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ウミイグアナ(Amblyrhynchus cristatus)の分類 Iguanidae
ウミイグアナ(Amblyrhynchus cristatus)の概要 Amblyrhynchus

ウミイグアナ(Amblyrhynchus cristatus)

危急 (VU)

【IUCN】絶滅の危険が増大している種

【 学名 】
Amblyrhynchus cristatus Bell, 1825

基本情報

大きさ・重さ

全長:1~1.7 m  
体重:1~11 kg

参考文献

  • 小菅正夫 2017 ウミイグアナ, 小菅正夫(監修) 黒輪篤嗣 (翻) 驚くべき世界の野生動物生態図鑑. 日東書院本社. 129.
  • マーク・オシー, ティム・ハリデイ 2001 ウミイグアナ, マーク・オシー、ティム・ハリデイ(著) 太田英利(監修) 爬虫類と両生類の写真図鑑. 日本ヴォーグ社. 65.

最終更新日:2020-04-28 ハリリセンボン

分布

ガラパゴス諸島に分布し、沿岸の岩場に生息する。

参考文献

  • 小菅正夫 2017 ウミイグアナ, 小菅正夫(監修) 黒輪篤嗣 (翻) 驚くべき世界の野生動物生態図鑑. 日東書院本社. 129.
  • マーク・オシー, ティム・ハリデイ 2001 ウミイグアナ, マーク・オシー、ティム・ハリデイ(著) 太田英利(監修) 爬虫類と両生類の写真図鑑. 日本ヴォーグ社. 65.

最終更新日:2020-04-28 ハリリセンボン

分類学的位置付け

イグアナ科

参考文献

  • 松本通範 1996 ウミイグアナ, 長坂拓也、松本通範、富田京一、越河暁洋、池田純(著) 千石正一(監修) 長坂拓也(編) 爬虫類・両生類800種図鑑. ピーシーズ. 30.

最終更新日:2020-04-28 ハリリセンボン

形態

成体の形質

体色は緑灰色で、繁殖期には赤みを帯びる。体色は温度の影響も受けて変化し、低温の海中でほぼ黒色に近くなるが、岩の上で日光浴をして体温が上がると、通常の緑灰色に戻る。

全体的な体格や、背面にとさかがある点でほかの大型イグアナ類と似る。強い海流に逆らって泳ぐため、尾は船の舵のように側扁して頑丈である。頭部の上面にはこぶ状の突起がある。

強力な顎をもち、特徴的な先端の尖ったトサカが頭部から首、背中にかけてはしっている。強力な爪は岩の上をよじ登るのに役立つ。

参考文献

  • ファビアン・クストー 2018 ウミイグアナ, 内田至(監修) 海洋大図鑑 改訂新版. ネコ・パブリッシング. 376.
  • マーク・オシー, ティム・ハリデイ 2001 ウミイグアナ, マーク・オシー、ティム・ハリデイ(著) 太田英利(監修) 爬虫類と両生類の写真図鑑. 日本ヴォーグ社. 65.
  • 松本通範 1996 ウミイグアナ, 長坂拓也、松本通範、富田京一、越河暁洋、池田純(著) 千石正一(監修) 長坂拓也(編) 爬虫類・両生類800種図鑑. ピーシーズ. 30.

最終更新日:2020-04-28 ハリリセンボン

似ている種 (間違えやすい種)

ガラパゴスオカイグアナ(Conolophus属)

参考文献

  • マーク・オシー, ティム・ハリデイ 2001 ウミイグアナ, マーク・オシー、ティム・ハリデイ(著) 太田英利(監修) 爬虫類と両生類の写真図鑑. 日本ヴォーグ社. 65.

最終更新日:2020-04-28 ハリリセンボン

生態

生息環境

海岸の溶岩礁に集団で棲む。

参考文献

  • 松本通範 1996 ウミイグアナ, 長坂拓也、松本通範、富田京一、越河暁洋、池田純(著) 千石正一(監修) 長坂拓也(編) 爬虫類・両生類800種図鑑. ピーシーズ. 30.

最終更新日:2020-04-28 ハリリセンボン

食性

海岸の岩の上や、海中にある海藻を餌とするが、カニなども食べる。
ガラパゴス周辺は寒流域なので、日光浴を行って高体温を得てから、短時間海中に潜って採餌し、陸に上がるとすぐにまた日光浴を行う、といった活動をする。
海中でケルプ(海藻)を摂食するため、鼻には余剰塩分の排出腺がある。日光浴中、この腺から白い霧状の塩を断続的に噴出する。

参考文献

  • マーク・オシー, ティム・ハリデイ 2001 ウミイグアナ, マーク・オシー、ティム・ハリデイ(著) 太田英利(監修) 爬虫類と両生類の写真図鑑. 日本ヴォーグ社. 65.
  • 松本通範 1996 ウミイグアナ, 長坂拓也、松本通範、富田京一、越河暁洋、池田純(著) 千石正一(監修) 長坂拓也(編) 爬虫類・両生類800種図鑑. ピーシーズ. 30.

