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インドホシガメ(Geochelone elegans)の分類 Testudinidae
インドホシガメ(Geochelone elegans)の概要 Geochelone

インドホシガメ(Geochelone elegans)

危急 (VU)

【IUCN】絶滅の危険が増大している種

【 学名 】
Geochelone elegans (Schoepff, 1795)

基本情報

大きさ・重さ

最大 38 cm(通常はずっと小型で、雄で最大 20 cmほど)。
飼育下は 25 cmくらいになる。 

参考文献

  • マーク・オシー, ティム・ハリデイ 2001 インドホシガメ, マーク・オシー、ティム・ハリデイ(著) 太田英利(監修) 爬虫類と両生類の写真図鑑. 日本ヴォーグ社. 53.
  • 大谷勉 2018 インドホシガメ, 大谷勉(著) 川添宣広(編) 世界のカメ類. 文一総合出版. 25.
  • 山田和久 2008 インドホシガメ, 山田和久(著) 爬虫・両生類ビジュアルガイド:リクガメ. 誠文堂新光社. 30₋31.

最終更新日:2020-04-28 ハリリセンボン

分布

インド南東部・北西部、スリランカ、パキスタンに分布する。

参考文献

  • マーク・オシー, ティム・ハリデイ 2001 インドホシガメ, マーク・オシー、ティム・ハリデイ(著) 太田英利(監修) 爬虫類と両生類の写真図鑑. 日本ヴォーグ社. 53.
  • 大谷勉 2018 インドホシガメ, 大谷勉(著) 川添宣広(編) 世界のカメ類. 文一総合出版. 25.
  • 山田和久 2008 インドホシガメ, 山田和久(著) 爬虫・両生類ビジュアルガイド:リクガメ. 誠文堂新光社. 30₋31.

最終更新日:2020-11-24 ハリリセンボン

和名の解説

背甲の各甲板にある星状の模様が、名前の由来である。

参考文献

  • マーク・オシー, ティム・ハリデイ 2001 インドホシガメ, マーク・オシー、ティム・ハリデイ(著) 太田英利(監修) 爬虫類と両生類の写真図鑑. 日本ヴォーグ社. 53.

最終更新日:2020-04-28 ハリリセンボン

分類学的位置付け

リクガメ科

参考文献

  • マーク・オシー, ティム・ハリデイ 2001 インドホシガメ, マーク・オシー、ティム・ハリデイ(著) 太田英利(監修) 爬虫類と両生類の写真図鑑. 日本ヴォーグ社. 53.

最終更新日:2020-04-28 ハリリセンボン

形態

成体の形質

甲はドーム状で背甲は非常に高く盛り上がり、頭部は凸状となり、水平にはならない。背甲は全体にやや細長く、隆条を欠き、その外縁部は側面でほとんど反り返らず、後縁では外側に広がる傾向がある。しかし、その部分はほとんど反り返らないか、個体によってわずかに反り返るのみである。背甲の前端には明瞭な湾入があるが、後端にはない。項甲板をもたない。

第1椎甲板は、長さより幅がわずかに大きい個体が多いが、個体によってはほぼ一緒か、長さが幅よりわずかに大きいことがある。
第2~第4椎甲板は、通常長さより幅が明瞭に大きい。左右の第12縁甲板は癒合して、1枚の甲板となる(臀甲板と呼ばれることもある)。
幼体時は、背甲の後縁部に明瞭な鋸歯があるが、成長に従い不明瞭となる。背甲の各甲板には明瞭な成長輪が入る。各椎甲板および各肋骨板では、中央付近に初生甲板(孵化時の甲板)もしくはその痕跡が残り、成体ではその部分がわずかに盛り上がる(幼体はそうした盛り上がりは見られない)。
野生個体ではその盛り上がりはしばしば不明瞭なのに対し、飼育下の個体では顕著な盛り上がりがみられる個体が大多数である。

背甲の地色は暗褐色ないし黒色をしている。各椎甲板および各肋骨板では、中央付近の黄色ないし黄褐色の初生甲板(孵化時の甲板)の周囲に、成体では6~12本の黄色ないし黄褐色の放射状模様がある。各縁甲板の背側でも、外縁部に位置する初生甲板の周囲に1~4本の同色の放射状模様がある。これらの放射状模様は幼体では成体に比べて数が少なく、成長に従い増加する。

頭部は中型で、吻端は突出しない。頭部の色彩は褐色の地に、細かな暗色斑が点在する。上顎の先端はごく弱い鉤状で(ほとんどそう見えない個体も多い)、その先端は二尖または三尖となることもあるが、先端は一尖かほとんど尖らない個体も多い。

