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- ニホンマムシ(Gloydius blomhoffii)について
ニホンマムシ(Gloydius blomhoffii)
【IUCN】現時点での絶滅危険度の低い種
- 【 学名 】
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Gloydius blomhoffii (Boie, 1826)
目次
基本情報
- 人間との関係
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代表的な毒ヘビである。噛まれると局所的に出血や膨張が起こり、毒量が多いと2〜3日後に血栓による急性腎不全を起こし、治療が遅れると死亡することもある。現在の死亡率は約1%。
肉を食用にすることもあるが、マムシの皮や乾燥肉、粉末、または1匹丸ごとを酒に漬け込むなどした「まむし酒」が全国各地で民間療法として伝わり、利用されている。
参考文献
最終更新日:2020-04-29 鍋
形態
- 成体の形質
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頭胴長は 30〜50 cm。体の背面は灰褐色や褐色、暗褐色などの変異があり、全身が黒色の個体もいる。胴の背面の左右には楕円形の暗色で縁取られた斑紋があり、その中央部には暗色小班が入る。この模様は「銭型紋」と呼ばれる。各斑紋の間は灰白色となる。頭部側面には鼻孔部から顎まで幅の広い濃い暗色の縦条が入る。体鱗列数は胴の中央部で21列。腹板数は138〜146枚、尾下板数は46〜56対。
雌雄同色で外見上の雌雄の区別は困難だが、尾の付け根の太さ (雌は総排泄腔の後ろから急に細くなるが、雄は徐々に細くなる) や尾の長さ (雌は短く、雄は長い) で目安はつく。頭はやや長い三角形で頸部はくびれる。
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生態
- 生息環境
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低地から山地の林床や林縁部、河川、池、沼など水辺や湿潤な場所に多く生息。山地の森林に接する場所や市街地でも湿潤な林に接する場所では人家の庭などでも見かける。
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- 食性
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カエルやネズミを中心として、ヘビ、トカゲといった爬虫類から、鳥類、魚類を含め小型の脊椎動物を幅広く捕食する。無脊椎動物ではムカデを食べた例もある。
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- ライフサイクル
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産まれて2年, 全長 40 cm ぐらいで性成熟に達し、メスは3年、全長 45 cm ぐらいで最初の出産を行う。飼育下では10年以上生きた記録があり、野生の個体の寿命も10年ぐらいと考えられる。胎生であり、8〜9月に交尾し、翌年の8〜10月に仔ヘビを産む。交尾をしても環境や栄養状態が悪いと受精せず、交尾した後5年経過後仔ヘビを産んだ例がある。活動期は地域にもよるが4〜11月で、冬季は冬眠する。
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- 特徴的な行動
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性質は比較的温和で、急に手や足を近くに出さないか、誤って踏みつけない限りは噛み付いてこない。
総排出腔には独特の臭い匂いを出す臭腺があり、捕食者に襲われたりすると排出する。
怒ると体をS字型に曲げて平らにし、威嚇する。その効果がない場合は攻撃し噛み付く。噛み付くとしばらく離さないことが多い。泳ぎが上手く、川などの流れを上手に横断する。
幼体はたまに尾の先を垂直に立て、グニャグニャ動かす動作をする。他のヘビでは、同様の行動で尾の先を虫に見せかけ、カエルやトカゲをおびき寄せて捕食する例が知られているが、ニホンマムシが実際にこのようにして捕食した例は確認されていない。
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- その他生態
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出血毒を持ち、毒性はハブよりも強いが毒量は少ない。毒は産まれた時から備えている。
眼と鼻の間には感覚器であるピット器官があり、赤外線を感知しほんの僅かな温度差に反応することができる。この器官と眼で、より正確に餌動物を捕らえることができる。
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関連情報
- 飼育方法
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21〜29℃で飼育する。18時ごろにシリンジ (霧吹き) して湿度を高め、20時ごろ最もよく活動しているときにマウスやカエルなどを給餌する。22時以降には低温にする。冬眠も兼ね、11〜3月に15℃前後にしておく。22.5℃以下に30日以上置くと繁殖させられる。産下直後の幼体にはカナヘビやアマガエルの幼体・ピンクマウスを与える。
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