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- タゴガエル(Rana tagoi)について
タゴガエル(Rana tagoi)
【IUCN】現時点での絶滅危険度の低い種
- 【 学名 】
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Rana tagoi Okada, 1928
基本情報
形態
- 成体の形質
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前種に類縁が近く、とくに本州の東北部に見られる個体では大陸の母型に似た点が多い。
しかし、この種は体が比較的太く、また、下顎の全面から胸部の前方にかけて黒褐色の小点を密布しているのでこの部分が黒っぽく見える。
頭部の下面が黒っぽいことは、タゴガエルをアカガエル類のほかの日本産種から区別する便利な特徴である。
体と四肢との背面は褐色、淡褐色または赤褐色で黒褐色の小点を散布し、とくに体側では斑点の明瞭であることが多い。
左右の上眼瞼の間には、これらを結ぶ黒褐色の横帯があるが、そのようすには変異が多く、ほぼ直線状のこともあれば浅いV字形またはY字形のこともあり、中央部が消失していることもある。
前肢基部の水準にある逆V字形の黒褐色斑は原則として明瞭。
頭部の側面には、吻端に始まって外鼻孔を通り眼の前端に達する幅の広い黒条があって、その背縁は眼鼻線で区切られているが、腹縁は明瞭でないことが多く、普通は頬部の全面に広がっている。
しかし、個体によっては、上唇との間に褐色の部分が細長く残っていることもある。
下眼瞼の後縁から鼓膜の周縁を幅広くおおって、後下方にいくほど細くなり、前肢基部の前背側に達する斑紋も黒くて明瞭であるが、その下縁にある隆条は淡赤褐色。
上唇は、全体に黒色または黒褐色であるか、あるいはその大部分がこれらの色の斑紋でおおわれているが、上唇縁は白っぽい。
4肢の外縁は不規則に波曲した黒条で縁取られ、前肢基部の内縁にはつねに短い黒条がある。
肛門の周囲も黒い。前膊部の背面の黒褐色斑は不規則で、ときには横帯状となり、後肢の背面には黒褐色の細い横帯があるが、その数やようすに変異が多い。
腹面は、淡黄白色または白色で、下顎の周縁に黒斑をそなえ、咽頭部から胸部の前方にかけて黒褐色の小点を密布している。
胸部の後方や腹部の前方では、これらの小点群れが部分的に集まって一種の斑紋になっていることが多い。
また普通は大腿部や脛部の下面にも黒点を散布している。
蹠部は暗褐色。頭部はかなり幅が広く、側縁がゆるい弧をえがき、円い吻端に終わっている。
吻は短くて幅が広く、吻端から眼の前端までの長さは、両眼の前端の間隔よりもはるかに小さい。
また、左右の外鼻孔の間隔は、上眼瞼の間隔よりも明らかに大きい。
外鼻孔の位置は、吻端と眼の前端とのほぼ中央にあることが多いが、個体によってかなり変化する。
眼鼻線はにぶいが明瞭で、頬部は明らかに凹んでいる。
眼の長径は吻端から眼の前端までの距離にほぼ等しく、上眼瞼の幅は左右の上眼瞼の間隔よりも少し大きい。
鼓膜はほぼ円形で、その直径が眼径の半分よりわずかに大きい程度。
上唇縁の後部から後走する隆条や鋤骨歯板などのようすは前種の場合とほぼ同様で、雄に声嚢のないことも前種に等しい。
背面の皮膚は、細かくてにぶい顆粒におおわれているが隆起はほとんどなく、背側線上の隆条は細かいが明瞭で、後肢基部の背側までほぼ完全、鼓膜の後背側では外方へ明らかに曲がり、そこから前肢基部の前側に向かう枝を分岐する。
産卵期の雄は、体側の皮膚が伸びて膜状に広がっているので、一見別種のように見える。腹面の皮膚は前種の場合に似ている。
4肢の長さや構造も前種によく似ているが、趾間のみずかきの発達が更に悪く切れ込みも深く、また指趾の先端部は多少ふくれている。
参考文献
最終更新日:2020-06-10 キノボリトカゲ