の高地にまでみかける。
低地や丘陵地では二ホンアカガエルにくらべ少ない。
主に林緑部やその周辺の水田、池、沼、湿地などに多く、冬期は土中や水田、溝、湿地などの泥中で冬眠する。繁殖後、一時休眠する。
参考文献
最終更新日:2020-06-10 キノボリトカゲ
- 産卵
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繁殖期は2~4月だが、地域により異なり、早い地域では1月にはみられ、遅い地域でも6月には終了する。
繁殖期の水温は約 6 ℃。産卵場所は日当たりがよく、水深の浅い止水域で水田や湿地、池沼などだが、河川敷や道路にできた水溜まりでも行う。
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最終更新日:2020-06-10 キノボリトカゲ