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- オオサンショウウオ(Andrias japonicus)について
オオサンショウウオ(Andrias japonicus)
【IUCN】現時点での絶滅危険度は小さいが、生息条件の変化によっては「絶滅危惧」に移行する可能性のある種
【環境省】絶滅の危険が増大している種
- 【 学名 】
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Andrias japonicus (Temminck, 1836)
目次
基本情報
- 生息状況
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IUCNレッドリスト−NT、環境省レッドリスト−絶滅危惧種II類 (VU)
河川工事や林道工事に伴う護岸工事により、産卵に適した岸辺の横穴がコンクリートブロックで塞がれるなどした影響で生息環境が悪化している。
参考文献
最終更新日:2020-04-29 鍋
- 保全の取り組み
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特別天然記念物に指定され、捕獲等は厳重に規制されている。三重県では、河川工事の実施にあたってオオサンショウウオを含む河川生態系への悪影響を最低限にとどめるべく、保全策が検討されている。
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- 別名・方言名
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別名ハンザキやハンザケと呼ばれる。これは、その生命力の強さから体が半分に裂かれても生きられると信じられたり、口が大きく体が半分に避けているように見えることから来ている。
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- 人間との関係
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岡山県湯原町の国司神社境内にはハンザキ大明神がある。これは元禄初めの頃、巨大なオオサンショウウオを退治した村人の一家に不幸が続いたことから、その霊を慰めるために祀ったものといわれる。現在も毎年8月8日にはハンザキ祭りが行われている。
日本では古来から食用にもされた。
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形態
- 成体の形質
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世界最大の両生類。全身が扁平で、基本的には黄褐色の地に黒色の斑紋があるが、全身真っ黒から黄色に見えるものまで、個体差が大きい。頭部は大きく、四肢は短い。繁殖期以外には雌雄の外観的な差はない。
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- 卵の形質
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卵は直径 5〜8 mm で、20〜25 mm のゼラチン状の保護膜に覆われており、やはりゼラチン状のひもで数珠つなぎになり、これらがからみあってひとかたまりになっている。
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生態
- 生息環境
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一般的には、標高 200〜600 m にわたる山地や小集落、谷津田等のあいだを流れる河川に生息するが、山間渓流部に限らず人家近くの用水路や小川に見られることもある。
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- 食性
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成体は魚類、サワガニ類を主に捕食する。魚類のいない場所では水生昆虫、ネズミ、ヘビ、小型のサンショウウオなども食べ、共食いもする。
幼生は主に水生昆虫を捕食する。
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- ライフサイクル
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生涯水中で生活する。春、水温の上昇とともに活発となり、7月頃になると成熟した雌雄は繁殖巣穴を目指して遡上を開始する。産卵および放精は8月下旬から9月上旬に行われ、卵は10月上旬に孵化する。ふ化した幼生は1月頃巣穴から出て下流方向へ分散する。幼生は約3年で変態 (肺呼吸となる) し、その後数年で繁殖可能となる。繁殖可能個体は上流方向へ移動し、岩穴や水草の茂みなど休息場所の多い場所に定住する。低温期にも冬眠することはなく、近づいてきた魚等を採餌する。寿命は60年以上という記録がある。
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- 産卵
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優位な雄 (ヌシとよぶ) が巣穴を占有し、産卵行動の主導権を得る。産卵および放精は、ヌシのコントロールのもとで、複数の雌雄により行われる。1匹の雌は500〜600個の卵を産む。卵は孵化するまでヌシが保護する。
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- 特徴的な行動
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産卵用の巣穴に移動するまでにオス同士は激しく闘争し、首をかみ切られて死んだり、四肢の指を失ったりすることもある。
危険が迫ると体表から強いにおいの白い粘液を分泌し身を守る。
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- その他生態
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肺呼吸を行うが、溶存酸素量の多い渓流では皮膚呼吸だけで十分な酸素を取り込めるので、半日以上水中にいても平気である。しかし、汚れた川では頻繁な肺呼吸が必要になる。
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