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ウシガエル(Lithobates catesbeianus)の分類 Ranidae
ウシガエル(Lithobates catesbeianus)の概要 Lithobates

ウシガエル(Lithobates catesbeianus)

低危険種 (LC or LR/lc)

【IUCN】現時点での絶滅危険度の低い種

【 学名 】
Lithobates catesbeianus (Shaw, 1802)

基本情報

大きさ・重さ

成体全長:雄 111〜178 mm, 雌 120〜183 mm(高田・大谷, 2011, p. 194)
幼体全長:約 120〜150 mm(高田・大谷, 2011, p. 194)
卵の大きさ:直径 1.2〜1.5 mm(松井, 1996, p. 44)

参考文献

  • 松井正文 1996 ウシガエル (アカガエル類種名表), 日高敏隆(監修) 千石正一、疋田努、松井正文、仲谷一宏(編) 日本動物大百科5:両生類・爬虫類・軟骨魚類. 平凡社. p. 44.
  • 2011 原色爬虫類・両生類検索図鑑 - 書籍全体, 高田榮一、大谷勉(著) 原色爬虫類・両生類検索図鑑. 北隆館. .

最終更新日:2020-04-29

学名の解説

種小名は、18世紀初めに米国各地で採集を行った英国人 Catesby に献名したもの。(松井, 2016, p. 138)

参考文献

  • 2016 ネイチャーウォッチングガイドブック 日本のカエル 分類と生活史〜全種の生態、卵、オタマジャクシ - 書籍全体, 松井正文(著) ネイチャーウォッチングガイドブック 日本のカエル 分類と生活史〜全種の生態、卵、オタマジャクシ. 誠文堂新光社. .

最終更新日:2020-04-29

和名の解説

鳴き声が牛に似ているところからウシガエルと呼ばれる。

参考文献

  • 前田憲男 2002 ウシガエル (ショクヨウガエル), 内山りゅう、前田憲男、沼田研児、関慎太郎(著) 決定版 日本の両生爬虫類. 平凡社. 118.

最終更新日:2020-04-29

別名・方言名

ショクヨウガエル

参考文献

  • 前田憲男 2002 ウシガエル (ショクヨウガエル), 内山りゅう、前田憲男、沼田研児、関慎太郎(著) 決定版 日本の両生爬虫類. 平凡社. 118.

最終更新日:2020-04-29

分類学的位置付け

かつては外国に住むアメリカアカガエルやヒョウガエル、フォラーアカガエル等と同じくアカガエル属 Rana とされていたが、それらの種と単系統群を成すことが判明し、まとめて新たにアメリカアカガエル属 Lithobates とされた。(松井, 2016, p. 137)

参考文献

  • 2016 ネイチャーウォッチングガイドブック 日本のカエル 分類と生活史〜全種の生態、卵、オタマジャクシ - 書籍全体, 松井正文(著) ネイチャーウォッチングガイドブック 日本のカエル 分類と生活史〜全種の生態、卵、オタマジャクシ. 誠文堂新光社. .

最終更新日:2020-04-29

人間との関係

特定外来生物に指定されており、飼育・販売・移動・輸入・放逐は禁止 (許可を受けたものは除く) されている。1918年に当時の政府がアメリカから移入し、食肉用として全国に養殖を奨励した。その後、太平洋戦争中に閉鎖された養殖場から逃げ出した個体が全国で野生化した。同時に、このカエルの餌として移入されたアメリカザリガニも日本各地に広がってしまった。IUCN の 100 Worst Invasive Species にも挙げられており、早急な駆除が強く望まれる。
その大きな体に比例して量の多いもも肉の需要から、養殖を目的として各地に積極的に導入されてきた。日本でも各地で一時的に安価なタンパク源の確保や産業振興の切り札として期待されたが、程なく食材としての人気が急速にすたれ、ごく一部の地域を除き経済的価値を失っていった。

参考文献

  • 前田憲男 2002 ウシガエル (ショクヨウガエル), 内山りゅう、前田憲男、沼田研児、関慎太郎(著) 決定版 日本の両生爬虫類. 平凡社. 118.
  • 太田英利 2002 ウシガエル〜 "食用ガエル" のとんでもない正体, 村上興正、鷲谷いづみ(監修) 日本生態学会(編) 外来種ハンドブック. 地人書館. 106.
  • 2011 原色爬虫類・両生類検索図鑑 - 書籍全体, 高田榮一、大谷勉(著) 原色爬虫類・両生類検索図鑑. 北隆館. .