最終更新日:2020-04-28 ハリリセンボン

天敵

サメや猛禽類などの捕食者が多く、ネズミや犬といった島に持ち込まれた動物にも深刻な影響を受けている。

参考文献

  • ファビアン・クストー 2018 ウミイグアナ, 内田至(監修) 海洋大図鑑 改訂新版. ネコ・パブリッシング. 376.

最終更新日:2020-04-28 ハリリセンボン

生殖行動

雄は雌より2倍大きい体をもち、繁殖期には交尾のためのハーレムをライバルの雄から守る。

雄同士の争いは一般に、虚勢や脅かしで決着がつき、優位にある雄が相手に頭を振ってみせると、相手はふつう引き下がる。引き下がらないときは戦いになり、互いに頭で相手を突き飛ばそうとする。
戦いでは大柄な個体の方が有利だが、体が大きいと不利なこともある。体が大きいほど、体を温めるのに時間がかかり、採食の潜水の間隔を長くあけなくてはならないからである。従って、エルニーニョなどの気候現象で海底の藻が減ると、体の小さい個体よりも手に入れられる食べ物の量が減る。

参考文献

  • 小菅正夫 2017 ウミイグアナ, 小菅正夫(監修) 黒輪篤嗣 (翻) 驚くべき世界の野生動物生態図鑑. 日東書院本社. 129.

最終更新日:2020-04-28 ハリリセンボン

産卵

産卵場所をめぐって雌同士が争う。一度に2~3卵を産む。

参考文献

  • 松本通範 1996 ウミイグアナ, 長坂拓也、松本通範、富田京一、越河暁洋、池田純(著) 千石正一(監修) 長坂拓也(編) 爬虫類・両生類800種図鑑. ピーシーズ. 30.

最終更新日:2020-04-28 ハリリセンボン

特徴的な行動

胴が丸々と膨らみ、肢が短い体形のため、陸上での動きはぎこちないが、水中では敏捷に動き回れる。足にはいくらか水かきもあるが、泳ぐときは主にオール状の平らな尾で推進力を得て、背中のタテガミ状の飾りうろこで体を安定させる。

参考文献

  • 小菅正夫 2017 ウミイグアナ, 小菅正夫(監修) 黒輪篤嗣 (翻) 驚くべき世界の野生動物生態図鑑. 日東書院本社. 129.

最終更新日:2020-04-28 ハリリセンボン

その他生態

ウミイグアナは長時間、海中にいることはできない。冷たい水に浸かっていると、体が動かなくなってくるからである。そのため定期的に水から上がって、日光で体を温める必要がある。

採食後は、長い鉤状の爪で滑りやすい岩肌をよじ登って陸に戻る。水にぬれた黒っぽい皮膚は、素早く熱を吸収するのに役立つ。乾くと体色は白っぽいグレーに変わり、オレンジや緑などの色の不規則な模様が浮かびあがってくる。模様がもっとも目立つのは、大人の雄である。雄はその鮮やかな意図で、交尾相手を引き付けようとする。色は食べた海藻の色素で決まるため、島によって異なる。雌雄共に顔に白い筋がみられることがある。これは食べ物と一緒に過剰に摂取された塩分が、鼻腔に開く塩類腺から排出されたものである。

陸上で過ごすひとときは、体を温めるとともに、硬い海藻を消化するための時間でもある。消化には球根のような形をした、発酵室内にいる腸内細菌の助けを借りる。胴が丸々と膨らんでいるのは、この発酵室があるからである。
成体は最高 10 m以上潜り、1時間以上息を止めることができる。

参考文献

  • ファビアン・クストー 2018 ウミイグアナ, 内田至(監修) 海洋大図鑑 改訂新版. ネコ・パブリッシング. 376.
  • 小菅正夫 2017 ウミイグアナ, 小菅正夫(監修) 黒輪篤嗣 (翻) 驚くべき世界の野生動物生態図鑑. 日東書院本社. 129.

最終更新日:2020-04-28 ハリリセンボン

関連情報

その他

世界で唯一の真の海生トカゲである。
幾多もの亜種に分けられるが、フッド島の亜種のみ、体に赤い斑点をもつ。
また食べ物が乏しいとき、ウミイグアナは体を小さくできる。骨格も10%縮小できる。

参考文献

  • 小菅正夫 2017 ウミイグアナ, 小菅正夫(監修) 黒輪篤嗣 (翻) 驚くべき世界の野生動物生態図鑑. 日東書院本社. 129.
  • マーク・オシー, ティム・ハリデイ 2001 ウミイグアナ, マーク・オシー、ティム・ハリデイ(著) 太田英利(監修) 爬虫類と両生類の写真図鑑. 日本ヴォーグ社. 65.
  • 松本通範 1996 ウミイグアナ, 長坂拓也、松本通範、富田京一、越河暁洋、池田純(著) 千石正一(監修) 長坂拓也(編) 爬虫類・両生類800種図鑑. ピーシーズ. 30.

最終更新日:2020-04-28 ハリリセンボン

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