- 解説一覧
- イリエワニ(Crocodylus porosus)について

イリエワニ(Crocodylus porosus)
【IUCN】現時点での絶滅危険度の低い種
- 【 学名 】
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Crocodylus porosus Schneider, 1801
基本情報
- 大きさ・重さ
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成体全長:7~9 m
体重:最高 1 t
参考文献
- ファビアン・クストー 2018 イリエワニ, 内田至(監修) 海洋大図鑑 改訂新版. ネコ・パブリッシング. 377.
- マーク・オシー, ティム・ハリデイ 2001 イリエワニ, マーク・オシー、ティム・ハリデイ(著) 太田英利(監修) 爬虫類と両生類の写真図鑑. 日本ヴォーグ社. 194.
最終更新日:2020-05-01 ハリリセンボン
- 分布
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南・東南アジアから北オーストラリア、太平洋南西部に分布し、海岸近くの河川、礁地、干潟に生息する(ときおり沖合にも現れる)。泳ぎが上手で海洋にまで進出し、インドからオーストラリアに加え、インド洋のココス島や太平洋のフィジー諸島からも分布記録がある。
参考文献
- ファビアン・クストー 2018 イリエワニ, 内田至(監修) 海洋大図鑑 改訂新版. ネコ・パブリッシング. 377.
- マーク・オシー, ティム・ハリデイ 2001 イリエワニ, マーク・オシー、ティム・ハリデイ(著) 太田英利(監修) 爬虫類と両生類の写真図鑑. 日本ヴォーグ社. 194.
最終更新日:2020-05-01 ハリリセンボン
- 分類学的位置付け
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ワニ目 クロコダイル科
参考文献
- H.Rバスタード 1987 ワニ類, 松井孝爾(著) 深田祝(監修) T.R.ハリディ、K.アドラー(編) 動物大百科12 両生・爬虫類. 平凡社. 150₋154.
最終更新日:2020-05-01 ハリリセンボン
形態
- 成体の形質
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このくすんだ緑色のワニは、原生の爬虫類中最大で、かつ世界で最も強力な動物の一つである。ほかのワニ類にみられる首の背面の大型鱗がないことから、ネイキッドネック(裸の首の)クロコダイルとも呼ばれる。強力な顎を持ち、最高 13 cmの長さの歯が生えている。皮膚は丈夫で、厚い鱗に覆われている。背中の鱗は皮骨と呼ばれる骨性の被覆物に扱われ、尾には2列の直立した骨の板(鱗板)がある。
参考文献
- ファビアン・クストー 2018 イリエワニ, 内田至(監修) 海洋大図鑑 改訂新版. ネコ・パブリッシング. 377.
- マーク・オシー, ティム・ハリデイ 2001 イリエワニ, マーク・オシー、ティム・ハリデイ(著) 太田英利(監修) 爬虫類と両生類の写真図鑑. 日本ヴォーグ社. 194.
最終更新日:2020-05-01 ハリリセンボン
- 似ている種 (間違えやすい種)
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ヌマワニ(C.palustris)、ニューギニアワニ(C.novaeguineae)
参考文献
- マーク・オシー, ティム・ハリデイ 2001 イリエワニ, マーク・オシー、ティム・ハリデイ(著) 太田英利(監修) 爬虫類と両生類の写真図鑑. 日本ヴォーグ社. 194.
最終更新日:2020-05-01 ハリリセンボン
生態
- 食性
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天然の食物は鳥、魚、カメ、そしてイノシシ、サル、ウマ、スイギュウなどの哺乳類である。
イリエワニはほかの大型爬虫類と同様に、岸近くに待ち伏せして、目と鼻がぎりぎり見えるくらいに水面下に隠れて、こっそりと狩りをする。動物が射程圏内に入ると爆発的な力で水から飛び出して獲物を掴み、引きずり込んで溺れさせる。ワニは食物を噛むことはできないが、代わりに細かく引き裂いて、鱗、皮膚、骨までも消化する。
参考文献
- ファビアン・クストー 2018 イリエワニ, 内田至(監修) 海洋大図鑑 改訂新版. ネコ・パブリッシング. 377.