前額板は大型で、左右に2枚に分かれており、その後方に幅の狭い1枚の額板がある。額板の前端部は突出し、左右の前額板をその後方で二分することもある。それ以外の頭部の鱗は小型で、形状は不規則である。

四肢はやや頑健で、前肢の前側には5~7列前後の、サイズにばらつきの多い先端がやや尖った大型鱗が並んでいる。腿(後肢と尾の間)に蹴爪状の大型鱗をもつことはないが、複数の小型の円錐状の小鱗が並んでいる。尾は短く、その背側に大型の鱗はない。頭部、頸部、四肢、尾の地色は黄色ないし黄褐色で、不規則な黒斑が点在する。黒斑の数や拡がる面積は、成体でより増加する傾向があるが、個体差が大きい。上顎および下顎の角質の鞘(嘴)とその周囲、鼓膜、喉の部分は褐色ないし灰褐色である。

雄は雌に比べて小型で、背甲長 20 cmを越えることはごくまれで、日本国内の飼育個体で背甲長 15 cmを超える個体は珍しい。それに対して雌は、順調に成長させた個体であると、飼育下でもゆうに背甲長 20 cmを超え、最大記録は 38.1 cmである。雄は雌に比べて相対的に甲が低く、幅が狭い。1個体のみ見た場合、雄は雌に比べて長く太い尾をもち、総排出孔がより先端部寄りに位置している。また肛甲板の尾側の湾入は、雄では深く直線的な山型であるのに対し、雌では浅くゆるやかな弧状である。癒合した左右の第12縁甲板(臀甲板)の先端は、雄ではこの部分が後部下方に突き出す。

参考文献

  • 安川雄一郎 2011 旧リクガメ属の分類と自然史1. インドホシガメ, 安川雄一郎(著) クリーパーNo.59. クリーパー社. 51₋59.

最終更新日:2020-04-28 ハリリセンボン

卵の形質

卵形は長楕円形が多く、100~150日前後で孵化する。

参考文献

  • 大谷勉 2018 インドホシガメ, 大谷勉(著) 川添宣広(編) 世界のカメ類. 文一総合出版. 25.

最終更新日:2020-04-28 ハリリセンボン

似ている種 (間違えやすい種)

ビルマホシガメ(Geochelone platynota)

参考文献

  • マーク・オシー, ティム・ハリデイ 2001 インドホシガメ, マーク・オシー、ティム・ハリデイ(著) 太田英利(監修) 爬虫類と両生類の写真図鑑. 日本ヴォーグ社. 53.

最終更新日:2020-04-28 ハリリセンボン

生態

生息環境

インドホシガメの生息環境は、個体群によって少しずつ異なっている。いずれもモンスーン(季節風)の影響を受け、雨量の季節較差が大きく、標高が通常 200 m以下の場所に生息している。しかし、ラジャスターン州南部では、標高約 450 mの山麓部にも本種の生息地がある。生息場所やその付近に、乾季でも完全に乾上がらない水場がある環境を好み、その周辺で見つかることが多い。

また高温時には、水たまりや湿地などの浅い水に積極的に浸かる姿が観察されることもある。自然植生の広がる環境だけでなく、餌となる植物があれば畑や牧草地、プランテーションなどの人為的な環境にも生息する。そうした環境に入り込んだ場合、特にかぼちゃなどの野菜を傷つける害獣として、農民に殺されることがある。

その一方で、集落周辺に棲み付いて、たまに地元住民に餌を与えられたり、野菜クズなどの生ごみを食べに現れたりする個体も存在する。

参考文献

  • 安川雄一郎 2011 旧リクガメ属の分類と自然史1. インドホシガメ, 安川雄一郎(著) クリーパーNo.59. クリーパー社. 51₋59.

最終更新日:2020-04-28 ハリリセンボン

食性

本種は植物食で、1年生ないし多年生の多少な草本類、木の葉や多肉植物のほか、落下した果実や花などを主な食物としている。基本的に利用可能な動物食であれば、カルシウムの補給の意味があるのか、小型のカタツムリやトカゲなどの死骸を食べた例がある。また、ウシやヒツジなどの家畜の糞を食べる行動も観察されている。

参考文献

  • 安川雄一郎 2011 旧リクガメ属の分類と自然史1. インドホシガメ, 安川雄一郎(著) クリーパーNo.59. クリーパー社. 51₋59.

