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ウマヅラハギ(Thamnaconus modestus)の分類 Monacanthidae
ウマヅラハギ(Thamnaconus modestus)の概要 Thamnaconus

ウマヅラハギ(Thamnaconus modestus)

低危険種 (LC or LR/lc)

【IUCN】現時点での絶滅危険度の低い種

【 学名 】
Thamnaconus modestus (Günther, 1877)

基本情報

大きさ・重さ

成魚全長:30 ㎝

参考文献

  • 松浦啓一 1997 , 水野信彦(監修) 川那部浩哉(編) 日本の海水魚. 山と渓谷社. 701.

最終更新日:2020-06-14 En

分布

積丹半島、相模湾以南、東シナ海・南シナ海に分布。

参考文献

  • 松浦啓一 1997 , 水野信彦(監修) 川那部浩哉(編) 日本の海水魚. 山と渓谷社. 701.

最終更新日:2020-06-14 En

和名の解説

頭部の形が馬の頭を連想させることから。

参考文献

  • 2005 , 望月賢二(著) 望月賢二(監修) 魚類文化研究会(編) 魚と貝の事典. 柏書房. 85.

最終更新日:2020-06-14 En

別名・方言名

カングリ(男鹿)、コウグリ(新潟)、コンゴリ・バクチコキ(富山)、ウマヌスト(三重)、オキアジ(鳥取)、ツノギ(岡山)

参考文献

  • 2005 , 望月賢二(著) 望月賢二(監修) 魚類文化研究会(編) 魚と貝の事典. 柏書房. 85.

最終更新日:2020-06-14 En

形態

成魚の形質

体は長楕円形で著しく側扁する。背鰭は2基で第一背鰭は1〜2棘、第二背鰭は36〜40軟条。臀鰭は33〜37軟条。胸鰭は14〜16軟条。
第1背鰭棘は眼の後部上方にあり、棘の前縁に上向きの小棘がある。
第1背鰭の後方に微小な第2背鰭棘が表出している場合もあるが、痕跡的で通常は皮下に埋没する。臀鰭の前方に非可動の鞘状のうろこがある。口は小さい。
カワハギに似るが眼から前方部が長く、各鰭は深青色で体側部に不規則な雲状斑がある。

参考文献

  • 1997 , 真木長彰、寺島裕晃、中村晢美(著) 阿部宗明、本間昭郎(監修) 山本保彦(編) 現代おさかな辞典. 株式会社エヌ・ティー・エス. 282.

最終更新日:2020-06-14 En

卵の形質

球形で、直径 0.6〜0.7 ㎜の粘着沈性卵。

参考文献

  • 1997 , 真木長彰、寺島裕晃、中村晢美(著) 阿部宗明、本間昭郎(監修) 山本保彦(編) 現代おさかな辞典. 株式会社エヌ・ティー・エス. 282.

最終更新日:2020-06-14 En

生態

生息環境

沿岸の港内や防波堤、魚礁などに生息する。
昼間は中層、夜間は底層という周期的な鉛直移動を行う。
砂泥底周辺に設置された魚礁によく集まり、日中は魚礁の上方、潮上側に大きな群れを作っているのが観察される。この群れは水中に静止、またはごく短い距離を往復しており、ダイバーなどが驚かさなければほとんど移動しない。

参考文献

  • 1997 , 真木長彰、寺島裕晃、中村晢美(著) 阿部宗明、本間昭郎(監修) 山本保彦(編) 現代おさかな辞典. 株式会社エヌ・ティー・エス. 282.

最終更新日:2020-06-14 En

食性

主に端脚類やオキアミ類などの動物プランクトンを餌とするが、雑食性である。
岩礁や人口魚礁に潜水すると、付着している貝類、フジツボ類、珪藻類、紅藻類などを歯で剥ぎ取って食べている様子が観察される。水温が6℃を下回ると摂餌しなくなるという。

参考文献

  • 1997 , 真木長彰、寺島裕晃、中村晢美(著) 阿部宗明、本間昭郎(監修) 山本保彦(編) 現代おさかな辞典. 株式会社エヌ・ティー・エス. 282-284.

最終更新日:2020-06-14 En

ライフサイクル

産卵期は春から初夏。
孵化直後の仔魚は全長 2 ㎜前後で胸鰭はなく、体高も低い。
孵化後70〜80時間で全長 3 ㎜前後になり、卵黄を吸収して背鰭棘が形成され始める。また、この頃には胸鰭も出現し、体高も高くなる。
全長 5 ㎜前後で歯ができ、背鰭と臀鰭が形成され始めるが、各鰭に鰭条はない。
全長 20 ㎜で各鰭の畳数が成魚とほぼ同数になる。稚魚は流れ藻について浮遊生活を行い、全長 5 ㎝になる頃から水深 10 m以浅の岩礁域で生活するようになる。
生後1年で体長 18 ㎝、2年で 22 ㎝、3年で 25 ㎝前後に成長する。
新潟産の個体群は太平洋産や瀬戸内海産のものに比べて成長が悪いと言われる。
生後1年で成熟し始め、生後2年でほとんどの個体が繁殖行動に参加する。成熟した卵巣内には大きさが異なる3種類の卵群があり、成熟卵の孕卵数は全長 30 ㎝で30万粒前後、35 ㎝で80万粒前後。

参考文献

  • 1997 , 真木長彰、寺島裕晃、中村晢美(著) 阿部宗明、本間昭郎(監修) 山本保彦(編) 現代おさかな辞典. 株式会社エヌ・ティー・エス. 282.

最終更新日:2020-06-14 En

産卵

産卵場所は沿岸のごく浅い岩礁域や砂泥域で、アマモやホンダワラ類などが茂る藻場周辺。
本種の産卵行動は雌雄のペアで行われる。群れから離れて遊泳するメスを1尾のオスが追尾し、メスが海底に静止するとオスがその横に並び、体を激しく振動させながらお互いの腹部をすり合わせるようにして産卵、放精する。産卵行動中の体色は、雌雄ともに鮮やかな青色となる。
1回の産卵数は7万粒前後。多回産卵で1産卵期に10数回産卵し、全部で約130万粒を産卵する。産卵は一般に夕方から翌朝にかけて行われる。

参考文献

  • 1997 , 真木長彰、寺島裕晃、中村晢美(著) 阿部宗明、本間昭郎(監修) 山本保彦(編) 現代おさかな辞典. 株式会社エヌ・ティー・エス. 282.

最終更新日:2020-06-14 En

関連情報

味や食感

肉質がよくしまっていてクセがない。脂肪が少ない白身魚で、脂質含量は0.2%、カロリーも低い。肝臓には脂がたまり、ポン酢しょうゆで生食するとおいしい。煮付け、刺身、ちり鍋などにする。みりん干しもよい。

参考文献

  • 2005 , 望月賢二(著) 望月賢二(監修) 魚類文化研究会(編) 魚と貝の事典. 柏書房. 85.

最終更新日:2020-06-14 En

その他

各地の海岸の観光地などでカワハギの干物として売られているのは多くが本種である。旬は2〜5月。
ヘドロが溜まるような沿岸の海水域にも入るほど悪条件に適応できる。そのためか、ときどき大発生することがある。

参考文献

  • 2005 , 望月賢二(著) 望月賢二(監修) 魚類文化研究会(編) 魚と貝の事典. 柏書房. 85.

最終更新日:2020-06-14 En

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