最終更新日:2020-05-01 ハリリセンボン
- 活動時間帯
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日中、川岸などで日光浴をして過ごすが、夕方になると食物を求めて活動を始める。
参考文献
- H.Rバスタード 1987 ワニ類, 松井孝爾(著) 深田祝(監修) T.R.ハリディ、K.アドラー(編) 動物大百科12 両生・爬虫類. 平凡社. 150₋154.
最終更新日:2020-05-01 ハリリセンボン
- 生殖行動
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交尾のイニシアティブは雄がとる。水中で雌に寄り添ったり、あるいは並行して泳いだりするうちに、雄は雌側の前あしと後あしを雌の体の上にのせる。ふつう交尾は水中で行われる。約2ヵ月後に雌は産卵の準備が整い、少なくとも卵の孵化に要する2ヵ月半から3ヵ月の間には水をかぶる危険のない地上に、夜にまぎれて巣をつくる。
参考文献
- H.Rバスタード 1987 ワニ類, 松井孝爾(著) 深田祝(監修) T.R.ハリディ、K.アドラー(編) 動物大百科12 両生・爬虫類. 平凡社. 150₋154.
最終更新日:2020-05-01 ハリリセンボン
- 産卵
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一度に20~90卵を産む。孵化すると幼体を水まで運ぶ。
参考文献
- ファビアン・クストー 2018 イリエワニ, 内田至(監修) 海洋大図鑑 改訂新版. ネコ・パブリッシング. 377.
- マーク・オシー, ティム・ハリデイ 2001 イリエワニ, マーク・オシー、ティム・ハリデイ(著) 太田英利(監修) 爬虫類と両生類の写真図鑑. 日本ヴォーグ社. 194.
最終更新日:2020-05-01 ハリリセンボン
- 特徴的な行動
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イリエワニは塚状の巣をつくる。母ワニは幾晩にもあたって、大量の植物を卵の上に積み上げる。適当な材料をあごで刈り取ったり、既に腐っている材料を前あしと後あしでかき集めたりもする。完成した巣は直径が2.5~3 m、高さが70~100 cmにもなる。巣材は腐食して熱を発し、だいたい30~32℃の温度に保たれる。多くの種では、雌は卵と幼体に対して高度な世話を施す。
参考文献
- H.Rバスタード 1987 ワニ類, 松井孝爾(著) 深田祝(監修) T.R.ハリディ、K.アドラー(編) 動物大百科12 両生・爬虫類. 平凡社. 150₋154.
最終更新日:2020-05-01 ハリリセンボン
- その他生態
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成熟するまでに時間がかかる。イリエワニは全長 2.3~2.6 mで繁殖を開始するが、それまでに成長するには約10年かかる。
潜水時には鼻孔が閉じるが、口から水を吐き出すことはできない。代わりに喉の入り口に弁がついており、食物を飲み込むときだけ開くようになっている。
水中で体を冷やし、太陽の光を浴びて体を暖めることによって体温を調節している。
参考文献
- ファビアン・クストー 2018 イリエワニ, 内田至(監修) 海洋大図鑑 改訂新版. ネコ・パブリッシング. 377.
- H.Rバスタード 1987 ワニ類, 松井孝爾(著) 深田祝(監修) T.R.ハリディ、K.アドラー(編) 動物大百科12 両生・爬虫類. 平凡社. 150₋154.
最終更新日:2020-05-01 ハリリセンボン
関連情報
- その他
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イリエワニの雌は、巣の周囲に何筋かの溝を掘る。溝には水が溜まり、母ワニはそこに潜み、姿を隠したまま巣を保護することができる。
幼体は自分で殻を破り、吻を突き出して母親がやってくるのを待つことが観察されている。巣の中の幼体は、母ワニが巣の上を這うことで起きた振動などに反応し、遠くからでも聞こえる高い声でやかましく鳴きわめく。母ワニはおそらくこの鳴き声をきっかけとして巣を崩し、幼体の脱出を助ける。
また、雌が一群の幼体を慎重に咥え、舌の上にのせて安全に水のあるところまで運ぶことが知られている。
参考文献
- H.Rバスタード 1987 ワニ類, 松井孝爾(著) 深田祝(監修) T.R.ハリディ、K.アドラー(編) 動物大百科12 両生・爬虫類. 平凡社. 150₋154.
最終更新日:2020-05-01 ハリリセンボン