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- ヒメハブ(Ovophis okinavensis)について
ヒメハブ(Ovophis okinavensis)
【IUCN】現時点での絶滅危険度の低い種
- 【 学名 】
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Ovophis okinavensis (Boulenger, 1892)
基本情報
形態
- 成体の形質
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体色には変異が多いが、普通は体の背面が黄褐色ないし灰褐色で暗褐色の大きい斑紋をそなえ、腹面は黄褐色または褐色で暗褐色の斑点を密布している。
背面の暗褐色斑は正中線の両側で前後にずれていることも融合して雲状を呈することもあり、またジグザグにつながってしまっていることもある。
背面の斑紋の各側下方にも縦に1列に並んだ暗褐色斑があって、とくに各紋の前後に著しく黒い部分があるが、暗褐色部が広がって背面の斑紋とつながってしまっていることも稀ではない。
更にその下側には、縦に1列に並んだ小形の黒褐色紋があり、最外側の1~2鱗列と腹板の外縁部とにまたがっている。
頭部の背面は暗褐色で、側面には眼の後から後走して頸部に達する幅の広い黒条があり、その上下両縁が普通は黄褐色を呈する。
下唇板には黒点が多数あり、その粗密によって不規則な模様ができている。
体は太短くて尾も短く、全体のようすがマムシに似ている。
頭部は頸部よりもはるかに大きくて幅が広く、普通はその長さが最大幅の1倍半に達しない。
吻端部は、吻端板の上縁が著しい稜線となって多少上反し、鋭い吻縁が左右両側に廻って眼上板の後外側まで続いている。
吻端板は長方形または梯形で高さの方が幅よりも大きく、上縁は裁断状で3枚の頂鱗に接している。
前鼻板は後鼻板よりも明らかに大きく、両板の間に鼻孔が開いている。
鼻間板は小形で、頂鱗によって両側に隔てられ、吻端板にも接していない。
鼻間板と眼上板との間には2枚の鱗がある。
頬板は小形で、上下2枚の眼前板に接していることも、下眼前板だけにしか接していないこともある。
上下の眼前板の間には小形の中板がない。
頬窩の位置は鼻孔よりも眼の方に近く、第2上唇板、下眼前板および窩下板によって囲まれているか、あるいはこれらの3枚と頬板とによって囲まれている。
窩下板は下眼前板よりも短いが眼に届いている。眼は大きくて、その長径が眼と吻端との間隔の半分に等しいかまたはこれに近い。
眼後板、眼下板は共に2~3枚で前者は小形、眼下板と第4上唇板との間には2列に並んだ鱗がある。
眼上板は大きくて、その長さが眼の長径の1倍半を越える。
背面の鱗は比較的大きくて左右両眼上板の間で6~9枚ぐらいしかなく、後頭部では明瞭な隆条をそなえている。
側頭部の鱗は下方のものほど大きく、最下列のものはほぼ平滑であるが、その下側の上唇板より小さい。
上唇板は7~8枚あって、第3~4両上唇板は大形。頣板はほぼ三角形で後角がとがり、その後方には明瞭な咽頭溝がある。
下唇板は9~10枚で、第1~2下唇板または第1~3下唇板が咽頭板に接し、左右の第1下唇板は頣板の後で互いに接し合っている。
咽頭板は1対で大きく、正中線上で互いに接し合い、その後方には第1腹板までの間に3~4対の鱗がある。
体鱗は、頸部で23~28列、胴の中央部では普通23列(ときには21列)、胴の後部では19列あって、短い隆条と1対の不明瞭な鱗孔とをそなえている。
また、最外側の1鱗列が平滑な個体もある。
腹板は平滑で側稜がなく、その数は125~135枚ぐらい。尾下板は39~55対ぐらいある。
参考文献
最終更新日:2020-06-10 キノボリトカゲ
生態
- 生息環境
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低地から山地の、比較的湿潤な環境の林内やその周辺の水辺に多く生息する。
低温に強く、冬期の気温6℃のなかでも活動する。水温が外気より高いときや夏季の高温時にはよく水浴する。
参考文献
最終更新日:2020-06-10 キノボリトカゲ
- ライフサイクル
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冬に交尾を行い、7~8月に卵殻のない薄い卵膜に包まれた卵を3~16個ほど産卵する。
卵内では完全な仔ヘビの状態まで成長しており、10日以内で孵化する。
なかには産卵直後、卵膜を破り出てくることもある。産卵後雌は抱卵する。
参考文献
最終更新日:2020-06-10 キノボリトカゲ
- 特徴的な行動
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性質は温和で踏みつけない限りは咬みついてこないが、林道脇などの日陰では、日中でも落葉の下に潜んでいる。
怒るとカラダをS字に曲げ、扁平にして威嚇する。
参考文献
最終更新日:2020-06-10 キノボリトカゲ
関連情報
- その他
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出血毒だが弱く、致命的ではない。しかし、咬傷直後から強い鈍痛が続き、咬傷部位は腫張・壊死をおこす。
毒牙は比較的短いが、咬むと離さず、毒が体内に入る確立は高い。
参考文献
最終更新日:2020-06-10 キノボリトカゲ