最終更新日:2020-04-29

形態

成体の形質

変態終了時の体長は約 36〜60 mm。日本国内で見られるカエルの中では最大種。体色は褐色から緑色。体形はがっしりとし、後肢は長くて太く、水掻きもよく発達する。背面は鮫肌状で目立った隆条はない。鼓膜後背側隆条は明瞭。体や四肢の背面には大小の淡黒色や暗黒色斑紋がある。(高田・大谷, 2011, p. 194)
雌雄の区別に関しては、鼓膜の大きさが雄で眼の大きさの1.3〜1.7倍あるのに対し、雌では0.9〜1.2倍であること、また雄は咽喉下に単一の鳴嚢を持つことで区別できる。(高田・大谷, 2011, p. 194)

参考文献

  • 2011 原色爬虫類・両生類検索図鑑 - 書籍全体, 高田榮一、大谷勉(著) 原色爬虫類・両生類検索図鑑. 北隆館. .

最終更新日:2020-04-29

卵の形質

卵径は 1.2〜1.5 mm と小さく、水面に1個の大きな卵塊となって広がり、浮かぶ。

参考文献

  • 松井正文 1996 ウシガエル (アカガエル類種名表), 日高敏隆(監修) 千石正一、疋田努、松井正文、仲谷一宏(編) 日本動物大百科5:両生類・爬虫類・軟骨魚類. 平凡社. p. 44.

最終更新日:2020-04-29

生態

生息環境

本来は低地性であるが、低山地のダム湖や池、沼などにも人為的に放たれたものが定着している。比較的広く水深の深い水域や水辺に草が茂る止水域の環境を好むが、流れの緩い河川にも生息する。(高田・大谷, 2011, p. 194)

参考文献

  • 2011 原色爬虫類・両生類検索図鑑 - 書籍全体, 高田榮一、大谷勉(著) 原色爬虫類・両生類検索図鑑. 北隆館. .

最終更新日:2020-04-29

食性

貪欲な捕食者で、甲虫を主にした昆虫類やザリガニ、カエル類、水鳥の雛、ネズミなどの多様な動物を捕食する。(高田・大谷, 2011, p. 194)

参考文献

  • 2011 原色爬虫類・両生類検索図鑑 - 書籍全体, 高田榮一、大谷勉(著) 原色爬虫類・両生類検索図鑑. 北隆館. .

最終更新日:2020-04-29

ライフサイクル

繁殖期は5〜9月。早くに孵化した幼生は年内に変態上陸するが、通常は幼生のまま越冬し、翌年の5〜10月に変態する。寒冷地の幼生は2度越冬する。(高田・大谷, 2011, p. 194)

参考文献

  • 2011 原色爬虫類・両生類検索図鑑 - 書籍全体, 高田榮一、大谷勉(著) 原色爬虫類・両生類検索図鑑. 北隆館. .

最終更新日:2020-04-29

活動時間帯

夜行性

参考文献

  • 太田英利 2002 ウシガエル〜 "食用ガエル" のとんでもない正体, 村上興正、鷲谷いづみ(監修) 日本生態学会(編) 外来種ハンドブック. 地人書館. 106.

最終更新日:2020-04-29

発音(鳴き声)

「ブウオーン、ブウオーン」と鳴く。驚くと「キャウー」と鳴いて水中に潜る。

参考文献

  • 前田憲男 2002 ウシガエル (ショクヨウガエル), 内山りゅう、前田憲男、沼田研児、関慎太郎(著) 決定版 日本の両生爬虫類. 平凡社. 118.

最終更新日:2020-04-29

産卵

卵は水草の多い水面に1層の大きな卵塊として産む。産卵数は6000〜40000個。(高田・大谷, 2011, p. 194)

参考文献

  • 2011 原色爬虫類・両生類検索図鑑 - 書籍全体, 高田榮一、大谷勉(著) 原色爬虫類・両生類検索図鑑. 北隆館. .

最終更新日:2020-04-29

特徴的な行動

跳躍力があり、泳ぎも上手い。(高田・大谷, 2011, p. 194)
冬眠は通常水底で行うが、水辺の土中でも行うことがある。繁殖期には雄は水面で鳴き、雌を待つが、強い縄張りを持ち、時には咬みつきあいの闘争もする。(高田・大谷, 2011, p. 194)

参考文献

  • 2011 原色爬虫類・両生類検索図鑑 - 書籍全体, 高田榮一、大谷勉(著) 原色爬虫類・両生類検索図鑑. 北隆館. .

最終更新日:2020-04-29

関連情報

外来種としての影響

ウシガエルはその高い捕食性と旺盛な繁殖力ゆえに、捕食や餌資源をめぐる競争を通して、他のカエルを始め多くの在来種を圧迫すると考えられる。例えば、沖縄諸島の中には、ウシガエルの増加とともに他のカエル類がほとんど見られなくなった島もあり、アメリカ合衆国の西部 (カリフォルニア州やオレゴン州) や韓国でも、本種の増加に伴う在来のカエル類の減少が問題になっている。

参考文献

  • 太田英利 2002 ウシガエル〜 "食用ガエル"のとんでもない正体, 村上興正、鷲谷いづみ(監修) 日本生態学会(編) 外来種ハンドブック. 地人書館. 106.

最終更新日:2020-04-29

種・分類一覧