- 解説一覧
- ニホンヤモリ(Gekko japonicus)について
基本情報
形態
- 成体の形質
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背面は灰色、暗灰色または灰褐色で、不規則な暗色の斑紋をそなえている。
これらの斑紋には著しい個体変異があって、きわめて不明瞭なものもかなりはっきりしているものもあり、尾では横帯になっているものもある。
頭部の側面には周縁の明瞭でない暗色の縦条があり、その背側に、眼の後端から後走する短い白条の認められることも少なくない。
上唇板と下唇板とには、暗色の斑点を1個づつそなえていることが多い。腹面は汚白色。
頭部は頸部より大きく、卵形で、幅よりも明らかに長い。
吻も長くて、吻端から眼の前端までの距離が眼と耳孔との間隔よりも明らかに大きいが、吻端は円く終わっている。
吻端板はほぼ長方形で、高さよりも幅の方がはるかに大きい。
吻端板の頂端は、1対の鼻間板だけに接しているか、あるいはこれらとその間に挟まれた1~2枚の小鱗とに接している。
従って、左右の鼻間板が正中線上で接し合っていることも、両側に隔てられていることもある。
鼻孔は吻の背側にあり、鼻間板、吻端板、第1上唇板および2~3枚の小鱗によって囲まれている。
眼は比較的大きいが、その直径は眼と鼻孔との間隔よりも明らかに小さい。
耳孔は長楕円形で小さく、長径が眼の直径の半分に達しない。
上唇板は10~11枚(普通は11枚)、下唇部は9~10枚あり、一般に下唇部の方が大きくて数も1枚少ない。
頣板はほぼ三角形であるか、あるいは三角形に近い五角形で、後側縁が1対の後頣板に接している。
外後頣板はかなり大きいが、後頣板よりは小さい。
体と四肢との背面は粒状の鱗でおおわれているが、個々の体鱗はタワヤモリの場合に比べてやや大きく、隆起も後者の場合ほど著しくない。
頭胴部では、これらの体鱗の中に大形の顆粒が多数混在し、個体によっては、四肢の背面にも同様の顆粒をそなえていることがある。
咽頭部の鱗は背面のものと同じような粒状であるが、胸部より後方では、鱗が大きくて扁平になり、明瞭な瓦状に重なり合う。
前肛部の鱗はとくに大きい。尾部の鱗は多少とも扁平で、ときには背面でも瓦状に重なり合う。
下面の鱗は背面のものより遥かに大きく、尾下板は明瞭で幅が広い。
雄の前肛部には6~9個の小孔の列があり、全体としてゆるい弧をえがいている。
またときには、この小孔列が中央で中断されていることもある。
四肢はよく発達し、第2~4趾の基部は痕跡的なみずかき状の膜で結ばれている。吸盤の幅は比較的狭く、指趾の基方に及ばない。
趾下板は第4趾で15枚ぐらいあり、端方の8~9枚が吸盤を形成しているが、基方のものは非常に小形、尾は多少圧平され、尾端に向かって次第に細くなる。
尾の基部には、左右1枚づつの大きい鱗でできた突起があるのを原則とするが、個体によって2~3枚づつあることもある。
参考文献
最終更新日:2020-06-11 キノボリトカゲ
生態
- 生息環境
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人家やその周辺に多く生息し、隠れる場所が多い木造建築物だけでなく、近代的な建築物でも見つかる。
冬期は人家の戸袋・床下・屋根裏・物置などやその周辺の隙間に潜り込み冬眠する。
生息地域により、個体数の多い地域、少ない地域がある。
参考文献
最終更新日:2020-06-11 キノボリトカゲ
- 活動時間帯
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夜行性で夜間人家の窓や灯火に集まり、灯火に集まる種々の昆虫類や徘徊性の小型クモ類などを捕食。
日没後に活動を始めるが、深夜には活動個体は少ない。
参考文献
最終更新日:2020-06-11 キノボリトカゲ
- 産卵
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産卵は5月上旬から7月下旬。産卵場所は人家内やその周辺部の隙間や暗い隅の狭い空間に1回1~2個産卵。
産卵数は1シーズンに1~3回。卵は楕円形で大きさは 14×9 ㎜前後。
卵殻は硬く、卵は粘着性があり、周囲に接着する。産卵場所の条件は多くなく、毎年同じ場所に複数回の卵が見られることが多い。
孵化日数は40~90日。
参考文献
最終更新日:2020-06-11 キノボリトカゲ