最終更新日:2020-04-28 ハリリセンボン

生殖行動

本種は雄が雌に比べて小型なカメには珍しく、交尾期に雄同士が出会うと、互いに体をぶつけ合い相手をひっくり返そうとするコンバット活動を行う。こうした激しい雄間の闘争に比べ、雄の雌に対する噛みつきや激しい体当たりといった、ほかのリクガメではしばしば見られる求愛時の攻撃的行動は、本種では知られていない。

求愛のために、雄は雌を追いかけ続け、肥厚した喉甲板の部分を雌にぶつけたり、押し付けたりすることはあるが、回数は少ない。雌が動かなくなると、雄は後ろからマウントをとって交尾を行うが、この際雄が自分の肛甲板の端を、雌の第12円甲板付近に強く打ち付けることがある。

参考文献

  • 安川雄一郎 2011 旧リクガメ属の分類と自然史1. インドホシガメ, 安川雄一郎(著) クリーパーNo.59. クリーパー社. 51₋59.

最終更新日:2020-04-28 ハリリセンボン

産卵

本種は後肢を用いて、通常 10~15 cm以上にも及ぶ深い孔を掘り、そこに産卵する。産卵回数は年2~4回程度で、1回の産卵数は2~10卵で、1年間で合計23卵を産んだことがある。交尾から産卵までの間隔はかなり長いことがあり、90日前後に及ぶことがある。

卵は固い殻をもち、長径 38.0~52.5 mm、短径 27.0~39.0 mmの長楕円形であるのが普通だが、直径 35~40 mm前後のほぼ球形の卵を産んだ例もある。

卵はふつう110~150日で孵化するが、50日前後とかなり短期間に孵化することがある。孵化までの日数の長さの変動は、長くかかる場合に発生の停止や遅延が起こっている可能性もあるが、発生が完了した状態でも、卵内で幼体が孵化に適した時期を持っていることが主な原因である。

参考文献

  • 安川雄一郎 2011 旧リクガメ属の分類と自然史1. インドホシガメ, 安川雄一郎(著) クリーパーNo.59. クリーパー社. 51₋59.

最終更新日:2020-04-28 ハリリセンボン

その他生態

インド西部の個体群は、成長輪が比較的はっきりした年輪を形成することが多い。それをもとに年齢査定すると、雌は平均して6~7歳で性成熟に達すると考えられている。ただし、個体によってはもう少し性成熟する可能性がある。雄の成熟はもう少し早い可能性が高い。一方、より体が小型なインド南東部の個体群は、雌雄ともこれよりやや早く性成熟し、雄では3年程度で性成熟することがあると考えられている。

参考文献

  • 安川雄一郎 2011 旧リクガメ属の分類と自然史1. インドホシガメ, 安川雄一郎(著) クリーパーNo.59. クリーパー社. 51₋59.

最終更新日:2020-04-28 ハリリセンボン

関連情報

飼育方法

人気とは逆に飼育には少々テクニックが要求され、特に幼体の飼育には注意が必要である。高温を好む本種は幼体から甲長 10 cmくらいまでは特に低温に弱いので、ケージ内全体が30℃を切らないようにする。冬場には幼体を飼育する場合はかなり厳重な温度管理が必要となる。
また極端な乾燥と多湿にも弱いため、乾燥気味の床材に体が浸かる程度の水入れを設置し、ケージ内に適度な湿度を確保する。
ある程度成長した個体でも、低温になるとすぐに鼻水を垂らして状態を崩してしまうので、ケージ内は28℃くらいを保つようにしたい。

参考文献

  • 山田和久 2008 インドホシガメ, 山田和久(著) 爬虫・両生類ビジュアルガイド:リクガメ. 誠文堂新光社. 30₋31.

最終更新日:2020-04-28 ハリリセンボン

その他

本種については、幼体時にかなり高い湿度を要求することから、年間を通して高湿度の環境に生息している種だと誤って思い込んでいる飼育者が多い。しかし、実際は乾季にはかなり乾燥した環境に生息する種であり、高湿の環境で生活するのは雨季の一時期のみである。ただし、年間で本種が最も活発になるのは雨季の時期であり、この時期は日中に行動を活発化する。一方、乾季や暑季には日中の高温や乾燥を避け、薄命薄暮型の活動を行う個体が多いが、降雨の直後には日中でも活発に活動することがある。ただし、乾季でも活動する姿が観察されるのは、主に亜成体以上の個体である。

参考文献

  • 安川雄一郎 2011 旧リクガメ属の分類と自然史1. インドホシガメ, 安川雄一郎(著) クリーパーNo.59. クリーパー社. 51₋59.

最終更新日:2020-04-28 ハリリセンボン

種・分類一覧